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kabu_lab
#72 大河ドラマで浄化される
夕方のざわつきが落ち着いて、
部屋の空気がゆっくりと夜に変わっていくころ、
私はようやく布団から抜け出した。
罪悪感はまだ胸の奥に残っているけれど、
それを抱えたまま何もせずにいるのは、
かえってしんどい。
だから私は、
ずっと観ようと思っていたドラマを再生した。
戦国時代の大河。
男装した女性主人公を、
命がけで守る若武者の物語。
最初は気を紛らわせるつもりだったのに、
気づけば私は画面に釘付けになっていた。
主人公が敵に囲まれたとき、
若武者が身を挺して守る。
その姿があまりにもまっすぐで、
あまりにも美しくて、
胸の奥がじんわり熱くなる。
涙が勝手に流れてきた。
泣くつもりなんてなかったのに、
涙が止まらなかった。
ドラマの世界は、
私の今日の失敗も、
お局様の冷たい声も、
会社からの4回目の着信も、
全部関係なくて、
ただ物語の熱だけが胸に広がっていく。
泣きながら、
私はふっと思った。
誰だって体調不良くらいなる。
誰だって朝に負ける日がある。
誰だって休む日がある。
休んだことなんて、
たいしたことじゃない。
そう思った瞬間、
胸の奥にあった重しが
少しだけ軽くなった。
ドラマの熱が、
私の心のざらつきを
洗い流してくれるようだった。
私は今日、
逃げた。
嘘もついた。
弱さに寄りかかった。
でも、
それでも生きている。
明日もきっと生きていく。
夜の静けさの中で、
私は少しだけ自分を許せた気がした。
