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日本は貧困国なのか

日本は戦後の高度成長期を駆け抜けて、世界屈指の経済大国になりました。

2024年の名目GDP(国内総生産)は、4兆262億ドルで、アメリカ、中国、ドイツに次いで世界第4位となっています。

しかし昔を知る私には、「え?」という数字でした。
たしか1位や2位を争うようなレベルだったと記憶していたのに、かなり下がっているからです。

そこで現状を色々と調べてみることにしました。
はじめは数字の話が中心なので、苦手な方は目次から<まとめ>に進んでからお読みください。


<名目GDP1990年との比較>

2024年のこの名目GDPを、いわゆる「失われた30年」以前の1990年の数字と比較してみます。

1990年、アメリカの1位は変わりませんが、日本は堂々の世界第2位で、しかも3位のドイツとは倍近い開きがありました。

しかし、2024年には第4位です。

しかもこの間アメリカは約4.9倍に、2位の中国はなんと47.2倍に、3位のドイツは2.9倍になっているのに対し、日本は1.2倍とほとんど伸びていないのです。

<一人当たりGDP>

さらに、一人当たりGDPを見てみるとは32,498ドルで、なんと38位。これは36,129ドルの韓国をも下回ります。

<一人当たりGDP1990年との比較>

これを先程と同様に1990年の数字と比較してみると、1990年には25,809ドルで世界第8位だったものが、38位まで急落しているのです。(この表にはブエルトリコとアルバが抜けているので36位になっています。)

当時41位だった韓国は5.3倍の33位になっていますが、日本は1.26倍にしかなっていないため抜かれてしまったのです。

<実質GDP成長率>

経済成長率を見てみると、日本はかすかに成長しているレベルで、0.08%の174位、176位のドイツはマイナス0.23%なので、日本はぎりぎりプラス成長と言ったところです。

しかし直近ではマイナスに転じてしまったようですね。

アメリカは2.8%成長で109位、韓国は2%で132位、成長目覚ましい中国は5%成長で38位となっています。

<平均年収>

次に個人の年収はどうなっているか見てみましょう。

2023年の平均年収は32,409ドルで24位です。

一方アメリカは80,115ドルで4位、
ドイツは52,226ドルで16位、
韓国は35,063ドルで22位で、韓国をも下回っています。

<賃金上昇率>

賃金の伸び率は最低です。

1995年を100とした数字で、日本はそれを下回っており、諸外国で唯一30前と比べて賃金が伸びていないのです。
これが失われた30年と言われる所以ですね。

アメリカは257%、
ドイツは185%、
韓国は324%にもなっているのです。大きく水をあけられていますね。

<相対的貧困率>

そこで登場するのが貧困率です。

相対的貧困率といい、国民の中で所得が中央値の半分以下の人々の割合で、この数字が高いほど貧困に陥っているということです。

OECDの2021年のデータでは、日本は15.4%で、アメリカや韓国よりも上回っており、貧困化が進んでいるというのです。
これにはびっくりします。

<まとめ>

日本は依然として経済大国で、アフリカや南アジアの発展途上国のような衣食住すら満足に得られないというような絶対的な貧困国ではないようですが、相対的に格差が拡大し、先進国の中でも最悪レベルの貧困率となっています。

物価の上昇に賃金が追い付かず、生産性も低下し、OECD内でも競争力が低下してきています。

<いくつかの疑問>

ここまで見てくると、いくつか疑問が生じてきます。

  • GDPが伸び悩んでいるのはなぜか

  • GDPと一人当たりGDPでなぜこんなに開きがあるのか

  • 一人当たりGDPの伸びが低いのはなぜか

  • 上げるためにはどうすればいいのか

  • 経済成長率がこんなに低いのはなぜか

  • 平均年収が低いのはなぜか

  • 賃金上昇率が100%を割っているのはどういうことか

  • アメリカが257%も伸びている理由は何か

  • なぜ貧困化が進んでいるのか

  • 失われた30年から脱却できているのか

  • このまま貧困国になってしまうのか

これらをいろいろと調べてみました。

(なぜ経済成長率が低く、GDPが伸び悩んでいるのか)

今はまだGDP世界第4位ですが、前述のとおり、その成長率の低さからじりじりと順位を下げています。これは、いろいろな要素が絡み合っているようです。

  • 古い企業が多く、生産性が上がっていません。

  • 制度改革も遅れています。

  • 企業は内部留保を優先し、投資にも消極的です。

  • 賃金が上がらないから消費も伸びません。

  • 少子高齢化により労働力が不足し、消費者数も減少しています。

  • 世界的に見ても日本だけ人口が増えていません。

(一人当たりGDPだとランキングが下がるのはなぜか)

一人当たりGDPは、GDPを人口で割った数字です。
つまり人口が多いために、それで割った数字が小さくなるというわけです。

先進国の中でも日本は人口が多いのです。

このことは、全体のGDP、日本の総力としては高いけれど、一人当たりGDP、個々の効率は悪いということで、これだけあくせく働いている割に報われていない現実を表しています。

(一人当たりGDPの伸びが低いのはなぜか)

前述のように、日本の一人当たりGDPは1990年と2024年を比べても1.26倍とほとんど伸びていませんが、アメリカは3.6倍、ドイツは2.7倍、中国に至っては38.4倍になっているのです。

日本だけが、GDPも人口も横ばいなのです。だから伸びないのです。

(一人当たりGDPを上げるにはどうすればいいか)

一人当たりGDPを上げていくために言われていることは、まず労働生産性を高めることです。

AIを活用して業務を自動化したり、デジタル化を進めて効率化を図り、長時間働くことよりも、より付加価値を生むようにしなければいけないということです。

それには、高い専門性やスキルを持った人材が不可欠で、それを育ててさらに伸ばしていくための教育投資も必要です。

企業は内部留保重視の姿勢から一歩進んで、適切な評価と報酬により成果を人に還元することが重要なのです。

そうすることで購買力も上がり、消費が促進されて、新たな成長を生む好循環となるのです。

以前書いた記事のような静かな退職もなくなっていくことでしょう。

(日本の平均年収が低いのはなぜか)

結論が先に出てしまったようですが、日本の平均年収の低さを考察すると、単に景気が悪いからと言うわけではないのです。

まずは先ほどの企業が収益を賃金に余りまわしてこなかったことが挙げられます。
従業員の待遇改善に消極的で後回しにされてきたのです。

これは年功序列・終身雇用により安定した雇用を確保しようとするあまり、社歴が長いだけで実力の伴わない社員も同様に扱うことになり、収益もあまり上がらず、よって賃金もまた上がらないという悪循環になってしまっているのです。

また、日本はパートやアルバイト、派遣や契約社員といった非正規の従業員の割合が4割と非常に高く、彼らの年収が約200万円と正社員に比べて低いため、平均年収の数字を大きく押し下げることになっています。

コストカットを人件費で行ってきたためです。

日本は諸外国に比べて労働組合の力が弱く、経営陣に対する賃上げ圧力がかかりにくいことも要因の一つでしょう。

(賃金上昇率も日本だけ100%を下回っているのはどういうことか)

こうしたことに加え、1998年ごろからは物価が下がるデフレになってきます。

企業としては価格が下がるので売上も下がり、給料はさらに上げにくくなってしまいました。

最近では円安が進んだため、ドル換算の賃金では同じ給料でも計算上さらに下落してしまうことになってしまっています。

(アメリカの賃金上昇率が257%にもなる理由は何か)

一方アメリカなどが大きく伸びた理由は何でしょうか。

まずアメリカにはグーグルやアップル、アマゾンといった巨大企業があり、高い収益を上げています。
こうした企業は賃金水準も高く、年収1500万円も珍しくないと言います。

しかし非常にシビアで、成果が出れば昇給しますが、出なければ解雇になります。
ですから働く側もスキルアップに努め、企業側も優秀な人材確保のために積極的に賃上げをします。

またアメリカは慢性的にインフレです。
これは賃金上昇分を価格に転嫁しやすいからです。
物価に連動して賃金も上がるという文化なのです。

これらを日本と比べて見るとどれも真逆のようになっています。
賃金形態は成果主義に対して日本は年功序列。
向こうは労働生産性が高いのに、日本は低いです。
産業面でもITなどに積極的に取り組んでいるのに対し、日本は戦略そのものが不明確です。

(なぜ貧困化が進んでいるのか)

中央値所得の50%未満しか収入がない相対的に貧しい状態になってしまっているのはどうしてなのでしょうか。

それは先ほど述べたような、

  • 非正規雇用のシングルマザーのような「働いても貧しいワーキングプア」の人が多いこと。

  • 年金が生活費に見合わない高齢者の貧困が深刻なこと。

  • ひとり親での教育格差が子供の世代の貧困にもつながっていること。

  • 税金や社会保障費の増加で実際に使えるお金が減っており、これらによる格差を縮める力が弱く、格差是正の仕組みが機能していないこと。

  • そもそも全体の賃金が上がっていないため、「中央値」自体が低く、真ん中が貧しいことで相対的貧困が増えているということです。

(失われた30年から脱却できず、このまま貧困国になるのか)

実際、日本はこのまま相対的に貧困化していく可能性を指摘されているのです。

それは、技術開発や起業力が鈍化して国際競争力が低下してくること。

少子化や高齢化で生産力が減ってくると、税収も減り社会保障もさらに難しくなってきます。
教育投資や賃金への配分が十分ではなく再生可能な社会になりにくいく、将来的に今の水準すら維持できないというのです。

「静かな貧困化」が徐々に進行中だということなのです。

<日本が相対的に貧困化していくことを防ぐことはできるのか>

このように将来相対的に貧困化していく「静かな貧困化」が進むことを食い止めるにはどうすればいいのでしょうか。

それには今まで触れてきたようなことの“逆をすればいい”ということです。

「働いても報われない」社会にならないように、働き方・教育・再分配の構造を変えていくことです。

(賃金構造の改革)

今のように働いても働いても貧しさから抜け出せないということにならないように、賃金改革をする必要があるでしょう。

割合の高い非正規雇用の人たちが低賃金となっていることを是正するため、同一労働同一賃金を今よりももっと徹底することです。
まだまだ効果が出ているとは言い難い状況です。

EUなどでは基準賃金を統一しているようです。

また年功序列で実力のある人材が育たなくなってきているため、評価方法を見直し、成果主義にもう少し舵を切ることで、本人の実力に見合った賃金にすべきです。

税制面でも企業が賃上げをすれば法人税が軽減される仕組み「賃上げ促進税制」がやっと昨年導入されました。
効果がどの程度出るか期待されます。

(教育・成長投資の強化)

家庭環境によらず教育を受け、スキルを習得できるような支援をすることで、将来の世代の貧困を防ぐことができるでしょう。

学校教育の無償化は、日本ではまだ限定的で普及していませんが、ドイツでは大学も授業料が無料だと言います。

社会人のスキルアップのための学び直しも、講座費用の補助制度はありますが、対象がすごく限定的です。
シンガポールでは一人数万円も支給されるそうです。

またこれからのデジタル社会への対応も強化する必要があり、「GIGAスクール構想」なるものが出来たようですが本格活用には時間がかかりそうです。

国際化をもっと進めるためには英語教育の見直しも必要でしょう。

(社会保障の再設計)

格差を少しでも少なくするために、税制面の見直しがもっと必要だと思います。

今問題になっている消費税は、収入が多い人ほど負担割合が下がる逆進性のある不公平な税だと言われています。

全廃が難しければ、食料品だけ0%、或いは全体の税率引き下げを実施してほしいものです。

アメリカなどでは、働く低所得者に対し、一定額を戻す「給付付き税額控除制度」というものがあります。
日本ではまだ議論の最中(されていれば)のようです。

同様の制度がフランスでは子育て世帯に収入に応じて給付を行ったり、無料で医療や教育を受けられたりするようです。

また、今問題になっている日本人には厳しく外国人には甘いとされる生活保護制度も、もっと手続きを簡素化して日本人が受けられるようにすることも必要でしょう。

スウェーデンでは、年金保険に入っていなくても、生活できるよう一律の基礎年金が支給されるようです。

これらのことを、バラバラに行うのではなく、スピーディーに連携させて動かしていくことが今求められていますが、見ている限りでは、ちょっと期待とは程遠い状況のようですね。

<最後に>

最後に、世界幸福度ランキングを見てみると、アメリカは23位、ドイツは24位、それに対して日本は51位と大きく水を開けられています。

これを何とか上げていきたいですね

<参照ページURL>

OECD貧困率

https://www.oecd.org/en/data/indicators/poverty-rate.html

世界経済のネタ帳世界のランキング

グローバルノート国際比較統計

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