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腹圧が通る瞬間|臨床note⑤


呼吸をじっくり観察していると、
ある瞬間があります。

それは、
腹圧が通る瞬間です。



腹圧とは、
呼吸によって体の中心に生まれる、
内側からの圧力のことです。

横隔膜が動き、
その動きに深部の呼吸筋群が応答していく。

斜角筋群、腸腰筋、骨盤底筋群など。
こうした深い層が連動すると、
身体の中心に静かな支えが生まれます。



この圧が滞りなく通ると、
身体の使い方が少し変わります。

力を入れている感覚は、
むしろ減っていく。

それなのに、
動きは安定してくる。

不思議ですが、
臨床の現場で確かに起きる変化です。



腹圧は、
強く作ろうとしても、うまく生まれません。

力むほど、
呼吸が止まるからです。

けれど最初は、
多少の力みがないと、
何が動いているのかさえ
わからないこともあります。

だから最初は、
少しずつ感覚を育てていくしかありません。



横隔膜が動き、
呼吸のリズムの中で
腹圧が自然に生まれてくると、

体の中心に
静かな支えができます。

それは、
固めて作る安定とは少し違う。

内側から整い、
必要なところが自然に働いている感覚です。



臨床では、
この瞬間が出てくると、
動きが変わります。

立ち方。
歩き方。
腕の動き。

どれも少し軽く、
少しスムーズになる。

大きく変わるわけではなくても、
「何かが通った」とわかる変化が出ます。



腹圧とは、
単に力を生み出す仕組みではなく、
身体を支えるための機能的な環境
なのかもしれません。

呼吸が通ることで、
その環境が少しずつ整っていく。

そして、その入口はいつも
呼吸の中にあります。




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