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【共同マガジン】7月のお題:「最近、ちょっと考え方が変わったこと」

「便利を捨てる、という贅沢」

最近、ずっと続けていたあるサブスクリプションを解約した。ボタン一つで何でも翌日に届く、あの便利な配送サービスだ。

解約した理由は、大それたミニマリズムへの目覚めではない。ただ、自分の生活があまりにも「摩擦ゼロ」になりすぎていることに、ふと恐怖を覚えたからだ。切らした調味料も、新刊の本も、画面を2回タップすれば明日には玄関の前に置かれている。効率的で、合理的で、完璧。だけどその便利さと引き換えに、私は「生活の手触り」を失っているような気がした。

考え方が変わってから、買い物の仕方が変わった。
わざわざ片道25分かけて、地域の小さな商店街まで歩く。お目当ての調味料を買うために、おばちゃんと「今日は暑いね」と二言三言、言葉を交わす。本が欲しくなれば、近所の本屋の棚をあてもなく眺める。そこにはアルゴリズムがおすすめしてくれない、偶然の出会いがある。

タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉がもてはやされる時代だ。1秒でも無駄を省き、最短ルートで正解にたどり着くことが正義とされる。しかし、人生の豊かさとは、むしろその「省かれた無駄」の中にこそ転がっているのではないか。

便利さを手放したことで、私の時間は少しだけ不自由になった。雨の日に買い物へ行くのは面倒だし、欲しいものがすぐ手に入らないもどかしさもある。けれど、その不自由さに足を止め、工夫し、誰かと関わるプロセスそのものが、今の私には何よりの贅沢に感じられる。




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