病気で休んだとき月収の2/3が最長18か月——傷病手当金の計算と申請の話

知らないと損する公的制度


薬局で長期処方を受け取りにきた患者さんに、たまに聞かれることがあります。「仕事を休むことになったんですが、生活費はどうなりますか」と。こういう場面で私が必ず案内するのが、傷病手当金です。

病気やケガで働けなくなったとき、会社員・公務員の方には「給与の約2/3を最長1年6か月受け取れる」という公的制度があります。民間の就業不能保険を検討する前に、まずこの制度の実額を計算しておくことを、FPとしてもお伝えしたいと思います。

受け取れる金額の目安

計算式はシンプルです。

1日あたりの支給額 = 直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3

「標準報酬月額」とは、給与をもとに保険料計算に使われる額のことで、おおむね月収に近い数字です。

月収別に試算するとこうなります。

  • 月収30万円の方:1日約6,667円 → 月約20万円

  • 月収40万円の方:1日約8,889円 → 月約26.7万円

  • 月収50万円の方:1日約11,111円 → 月約33.3万円

たとえば月収35万円の会社員が3か月休職した場合、月約23万円×3か月で約70万円を受け取れる計算です。

支給されるための4つの条件

受け取るには以下をすべて満たす必要があります。

① 健康保険に加入している(会社員・公務員等。国民健康保険の自営業・フリーランスは対象外)

② 病気やケガで療養中である(仕事に関係のない私傷病も対象)

③ 労務不能である(医師による証明が必要)

④ 連続3日間の待期を経過した4日目以降(待期3日は有給休暇・土日でも構いません)

支給期間と注意点

支給期間は「支給開始日から通算して1年6か月」です。2022年の改正で「通算」になったため、途中で復帰しても休職していない日は期間に含まれません。断続的な休職でも、合計1年6か月分受け取ることができます。

注意したいのは、給与が一部支払われている場合です。傷病手当金と給与の合計が標準報酬日額を超えると、超えた分は支給されません。有給休暇を使っている間は傷病手当金が支給されないケースもあるため、職場の担当者に確認しておきましょう。

薬剤師FPとして感じること

休職中も処方薬は続きます。慢性疾患で月1〜2万円の薬代がかかっている方にとって、傷病手当金があるとないとでは、治療の継続しやすさがまったく違います。

FPとして伝えたいのは「民間の就業不能保険を考える順番」です。まず公的制度で月収の2/3を確保できることを知ったうえで、「それでも足りない分をどう補うか」を考える——この順番で設計すると、必要以上に高い保険料を払うリスクが減ります。

「最長1年半もらえるなら、民間保険はいらないかも」と感じる方もいれば、「1年半後が不安だから備えたい」という方もいると思います。どちらが正解かは生活費や貯蓄額によって変わります。制度の実額を知ることが、その判断の出発点になります。

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