出産費用が保険適用に——2027〜2028年、何が変わるか
薬局の窓口に立っていると、若いご夫婦から「出産費用って保険きかないんですよね?」と確認されることがあります。これまでの答えは「はい、正常分娩は全額自己負担です」でした。
2026年5月29日、その前提が変わる法律が成立しました。
何が決まったのか
今回の健康保険法等の改正で、正常分娩への公的医療保険適用が決まりました。全国一律の単価を設け、その費用を公的保険で賄う制度が新設されます。
現時点で決まっているポイントは次の通りです。
正常分娩の標準費用 → 自己負担ゼロを目指す方向
帝王切開・吸引分娩 → 従来通り保険適用+3割負担(一定の現金給付あり)
お祝い膳・個室など付加サービス → 引き続き全額自己負担
施行は「公布後2年以内」とされており、準備が整った医療機関から順次移行する予定です。現実的な開始時期は2027〜2028年度と見込まれています。
今の「出産育児一時金」とどう変わるか
現行の仕組みでは、出産すると健康保険から出産育児一時金50万円が支給されます。しかし実際の出産費用は地域や施設によって差があり、全国平均でおよそ50万円台、都市部では60万円を超えることも少なくありません。
現行:出産費用60万円 ─ 一時金50万円 = 自己負担10万円
保険適用後:公的保険が費用を直接負担 → 自己負担ゼロ
具体的な全国一律単価はまだ決まっていません。単価の水準によっては「完全ゼロ」とならないケースも出てくる可能性があります。ただ方向性として「出産費用の自己負担を大幅に減らす」ことは法律に明記されました。
薬剤師×FP視点から感じること
FPの勉強をしている立場から見ると、この変化は「出産に備えたお金の考え方」にも影響します。
これまでは「正常分娩は保険がきかないので、一時金50万円で足りなければ貯蓄で補う」という前提で、出産への備えを考えてきた方が多かったと思います。保険適用後は、正常分娩の費用について特別な備えが不要になる方向です。
一方、帝王切開は引き続き3割負担が続きます。民間の医療保険は「帝王切開や合併症出産のリスクへの備え」として、引き続き役立つ場面があります。
今からできること
制度の開始は2027〜2028年度の予定で、今すぐ手続きが必要なものはありません。
ただ「出産費用に保険が適用される時代が来る」という流れを知っておくだけで、将来の準備の仕方が変わります。具体的な単価は厚生労働省が今後公表する予定です。まずは「この制度が動いている」ことを、周りの方にも伝えてみてください。
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▶ 保険のきかない薬が増えるかも——2026年5月改正で変わること
(同じ健康保険法改正で変わる「処方薬の保険外療養」の話)
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(公的保険の自己負担が変わる流れを合わせて知っておきたい)
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