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渇きの果てに…禁断のコンダクター   第22話

 
まゆはぐったりとベッドに沈んだまま、天井を見つめていた。


全身がまだ小刻みに震え、太ももを伝う熱いものが、シーツに染みを作っていく。
 
 
息が整わない。
 
頭の中がぼんやりとして、思考がまとまらない。
 
 
(…… 私は、何をしていたんだろう)
 
最後まで自分がリードしたかった。


 
ただ抱かれるだけの女ではなく、自分の意志で欲望を掴み取り、自分の輪郭をはっきり取り戻したかった。
 
それが鹿児島まで一人で来た一番の理由だった。
 
 

実際、最初はリードしていた。


「もっと舐めて」と自分から求め、言葉を重ね、アダムスを自分のペースに引き込もうとしていた。
 
 
あの瞬間、自分の身体が自分のものに感じられた。
 

久しぶりに
 
「生きている」
 
と実感できた。
 
 
なのに——。
 

アダムスが強引に足を開き、熱く硬いものを一気に押し入れた瞬間、全てが崩れた。


 
強烈な充足感と、子宮の奥を突かれる衝撃に、頭の中が真っ白になった。


 
「あぁっ……!」
 
という自分の叫び声が、まだ耳の奥に残っている。
 
 
あれは、確かに自分の意志ではなかった。


それなのに、身体は激しく反応し、信じられないほどの快楽に飲み込まれた。
 
 
(……気持ちよかった。すごく……)
 

その事実に、まゆは胸の奥がざわついた。


 
自分がリードしたいと思っていたのに、アダムスに強引に支配された瞬間に、こんなにも深く感じてしまった。
 
受け身で、流されることで得られる充足感が、想像以上に心地よかった。
 
 
(私は結局……ただ抱かれたいだけだったの?それとも、両方欲しいの……?)
 

主体的になりたい自分と、誰かに強く求められ、壊されるように抱かれたい自分。


二つの欲望が胸の中でぶつかり合い、絡み合って、答えを出せずにいた。


 
罪悪感

解放感

自己嫌悪

充足感

・・・

すべてがぐちゃぐちゃに混ざって、まゆの心を重くしていた。
 
 

隣で息を整えているアダムスに目を向けた。
 
彼は虚ろな目でまゆを見つめていた。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
アダムスは、まゆの瞳をそっと見つめていた。
 

彼の心の中は、嵐が吹き荒れていた。
 
 
(……俺は、何てことをしてしまったんだ)
 
 
彼はこれまで、女性の気持ちに寄り添うことを何より大切にしてきた。


相手を急かさず、安心させ、信頼を得てからゆっくりと関係を深める。
 
それが彼の誇りであり、女性を「大切に扱う男」であるためのアイデンティティだった。
 
 
だからこそ、まゆが自ら求めてきたときも、最初は受け止めようとした。


彼女が自分の言葉で欲求を口にする姿を、温かく見守ろうとした。


それがまゆにとっての「自己解放」になると信じていた。
 
 
なのに——。
 

まゆの秘部に顔を埋め、彼女の甘い声を聞きいているうちに、男としての本能が一気に噴き上がった。


理性が抑えきれなくなり、彼女の拒絶するような足の力を無視して、強引に開き、自身を押し入れてしまった。
 
 
(まゆさんの意思を……無視した)
 

後悔が胸を締めつける。


自己嫌悪が喉の奥まで込み上げてくる。


 
紳士であるはずの自分が、結局は欲望に負けた平凡な男だったという事実に、深い失望を覚えていた。
 
 
 
……アダムスは、まゆがあの強引な挿入で、強い快感を得ていたことに気づいていなかった。


ただ、自分のエゴで彼女を傷つけてしまったのではないか、という不安だけが頭を支配していた。
 
 

「……まゆさん」


アダムスは低く、掠れた声で囁いた。


 
「さっきは……ごめんなさい。あなたの気持ちを無視してしまった」
 
 
まゆは驚いたように彼の方を向いたが、何も言えなかった。


 
 
…………二人の間に、重い沈黙が落ちた。
 
 
アダムスは天井を見つめたまま、静かに続けた。


「僕は……まゆさんに寄り添いたかった。あなたが自分で自分の欲求を見つけるのを、支えたかった。でも……男としての欲に負けてしまった。情けないです」
 
 
彼の声には、明らかな自責の念が滲んでいた。
 
 
まゆは胸が痛くなった。


アダムスが自分を責めていること、そして自分がその強引な挿入に、確かに激しい快感を覚えてしまったこと。


 
どちらも、言葉にできなかった。
 
 
二人は裸のまま、互いの体温を感じながら、心は少し離れた場所で、それぞれの葛藤に向き合っていた。

 


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