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靴紐を結ぶ朝

明るさを取り戻せない朝、
玄関の黄の灯りと寒さの影、
悴んだ指でゆっくりと靴紐を結ぶ。

昨日までの靴は、
壁際の棚の上。
新たな相棒は、
まだしわも寄らずに、
足を包む。

立って確かめる。
硬い皮が馴染まずに、
痛みをかかとに伝える。

ドアを開いて、
薄暗い朝の光を頼りに歩きだす。

信号の点滅に、
走りだすのをやめたのは、
踏み出す靴の重さ。

慣れた靴もはじめは硬かった。
靴紐も結びづらかった。

息が切れたとき、
靴紐がほどけて、
結び直す間に呼吸が整った。

ただ気づけば、
靴底は減り、
皮はかすれた。
そして靴紐はちぎれた。

新たな靴が玄関で待っている。
靴紐はほぐれたままだ。

そっと息を手に吹きかけあたためる。
靴紐を引っ張る指を取り戻す。

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