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『VIVANT』乃木を支えるAIハヤト ガバメントAI「源内」に重なる相棒の姿

ドラマ『VIVANT』続編に登場した別班のAI「ハヤト」は、もはや遠い未来の存在ではない。

2026年7月26日、TBS系「日曜劇場」で『VIVANT』第2シーズンが始まった。第1話では、別班を支援するAI「ハヤト」が初登場した。

その2日後の7月28日、現実世界では熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生。翌29日、デジタル庁は被災自治体や災害対応に関わる機関へガバメントAI「源内」の緊急提供を始めた。

この措置には、災害情報の集約や整理、共有を支援し、現場の職員に業務が集中するのを防ぐ狙いがある。

源内は、政府職員が生成AIを業務に使うために、デジタル庁が整備した共通基盤だ。文章の作成や要約、情報整理、法令の検索などを支援する。2026年5月からは、全府省庁の約18万人を対象とした大規模実証も進められている。

安全保障を担うハヤトと、行政実務を支える源内では、役割も能力も異なる。それでも、国家組織の中でAIが人間の判断を支える姿には、重なる部分がある。

1.仲間を失った乃木とAI「ハヤト」

大手商社の社員として働く乃木憂助(演:堺雅人)は、実は自衛隊の非公認諜報組織「別班」の工作員だった。

公安、国際テロ組織「テント」、各国の情報機関が入り乱れるなか、乃木は日本を守る任務と家族への思いの間で揺れる。本作は、国家、正義、裏切り、血縁を描く国際諜報サスペンスである。

福澤克雄が原作と演出を手掛ける『VIVANT』は、2023年7月に第1シーズンが始まった。2026年7月26日、毎週日曜21時の同じ放送枠で始まった第2シーズンは、前作最終回の直後から物語が続く。

乃木は、柚木薫(演:二階堂ふみ)と再会したのもつかの間、別班の緊急招集を受ける。司令官の櫻井(演:キムラ緑子)のもとへ向かうと、国内で療養中だった4人の別班員が拉致され、バルカ共和国に残った同僚・黒須(演:松坂桃李)も消息を絶ったと知らされる。

事態の収集を図るために導入されたのが、別班が独自開発したAI「ハヤト」(声:高山みなみ)である。ハヤトは、瞬時に病院の監視映像やSNS、犯罪者のデータを分析。別班員の情報を漏らした人物として、テントのモニターだった公安の新庄(演:竜星涼)が関わった可能性を示した。その情報を元に、乃木は公安の野崎(演:阿部寛)と再び手を組み、黒須の行方を追う。

第1シーズンの乃木には、現場で危険を分かち合う黒須や同僚の別班員たちがいた。

しかし、第2シーズンでは仲間の多くが姿を消してしまった。そんな乃木のそばに置かれたのが、肉体を持たないAIのハヤトである。

黒須が現場で乃木とともに戦うなら、ハヤトは膨大な情報を調べ、進むべき道を示す。まるで人間のように話すため、単なる検索システムにも見えない。

また本編とは別に、ドラマのCMでは、普段の「モヤモヤ」とした姿ではなく、人の姿になったハヤトが乃木とビールを飲む場面も描かれた。乃木は彼を「友達」あるいは「家族」と言う。

仕事中は国家機密を扱う相棒でありながら、仕事が終われば乃木と酒を酌み交わす間柄になる。

このギャップによって、ハヤトは一気に愛くるしい登場人物へ変わる。仲間を失った乃木の孤独を埋める存在にも見えてくるニクい演出だった。

2.AI「ハヤト」が越えない一線

ハヤトの特徴がよく表れているのが、拉致された別班員をどう追うか検討する場面である。

キプロスなど各国へ飛行機で移動した4人を追うのは難しい。一方、黒須が残ったバルカには砂漠が広がり、移動手段は車両に限られる。衛星画像を使えば追跡できる可能性があると、ハヤトは分析する。

ところが、必要な衛星画像を得る方法については、こう告げる。

「ロシアまたは中国の軍事衛星をハッキングする必要があります。ご承知のとおり、私はそれを禁じられています」

ハヤトは情報の所在と入手方法を理解している。それでも、禁止された行為は実行しない。

技術的に可能であることと、実行する権限があることは別だ。ハヤトは自分の考えで善悪を決めるのではなく、別班や国家が定めた規則に従う

『VIVANT』は、ハヤトを何でもできるAIとして描いていない。高い分析能力を持ちながら、許された権限の外には出られない。この制約こそが、ハヤトにリアリティを持たせている。

3.ガバメントAI「源内」と重なるハヤトの役割

現実世界の源内は、諜報AIではない。政府職員が文章作成や要約、情報整理などに使うシステムである。

ハヤトと源内が扱う仕事は大きく異なる。それでも、人間から指示を受け、定められた範囲で情報を処理し、判断材料を返す点は同じだ。

2026年7月の熊本地震では、源内が災害情報を整理し、職員の判断を支えるために緊急提供された。

AIの性能が上がるほど、「何ができるか」に注目が集まる。

しかし、国家組織で使うには、「何をさせないか」も決めなければならない。ハヤトが軍事衛星へのハッキングを拒否した場面は、人間による制限の必要性を分かりやすく示している。

安全保障と災害対応という違いはあるものの、国家組織でAIが職員を支える仕組みは、すでに現実になり始めている。

4.「ハヤト」と「源内」――名前を持つAIは相棒になれるか

『VIVANT』のAIは「ハヤト」、現実のガバメントAIは「源内」と呼ばれる。どちらも無機質な型番ではなく、日本語の人名を思わせる響きがある。

源内という名前は、「Generative AI」を略した「Gen AI」と、江戸時代の発明家・平賀源内を重ねたものだ。デジタル庁は、多様な発明に挑んだ平賀源内の精神も命名に込めたと説明している。

一方、ハヤトの由来は公式には明かされていない。劇中に出てくる「薩摩隼人」という文言と、今後どのようにつながるのかも気になる。

名前を持つことで、AIは単なる業務システムから、人間が呼びかけやすい存在になる。乃木がハヤトを「友達」や「家族」と呼ぶ場面も、その距離の近さをよく表していた。

ハヤトと源内は、それぞれに定められた役割の中で人を支え、組織の中に居場所を持つ。これからのAIは、無機質なシステムとしてではなく、名前を呼べる「相棒」として社会に入ってくるのかもしれない。


※VIVANT第1シーズンのレビューはこちら

※今回のシーズン2の記事がVOID_404様のアカウントでご紹介いただきました🎊


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