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見えない流れは、感じるもの。


── どこで感じて、どうつかむか。


施術中に人の身体に触れているとき、
ふと、潮の満ち引きを思い出すことがある。

不調や痛みが強いときは、
まるで満潮のように、内側から波が押し寄せている。

あるいは──風もうねりもない、静かな凪のような状態が訪れたり


やがて、潮が止まり、
エネルギーを蓄えるような静けさが訪れる。


そのあと、確かに──潮が引いていく。


痛みがやわらぎ、呼吸が深くなり、
全身がひとつの呼吸をしているようになる。


そのうち、その人の身体全体が “還っていく” ような瞬間が訪れる。

僕はその流れを、掌を通して全身で観ている。


相手の奥にあるうねりと、
自分のうねりとが重なっていく。

まるで、見えない潮のリズムがシンクロしていくように。

そしてある瞬間、
何かがふっと溶けていく。

まるで空気の質が変わる。

不思議なことに、
僕がその変化を感じても、
本人はまだ「よくわからない」と言うことが多い。


けれど数日後、または一週間以内に──
「あのあと、すごく楽になってきて」と笑顔で話してくれる。

その眼差しの中にある光を見たとき、
あぁ、この仕事をしていてよかった、と心から思う。

見えないものは、
信じるよりも先に、感じるもの。

それは、瀬戸内の海のように穏やかで、
静かな祈りのように、美しい。



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