「退行」はなくてはならない力
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どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
臨床心理に限らずとも、
「退行」という言葉は
耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
一時的に幼くなる。
赤ちゃん返り。
子育てを経験していたり、
子どもに携わる仕事をしていたりする方は
馴染みがある現象だと思います。
一方で、
臨床心理の観点からみると
「退行」は非常に奥深い深層が
秘められていると感じます。
実は、
このnoteに記事を書くということも、
退行の1つでもあるようです。
退行の本質とは
一体どのようなものなのでしょうか。
今回は、
「退行」という現象を
深く掘り下げる記事にしていきます。
何か気づきある内容になれば幸いです。
「夢」も1つの退行

退行というものは、
自我を守るための防衛機制の1つです。
発達上でよく見られる退行は、
弟や妹が生まれることにより
長子が赤ちゃん返りをすることでしょう。
赤ちゃんが生まれることにより、
両親の関心や愛情はそこに注がれることになる。
これまでは、一身に
自分が関心と愛情を受けてきたのですが、
それが少なくなることにより、
一時的なエネルギーの供給切れを起こす可能性がある。
そのことによって、
自我が不安定になるかもしれません。
だからこそ、
実年齢よりも幼い行動をして関心を寄せ、
エネルギーを供給しようとしている。
退行には、
そのような役目があると言えるでしょう。
一方で、
退行は子どもだけのものではありません。
大人も多分に退行の防衛機制を用いています。
極論的なものを言えば、
「夢」も退行現象であると言えます。
人間の心的活動は、
一次的心的経過と二次的心的経過に分かられる。
一次的心的経過は快感原則という、
いわば本能的な素直な自分の欲求の世界です。
二次的心的経過は現実原則という、
現実社会に自分の欲求を適合させる世界です。
私たちの意識は、
普段は現実的なことばかりを考えています。
よってこれは二次的心的経過。
一方、夢では、
現実ではあり得ない現象が起こり、
無意識的な欲求が解放された状態です。
だから、一次的心的過程。
二次的心的過程から、
一次的心的過程に下がることを退行と括ることができる。
少し難しい表現ですが、
もう少し、臨床心理的にかみ砕いていきます。
「殺人」も「回復」も同じ退行

さて、
「夢」が1つの退行であると言えるならば、
「妄想」も同じように
退行であると捉えることができます。
妄想といっても、
臨床心理でいう妄想ですので、
幻覚に近いような症状です。
夢は筋の通らない、
あり得ない変な話が出てきます。
これは、自我の働きが低下しているために、
まとまりのある思考ができていないから。
妄想症状があらわれるほどの人は、
同じように自我が弱っており、
まとまりのある思考ができません。
だからこそ、
体の中の不快感やざわざわした気持ち悪さを
冷静に内省して、説明することができない。
よって、
「体の中に変な虫が入ってきている」といった
非現実的なまとまりのない説明になってしまう。
このような退行を
病理的退行と言います。
殺人などの事件も、
「~を手に入れる」「~を達成する」
という本能的な欲求を満たすために、
社会的に容認される形かをすっとばして
非現実的な手段をとってしまうという
退行現象でもあります。
しかし、
退行はマイナスの意味合いばかりではありません。
例えば、
仕事の休憩時間。
同僚と雑談をしたり、
昼寝をしたりすることも退行です。
退行をしないということは、
常に緊張しており、気が張り詰めている状態。
それはつらいし疲れるので、
健康的な人は退行することによって
自我を回復させているのです。
このような退行がうまくできない場合は、
うつ病や強迫症、摂食障害といった
自分を抑圧した症状に発展していきます。
この
「退行は回復的な側面がある」
という部分が
心理療法においても極めて重要になります。
心理療法では、
クライエントにありのままに語ってもらい
自分を縛っている枷を1つずつ外していってもらう。
つまり、退行を促しているのです。
退行しやすいように、
クライエントとの間で安心できる空間をつくり、
クライエントの話を否定することなく傾聴し
共感を重ねていくことでさらに退行のレベルを促していきます。
そうすると、
退行は回復的な側面がありますから、
クライエントがもともと持っている
人間としての潜在的な回復力が働くことになる。
それが治療効果につながっていくのです。
ただし、
何でもかんでも退行すればいいわけではなく、
自我が弱すぎる段階の人に退行を促すと、
現実世界で生きていけないほど退行するおそれもあります。
すると、病気が進行したり、
怒りが増悪し過ぎたりする可能性もある。
その点は、
クライエントの状態を見極めて
退行を促すかの判断が必要となります。
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