Photo by
annafoucault
見えない流れは、感じるもの。
── どこで感じて、どうつかむか。
施術中に人の身体に触れているとき、
ふと、潮の満ち引きを思い出すことがある。
不調や痛みが強いときは、
まるで満潮のように、内側から波が押し寄せている。
あるいは──風もうねりもない、静かな凪のような状態が訪れたり
やがて、潮が止まり、
エネルギーを蓄えるような静けさが訪れる。
そのあと、確かに──潮が引いていく。
痛みがやわらぎ、呼吸が深くなり、
全身がひとつの呼吸をしているようになる。
そのうち、その人の身体全体が “還っていく” ような瞬間が訪れる。
僕はその流れを、掌を通して全身で観ている。
相手の奥にあるうねりと、
自分のうねりとが重なっていく。
まるで、見えない潮のリズムがシンクロしていくように。
そしてある瞬間、
何かがふっと溶けていく。
まるで空気の質が変わる。
不思議なことに、
僕がその変化を感じても、
本人はまだ「よくわからない」と言うことが多い。
けれど数日後、または一週間以内に──
「あのあと、すごく楽になってきて」と笑顔で話してくれる。
その眼差しの中にある光を見たとき、
あぁ、この仕事をしていてよかった、と心から思う。
見えないものは、
信じるよりも先に、感じるもの。
それは、瀬戸内の海のように穏やかで、
静かな祈りのように、美しい。
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