お金は、人の性格を変えてしまう
「ごめんなさい」
僕が中3の、ある夜のことです。
僕は布団の中で、声にも出せないまま、何度もそう繰り返していました。
布団に入っても、なかなか眠れません。
壁の向こうのリビングから、両親が言い合う声が、ずっと聞こえていたからです。
うちは、寝室とリビングが隣り合わせの間取りでした。
だから夜の喧嘩は、いつも筒抜けで。
布団の中で「ごめんなさい」と思っていた
何にあやまっていたかというと、お金のことです。
当時の僕は、高校受験を控えていました。
塾にも通わせてもらっていたけど、成績は思うように伸びないし、行きたい高校もなかなか決まらない。気持ちが、ずっとどんよりしていた時期でした。
その塾代や、受験にかかるお金。
両親の喧嘩の引き金は、たいてい「僕にまつわるお金」やったんです。
「学費とか塾のお金、こんな高いねんで? ちょっとぐらい出してよ」
「妹の塾とかバドミントンのお金は、出してるわ」
「……そんな、お金お金、言うなよ」
「そんなん一部でしかないねん! 自分ばっかり、好きに遊び歩いて!」

布団の中で、僕は自分を責めていました。
僕の塾のせいや。
僕が「行きたい」なんて言うたせいや。
「もう、自分が諦めるから、ケンカせんといて。」
それが、本音でした。
でも、言い出せませんでした。
布団を頭からかぶって、聞こえていないふりをする。
そういう夜が、何度かありました。
ほんまは、行きたい高校があったんです。
そこそこスポーツが強い学校で。僕もずっと打ち込んできた競技を、「あの場所で続けられたらいいな」って。
最初のうちは、親に「行きたい」って言えていました。
でも、その話を出すたびに、家の空気が重たくなるのが、子どもながらにわかった。私立の学費が高いことくらい、中学生でもわかります。
だから、だんだん言わなくなりました。
そしてそのうち、「行きたい」という気持ちそのものを、自分でそっと、心の奥にしまい込んでいったんです。
当時の僕は、ずっとこう思っていました。
「うちは、お金に困ってるんやな」って。
お金がないから、親は喧嘩する。
お金がないから、自分は行きたい道も選べない。
お金は人を狂わせる。
実体験として感じました。
でも、大人になるにつれてわかった。
公務員共働きでお金に困るはずがない!
では、なぜお金に困っていたのか?
うちの両親は、二人とも公務員でした。
共働きで、毎月そこそこ安定した収入があって。世間から見たら、たぶん「お金に困ってない家」やったと思います。
実際、振り返ってみても、極端に貧乏だったわけではありません。
父は、わりと自由な人で。ダイビングに行ったり、キャンプに行ったり、車もあって、週末はあちこち出かけていました。面白くて、よく遊ぶ人やったんです。
じゃあ、なんで、あんなにお金で揉めていたんやろう。
大人になって、自分でお金のことを勉強するようになって、ようやく腑に落ちました。
うちには、お金の知識が、ほとんどなかったんです。
もちろん父の趣味でめっちゃ使ってたのも原因としてはあります。
でも一番大きいのが、
・新築マンションを高額で買って
・保険にもたくさん入り
・結構な頻度で新車に買い換え
・よくわからない金融商品を買い
こんな"典型的な"お金がなくなる生活をしていたんです。
足りひんかったのは、お金じゃなくて、
「お金の知識」やったんやな、と、今は思います。
母は、ほんまに優しい人でした。
僕ら子どものことをいつも一番に考えてくれて、愛情深くて。
そんな母が、お金のことになると、父に「あんたも、ちょっとは出してや」と、声を荒げる。
優しいはずの人が、優しくいられなくなる。
別に、誰が悪いわけでもないんです。
父が悪いわけでも、母が悪いわけでもない。
ただ、お金との付き合い方を、二人とも知らなかっただけ。
お金をめぐるすれ違いは、結局、その後もずっと続きました。
そして、僕ら子どもの手が離れ、僕が大学生になった頃。
両親は、別居しました。
今は、二人とも別々に暮らしています。離れてみたら、お互い好きなことをして、それぞれ穏やかに過ごしているみたいで。
それを聞いたとき、ほっとしたような、ちょっと寂しいような、不思議な気持ちになりました。
お金は、人の性格を変えてしまう。
お金が「ない」からじゃなくて。
お金の知識を「知らない」だけで、優しい人が、優しくいられなくなる。家族の形まで、少しずつ変えてしまう。
うちは、共働きで、収入はちゃんとあった。それでも、こうなりました。
これ、たぶん、うちだけの話じゃないと思うんです。
それでも、お金は「味方」にできる
共働きで、収入があって。それでも、お金の知識がないだけで、家族の優しさは少しずつすり減っていく。
これは、特別な家の話じゃないと思います。むしろ、どこにでもある話なんやと思います。
でも、ひとつだけ、はっきり言えることがあります。
お金は、ちゃんと「味方」にできます。
知らなかっただけで、学べば変えられる。あの頃のうちに足りなかったのは、本当に、それだけやったから。
実際、僕もお金を学んで、コツコツ続けてきました。
その結果、
7年で資産は2,300万円を超えました。
でも、それ以上に大きかったのは
お金への怖さが、消えたことです。
布団の中で「ごめんなさい」と言っていた、あの夜の自分に。
今なら、胸を張って言えます。
「大丈夫やで。お金は、ちゃんと味方にできるから」
じゃあ、何も知らなかった僕が、どうやってお金を味方にしてきたのか。
その話は、こちらの記事で正直に書いています。
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あなたや、あなたの大切な人が、お金を理由に何かを諦めなくて済むように。少しでもその役に立てたら、これ以上に嬉しいことはありません。
