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『都市風詠の探究100句』現代語俳句集

現代語俳句集です。

「都市風詠の探究」をテーマにまとめました。

都市風景とその現代体験の良さを楽しんでいただけたら幸いです。


「ふだん読み書きする現代日本語」を基本に、現代語・現代仮名遣い・現代切れ字(候補)を用いて詠んでいます。

下記の古語・歴史的仮名遣い・古語切れ字を使用していないこともご確認ください。

や・かな・けり・たる・たり・なる・なり・あり・をり・ぬ・べし・にて・らむ・けむ・とや・てふ・ゐて・ゐし・ありし・なりき、等々


一句ごとの現代体験を
楽しんでいってください


『都市風詠の探究100句』
現代語俳句集

「永日」
春の部

駅塔よあさをゆうべをはなふぶき


花吹雪エスカレーター地下を出て


翔つおとのそらとひろがれ春の駅


初蝶よ花だん日あたるいしだたみ


電柱がしんとたたずみ黄たんぽぽ


指揮棒がきざむオーケストラよ春


おおさかを出ておおさかは春夕焼


離陸機よ窓下いちめんさくらどき


タンカー来るオイルロードを春岬


マンションの春灯千々の星のなか


ビルの群れかげ落としあう春雲よ


スカイツリー東京タワー花のくも


舞い上がる花スクランブル交差点


イヤホンよ桜ソングがふぶくそら


ショーウィンドウ黙を映すか夕桜


いちめんよ高層階よりしゃぼん玉


駅に見てひとつといわずはるの月


ロケットが飛びたった空まさに春


低くひくくふもとの街へはるの雪


明治以後おぼろにともるガス燈が


ジャムナイフパンに撫でつけ春暁


バス停がしずまるたびよ落つばき


見るかぎり平和通りでかげろうで


塔のどかときおり鳩を翔たせては


クレープのキッチンカーと永日と


「朝焼け」
夏の部

顔あげていた夏ブルーインパルス


東京タワー昭和の夏のざわめきよ


空よりもとおくを見つめソーダ水


ハードル走次つぎと夏こえゆくか


新幹線富士過ぎてゆくすずしさよ


アトリエよ雨だれいろの濃紫陽花


革靴のつやあるきだす梅雨明けか


羽ばたいて灯のマンタこそ水族館


教会のレンガ日褪せて薔薇のなか


衛兵がすっくすっくとあるく夏至 


集中よパセリをちらすパスタの上


透明層またかき回すアイスティー


羽ひろげ鳩おりてくるふんすいよ


れいぼうよどの絵もくらく美術館


ビールラムウォッカ多言語多民族


部屋のなかただよい続け夜の金魚


ランニング朝焼けの街はずみだす


香水よブルーの香から減ってゆく


水平線かたむけビーチパラソルが


サーファーが乗った波こそ海走れ


ひこうき雲夏の行方を見るような


市内電車吊りかわくらく西日さす


銀天街灯のすずしさのきわまって


群衆のまつりうちわよひらひらと


マンションの灯が朝焼に変るまで


「灯の駅」
秋の部

スカイツリー空新涼ということか


バス発って落ちてきたのは桐一葉


もくとうよとどけつづける原爆忌


顔照らす花火きえてはまたひらく


あさがおよいにしえの京いまの京


コーヒーを注げば湯気よ今朝の秋


ゴーギャンのこころの奥へ美術展


待たされて月スクランブル交差点


住む街が問いかけてくる秋の灯よ


ゴスペルにブルースレゲエ長い夜


新幹線なごやおおさかあまのがわ


フライパン火にかけどおし豊の秋


駐車場夜のすみに聴くこおろぎよ


応援団長天よりたかいこえをだせ


食べ終えて残る林檎のデッサンが


銀杏散る立てかけられた自転車に


工業地えんとつまで灯秋ゆうばえ


離陸のかげ着陸のかげあきのくれ


バックパッカーゆく街々の秋夕焼


ガス燈が霧の果てまでいしだたみ


ノイシュバンシュタイン城が秋暁


椅子の脚にも黄落のカフェテラス


灯の駅よ水かがみしてあきのあめ


踏切りのおともしずかか秋のくれ


航跡よゆくて夜明けてほしづき夜


「空港」
冬の部

千々の雪やまずつもらず灯の市駅


ヘッドフォン雪舞う空の静かさよ


はつゆきか交差点ごと暮れいそぎ


マスクしてだれもだれかの群衆か


雪舞わす路地の奥へとならぶ灯が


電車来てうつす灯の駅ふゆのあめ


乗降客たがいちがいのしらいきよ


ふゆの灯のうごかず発車時刻まで


今朝をゆく傘の波紋よふゆのあめ


ホットコーヒー雨後の沈黙大切に


木枯らしをゆびさして立つ銅像か


勝者にも雪をあおがすマラソンが


アメリカがひとすじ冬の飛行機雲


ビルといういちまいの朱よ冬夕焼


平和通り日暮れ静かに木の葉降れ


降りやまず交番にまでゆきだるま


なべ敷きにポトフよふゆの風物詩


雪の暮れ壁掛けの絵のかたむいて


コンビニは街灯ふゆのほしいくつ


暮れてより灯の白鳥よみずのうえ


地の底のおととどろかす除雪車が


ふねの灯がとうだいの灯が大寒よ


明けぞらのほしごとふゆの空港か


夜明けるか電気ケトルのさむい影


春隣シャワーヘッドのしずくして


終わり


◇解説・補足等

この現代語俳句集は、都市風景を詠む『都市風詠』の取り組みを基本としつつ、

「ふだん読み書きする現代日本語」を基本に、現代語、現代仮名遣い、現代切れ字(候補)を用いて詠んだ作品をまとめました。

主に四季の都市風景とそこでの暮らしを詠んだ句が中心です。


「575の型、季語、切れ字、切れ」をはじめ、「挨拶、季感、間の概念、機知、余情、言葉の凝縮、省略、緊張、格調」など、

俳句が俳句として長い年月をかけて培ってきた特性を放棄せず、継承して活かすことを重視しながら、現代の言葉を基本にした詠法を探ったものです。

また都市詠の取り組みを、今後も展開、発展させていけるのか、という点についても検証など行ってみてください。

2018年〜2026年までにnoteに投稿した俳句から100句を選んで収録し、作品記録の一つとしてまとめました。


◇都市風詠の取り組みの大まかな解説

都市の風景やそこでの暮らしを見つめ、詩情等を見い出して詠む俳句の取り組み。


使用している切れ字の候補について

下記は、現代語の俳句で
切れ・間を生むための語を探った記事です


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