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走馬灯

誰にだって忘れたくない思い出がある。
肩車をしてくれた、
父の背より高いところから見える空と雲。
大事にしていたおもちゃが壊れて泣いていた、
私を慰めてくれた母の優しい声。
 
いつの間にか、
笑うことと泣くほかに、
嫌でも覚えてしまった、
思いが自分を責める。
 
父の背を超えて送り出して見た星と月。
老いた母の手を引き歩く。
重ねた日々の高さ。
逸らしたくなる目。
 
心の書き換えが追いつかない。
だから心で包んで棘を丸める。
明日を整えるために。
 
風はいつも逆。
一歩踏み出した瞬間に後ろへ流れていく。
心地よい眠りの夜を迎えられる日。
寝返りを何度も繰り返す夜。
時は変わらず重ねた記憶を映し出し続ける。
 
人生の主役は自分。
誰かの人生の自分は脇役。
私は誰の走馬灯に、
どんな姿で出ているのだろう。

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