条文サーフィン~立法者は鑑(かんが)みる~<第19回>「自衛隊員倫理法」
読み易さは正義!!
「読み」のハードルを下げて、
最速で法令の条文を読んで理解する
「条文サーフィン」。
「条文サーフィン」は、平面的な条文を(頭の中で)立体的に読み込む一つの試みです。
条文サーフィン
【立法者は鑑みる】編の
はじまり、はじまり。
法律の条文において
時に当然であるかのように
立法者は「鑑(かんが)みる」。
果たして立法者の認識と現実の間に”ズレ”はないのか?
いま一度考えてみるキッカケとして
この連載をお届けします。
さて今回は、
「自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)」の
”鑑みる”です。
では早速、
「条文構造」を意識して編集した
法令の条文、
その一行一行を「波」に見立てて、
かるーく乗りこなす
「条文サーフィン」を始めましょう!!
ただし、今回の連載では限定的となります。
あしからず。
〇自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)
■ 立法者は鑑みる
「自衛隊員が国民全体の奉仕者であってその職務は国民から負託された公務であることにかんがみ」(第一条)
自衛隊員が
↓
国民全体の奉仕者であって
↓
その職務は
↓
国民から負託された
↓
公務であること
↓
にかんがみ、
(目的)
第一条 この法律は、自衛隊員が国民全体の奉仕者であってその職務は国民から負託された公務であることにかんがみ、自衛隊員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする。
■ 資料としての条文”抜粋”
(自衛隊員が遵守すべき職務に係る倫理原則)
第三条 自衛隊員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
2 自衛隊員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。
3 自衛隊員は、法律により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。
第五条 内閣は、第三条に掲げる倫理原則を踏まえ、自衛隊員の職務に係る倫理の保持を図るために必要な事項に関する政令(以下「自衛隊員倫理規程」という。)を、国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)第五条第一項に規定する国家公務員倫理規程に準じて定めるものとする。この場合において、自衛隊員倫理規程には、自衛隊員の職務に利害関係を有する者からの贈与等の禁止及び制限等自衛隊員の職務に利害関係を有する者との接触その他国民の疑惑や不信を招くような行為の防止に関し自衛隊員の遵守すべき事項が含まれていなければならない。
2 防衛大臣又は防衛装備庁長官は、自衛隊員の職務に係る倫理に関する訓令を定めることができる。
3 防衛大臣は、前項の訓令を定めるに当たっては、自衛隊員倫理審査会の意見を聴かなければならない。次項の規定による防衛装備庁長官の求めがあった場合についても、同様とする。
4 防衛装備庁長官は、第二項の訓令を定めるに当たっては、防衛大臣に対し、自衛隊員倫理審査会の意見を聴くことを求めなければならない。
5 内閣は、自衛隊員倫理規程及び第二項の訓令の制定又は改廃があったときは、これを国会に報告しなければならない。
(自衛隊員倫理審査会の設置)
第十条 自衛隊員の職務に係る倫理の保持に関する防衛大臣の事務を補佐させるため、防衛省本省に、自衛隊員倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
第二十四条 自衛隊員の職務に係る倫理の保持を図るため、防衛省本省及び防衛装備庁に、それぞれ倫理監督官一人を置く。
2 倫理監督官は、自衛隊員の職務に係る倫理の保持に関し、必要な指導及び助言並びに体制の整備を行う。
3 倫理監督官は、前項に規定する職務を行うに当たっては、国家公務員倫理審査会と常に緊密な連絡を保たなければならない。
以下、自衛隊員倫理規程(政令)からの抜粋。
〇自衛隊員倫理規程(平成十二年政令第百七十三号)
(禁止行為)
第三条 自衛隊員は、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 利害関係者から金銭、物品又は不動産の贈与(せん別、祝儀、香典又は供花その他これらに類するものとしてされるものを含む。)を受けること。
二 利害関係者から金銭の貸付け(業として行われる金銭の貸付けにあっては、無利子のもの又は利子の利率が著しく低いものに限る。)を受けること。
三 利害関係者から又は利害関係者の負担により、無償で物品又は不動産の貸付けを受けること。
四 利害関係者から又は利害関係者の負担により、無償で役務の提供を受けること。
五 利害関係者から未公開株式(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されておらず、かつ、同法第六十七条の十一第一項の店頭売買有価証券登録原簿に登録されていない株式をいう。)を譲り受けること。
六 利害関係者から供応接待を受けること。
七 利害関係者と共に遊技又はゴルフをすること。
八 利害関係者と共に旅行(公務のための旅行を除く。)をすること。
九 利害関係者をして、第三者に対し前各号に掲げる行為をさせること。
2 前項の規定にかかわらず、自衛隊員は、次に掲げる行為を行うことができる。
一 利害関係者から宣伝用物品又は記念品であって広く一般に配布するためのものの贈与を受けること。
二 多数の者が出席する立食パーティー(飲食物が提供される会合であって立食形式で行われるものをいう。以下同じ。)において、利害関係者から記念品の贈与を受けること。
三 職務として利害関係者を訪問した際に、当該利害関係者から提供される物品を使用すること。
四 職務として利害関係者を訪問した際に、当該利害関係者から提供される自動車(当該利害関係者がその業務等において日常的に利用しているものに限る。)を利用すること(当該利害関係者の事務所等の周囲の交通事情その他の事情から当該自動車の利用が相当と認められる場合に限る。)。
五 職務として出席した会議その他の会合において、利害関係者から茶菓の提供を受けること。
六 多数の者が出席する立食パーティーにおいて、利害関係者から飲食物の提供を受けること。
七 職務として出席した会議において、利害関係者から簡素な飲食物の提供を受けること。
3 第一項の規定の適用については、自衛隊員(同項第九号に掲げる行為にあっては、同号の第三者。以下この項において同じ。)が、利害関係者から、物品若しくは不動産を購入した場合、物品若しくは不動産の貸付けを受けた場合又は役務の提供を受けた場合において、それらの対価がそれらの行為が行われた時における時価よりも著しく低いときは、当該自衛隊員は、当該利害関係者から、当該対価と当該時価との差額に相当する額の金銭の贈与を受けたものとみなす。
(禁止行為の例外)
第四条 自衛隊員は、私的な関係(自衛隊員としての身分にかかわらない関係をいう。以下同じ。)がある者であって、利害関係者に該当するものとの間においては、職務上の利害関係の状況、私的な関係の経緯及び現在の状況並びにその行おうとする行為の態様等にかんがみ、公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがないと認められる場合に限り、前条第一項の規定にかかわらず、同項各号(第九号を除く。)に掲げる行為を行うことができる。
2 自衛隊員は、前項の公正な職務の執行に対する国民の疑惑や不信を招くおそれがないかどうかを判断することができない場合においては、倫理監督官(法第二十四条第一項の倫理監督官をいう。以下同じ。)に相談し、その指示に従うものとする。
3 第一項の「自衛隊員としての身分」には、自衛隊員が、任命権者の要請に応じ一般職国家公務員等(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第四十六条第二項に規定する一般職国家公務員等をいう。以下同じ。)となるため退職し、引き続き一般職国家公務員等として在職した後、引き続いて当該退職を前提として自衛隊員として採用された場合(一の一般職国家公務員等として在職した後、引き続き一以上の一般職国家公務員等として在職し、引き続いて当該退職を前提として自衛隊員として採用された場合を含む。)における一般職国家公務員等としての身分を含むものとする。
(利害関係者以外の者等との間における禁止行為)
第五条 自衛隊員は、利害関係者に該当しない事業者等であっても、その者から供応接待を繰り返し受ける等社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならない。
2 自衛隊員は、自己が行った物品若しくは不動産の購入若しくは借受け又は役務の受領の対価を、その者が利害関係者であるかどうかにかかわらず、それらの行為が行われた場に居合わせなかった事業者等にその者の負担として支払わせてはならない。
(特定の書籍等の監修等に対する報酬の受領の禁止)
第六条 自衛隊員は、次に掲げる書籍等(書籍、雑誌等の印刷物又は電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式により文字、図形、音、映像若しくは電子計算機に用いるプログラムを記録した物をいう。以下同じ。)の監修又は編さんに対する報酬を受けてはならない。
一 補助金等又は国が直接支出する費用をもって作成される書籍等(独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構が直接支出する費用をもって作成されるものを含む。)
二 防衛省本省若しくは防衛装備庁又は独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構において買い入れる書籍等であって、防衛省本省及び防衛装備庁並びに独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構において買い入れる数の合計数が作成数の過半数になるもの
(自衛隊員の職務に係る倫理の保持を阻害する行為等の禁止)
第七条 自衛隊員は、他の自衛隊員の第三条又は前二条の規定に違反する行為によって当該他の自衛隊員(第三条第一項第九号の規定に違反する行為にあっては、同号の第三者)が得た財産上の利益であることを知りながら、当該利益の全部若しくは一部を受け取り、又は享受してはならない。
2 自衛隊員は、自衛隊員倫理審査会、任命権者、倫理監督官その他当該自衛隊員の属する防衛省本省若しくは防衛装備庁において自衛隊員の職務に係る倫理の保持に責務を有する者又は上司に対して、自己若しくは自己の属する防衛省本省若しくは防衛装備庁の他の自衛隊員が法若しくは法に基づく命令(訓令を含む。以下同じ。)に違反する行為を行った疑いがあると思料するに足りる事実について、虚偽の申述を行い、又はこれを隠蔽してはならない。
3 次に掲げる自衛隊員は、その管理し、又は監督する自衛隊員が法又は法に基づく命令に違反する行為を行った疑いがあると思料するに足りる事実があるときは、これを黙認してはならない。
一 防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第六条に規定する俸給表の適用を受ける自衛隊員
二 防衛省の職員の給与等に関する法律第四条第二項又は第五項の規定により一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第七条第一項の俸給表に定める額の俸給(同表四号俸の俸給月額以上のものに限る。)を受ける自衛隊員
三 防衛省の職員の給与等に関する法律第四条第三項の規定により一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成九年法律第六十五号)第六条第一項の俸給表に定める額の俸給(同表四号俸の俸給月額以上のものに限る。)を受ける自衛隊員
四 防衛省の職員の給与等に関する法律第十一条の三第一項の規定による俸給の特別調整額を支給される自衛隊員
(利害関係者と共に飲食をする場合の届出)
第八条 自衛隊員は、自己の飲食に要する費用について利害関係者の負担によらないで利害関係者と共に飲食をする場合において、自己の飲食に要する費用が一万円を超えるときは、次に掲げる場合を除き、あらかじめ、倫理監督官が定める事項を倫理監督官に届け出なければならない。ただし、やむを得ない事情によりあらかじめ届け出ることができなかったときは、事後において速やかに当該事項を届け出なければならない。
一 多数の者が出席する立食パーティーにおいて、利害関係者と共に飲食をするとき。
二 私的な関係がある利害関係者と共に飲食をする場合であって、自己の飲食に要する費用について自己又は自己と私的な関係がある者であって利害関係者に該当しないものが負担するとき。
(講演等に関する規制)
第九条 自衛隊員は、利害関係者からの依頼に応じて報酬を受けて、講演、討論、講習若しくは研修における指導若しくは知識の教授、著述、監修、編さん又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送の放送番組への出演(自衛隊法第六十三条の承認を得てするものを除く。以下「講演等」という。)をしようとする場合は、あらかじめ倫理監督官の承認を得なければならない。
2 倫理監督官は、利害関係者から受ける前項の報酬に関し、自衛隊員の職務の種類又は内容に応じて、自衛隊員に参考となるべき基準を定めるものとする。
(倫理監督官への相談)
第十条 自衛隊員は、自らが行う行為の相手方が利害関係者に該当するかどうかを判断することができない場合又は利害関係者との間で行う行為が第三条第一項各号に掲げる行為に該当するかどうかを判断することができない場合には、倫理監督官に相談するものとする。
(※自衛隊員倫理法=令和5年4月1日現在・施行)
(※自衛隊員倫理規程=令和6年10月1日現在・施行)
以上、今回は「自衛隊員倫理法(平成十一年法律第百三十号)」の”鑑みる”を取り上げてみました。
ここまで読んだ貴方は、読む前の貴方とはちょっと違うはず。その違いが「条文サーフィン」を続ける意味です。
ここだけの話。
「テキスト」を読んでから「条文」を読むより、先に「条文」を読んでから「テキスト」を読む方が理解がグーンと進みます。理解のカギは「先に疑問を持つこと」です。そうすることで、「疑問」に答えてくれる「テキスト」が”大切な宝物”となります。
イチから条文を読まないから、
速く読めて理解できる。
それが「条文サーフィン」。
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"条文を読むコツ"が自然と身につく、
紙の六法で読む前に
”読む六法(学習六法)”を。
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最新刊『ぐるぐる六法』(マガジン版)
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読みやすい。見やすい。
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奇跡の六法。
その名も『ぐるぐる六法』。
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あとは、
それを選ぶか、選ばないか。
収録法令は、
「日本国憲法」
「民法」
「刑法」
「商法」
「会社法」
「民事訴訟法」
「刑事訴訟法」
「行政手続法」
「行政不服審査法」
「行政事件訴訟法」
「国家賠償法」
「民事保全法」
「民事執行法」。
以上、すべての”基本”となる13法。
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☆~過去の連載記事(まとめ)から~☆
<こっそり☆おまけの穴埋め問題>
[自衛隊員倫理法]
〔問 題〕次の条文中の( )内には同じ語句が入る。それは何か。
(目的)
第一条 この法律は、自衛隊員が( )全体の奉仕者であってその職務は( )から負託された公務であることにかんがみ、自衛隊員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する( )の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する( )の信頼を確保することを目的とする。
〔解 答〕
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( 国民 )、( 国民 )、( 国民 )、( 国民 )でした。
(目的)
第一条 この法律は、自衛隊員が( 国民 )全体の奉仕者であってその職務は( 国民 )から負託された公務であることにかんがみ、自衛隊員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する( 国民 )の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する( 国民 )の信頼を確保することを目的とする。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!!
ではまた。(^^)/
主人公(しゅじんこう)。
