退職後の保険、任意継続か国保かで年間数万円変わる——損しない選び方
知らないと損する公的制度
「退職後の保険はどうしたらいいですか」
薬局で患者さんから「退職することになったんですけど、保険ってどうしたらいいんですか」と聞かれることがあります。傷病手当金の申請で来局された方が、ふとこの質問を口にすることも少なくありません。制度の仕組みを知っていれば、選ぶ基準は意外とシンプルです。
退職後に選べる2つの保険
会社を退職すると、健康保険の選択肢は大きく2つになります。
① 任意継続
在職中に加入していた健康保険組合や協会けんぽに、退職後も最大2年間加入し続ける制度です。ただし、これまで会社が半分負担していた保険料を自分で全額払うことになるため、保険料はおよそ在職中の2倍になります。保険料には上限があり、協会けんぽの場合は標準報酬月額30万円が上限となっています。手続きは退職後20日以内に行う必要があります。
② 国民健康保険(国保)
前年の所得をもとに各市区町村が計算します。任意継続と大きく違うのは、扶養の概念がない点です。配偶者や子どもがいる場合、家族それぞれに保険料がかかります。
試算してみると差が出る
モデルケースで考えてみます。
退職前の年収が400万円(標準報酬月額28万円)、配偶者と子ども1人を扶養している40代のケース。
任意継続:月額約2万7,700円(協会けんぽの場合。家族の保険料は追加でかからない)
国保:前年所得や自治体によって異なりますが、扶養家族がいると家族分も加算されるため、月額3万〜4万円になることもあります
このケースでは任意継続のほうが年間数万円安くなる可能性があります。
一方、退職前の年収が200万円台の方や、扶養家族がいない場合は国保のほうが安くなることもあります。どちらが得かは年収・家族構成・自治体によって変わるため、一概に「任意継続が正解」とは言えません。
薬剤師×FPとして伝えたいこと
FP的な視点で言うと、任意継続か国保かは「保険料の比較」だけで決める話ではありません。任意継続中は在職時と同じ健康保険組合の付加給付(健康保険組合が高めの医療費の一部を補填してくれる上乗せサービス)が使える場合があります(組合によって異なります)。一方、国保は前年所得が低い場合に保険料の軽減制度が使えることもあります。
退職後の保険選択は、保険料の額だけでなく、収入の見通しや家族構成を踏まえて判断するのが基本です。
今日からできること
まず試算する:国保の保険料は各市区町村の窓口やWebシミュレーターで確認できます。協会けんぽの任意継続保険料は退職前の標準報酬月額から計算できます。
20日以内に動く:任意継続を選ぶ場合、退職後20日を過ぎると手続きができなくなります。退職が決まったらすぐに確認しましょう。
どちらの選択も、正しく比較した上で決めれば損はしません。
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