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【小説】魔王らしくない魔王様 第一話 魔王カミュスヤーナ

【あらすじ】
人間の住む地エステンダッシュ領の領主カミュスヤーナは、魔王エンダーンに、かつて自身の髪と瞳の色を奪われた。その上、従兄妹のテラスティーネの身体も奪われたことをきっかけに、それらを取り戻そうとエンダーンと対決。結果、討伐し、魔人の住む地ユグレイティの魔王の座に就いた。

彼は、人間の住む地で育ったためか、母親の影響か、とても魔王らしくない魔王だった。

第一話 魔王カミュスヤーナ

私の名はカミュスヤーナ。つい最近魔王になった者である。

私は新しく建築した館で、宰相アシンメトリコの報告を受けていた。
「魔王ミルカトープ様より、購入した魔人の引き取りはいつになるかと、問い合わせが入っております」
「それは前魔王が購入した者であろう?断ることはできぬのか?」
「既にエンダーン様が対価を支払われているので、なかったことにはできない、とのことです」
また降ってきた厄介な問題に、私は大きく息を吐いた。

私は普段、人間の住むエステンダッシュ領の摂政役を務めている。摂政役とは、領主の補佐を行う役職だ。
だが、とある事情により、私は魔王エンダーンを討伐してしまった。そのため、魔王の座を継承し、エンダーンが治めていた魔人の住むルグレイティの地を統治する羽目に陥った。

ルグレイティの地は大部分が森だ。住んでいる魔人は、この館にいるもの以外はおらず、町や村などは存在していない。
魔物は存在しているが、それぞれの種族で固まって集落を作っている。たまに大型の魔物が飛来したとかで助けを求められることがあり、その脅威の排除などは行っている。

ルグレイティの地への不法滞在、ルグレイティの地に住処がない者の資源の採取、館への攻撃などは許していない。
魔王としての仕事はほとんどないのだが、前魔王が行っていたことの後始末は私が行わなくてはならない。

先ほどアシンメトリコと話をした内容から、以前、エンダーンの配下だった自動人形アメリアが言っていたことを思い出した。
「エンダーン様は一人の魔人がお気に入りになられたのですが、その魔人が他の魔王に仕えているので、現在、交渉中です。相手の魔王の方とは友好関係を断ち切りたくないようでした」
このことか……。

アメリアは、現在エンダーンの養育、教育にかかりきりになっており、今まで行っていた交渉事や私への事態の取次等、こまごまとした仕事に関しては、全てアシンメトリコに引き継いでいる。

前魔王と同じ名前の子ども。あれはエンダーン本人だ。討伐時に私がその魂と魔力を奪ったため、それに伴って赤子になってしまった。今はそれから成長し5歳児くらいの容姿になっている。
元々エンダーンに執心していたアメリアは、これを機にと彼の世話に聞きとして取り組むようになってしまった。私としても、エンダーンに関わっている時間はないので、ほぼ任せきりとなってしまっている。

「仕方ない。まだ魔王ミルカトープには魔王就任の挨拶をしていなかったし、挨拶がてら、その魔人を引き取りに行く」
「かしこまりました。先方にご都合の良い日時を伺ってみます」
「頼む。それと魔王ミルカトープと前魔王は親しかったのか?」
「魔王ミルカトープ様はお隣のジリンダの土地を治めています。魔王歴は50年くらいだったかと。エンダーン様は魔王になってそれほどたっておらず、魔王になったばかりの頃は交流が多かったようです。ここ最近はそれほどではありませんでしたが」

魔人は元々人間よりも寿命が長い。
魔王歴50年はそれでも長い方だ。魔人は自己の欲求に忠実で、一箇所に留まらない者も少なくない。それに、魔王自体が基本が討伐での継承なので、力を鼓舞したい魔人の中で、その者の力量によって頻繁に変わる。

私が魔王に成ったのは、エンダーンが美しいものが好きという欲求に忠実だったため、私への干渉が強く、度が過ぎて私に逆に打ち取られてしまったためだった。
引き取る予定の魔人もきっと美しいのだろうな。。
私は人の美醜には興味がないので、何か能力のある者だといいのだが。
魔王に就任してからもう何度ついたか数えきれない、深いため息を私は吐いた。

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