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「もういい、選んで!」と叫んだ翌朝、私は理想の家に出会った

それは、社宅で息を潜めるように暮らしていた頃のことです。

正直に言うと、当時の私は限界でした。

同じ階の住人とどうしても価値観が合わず、わが家のドアの前でたむろしておしゃべりをされる日々。

外出するのさえためらわれ、家の中にいても常に誰かに気を遣いながら、削り取られるように消耗していました。

追い打ちをかけるように分かった、二人目の妊娠。

お腹の子が男の子だと分かった瞬間、喜びと同時に、ある不安が頭をよぎりました。

「……これ以上、子どもに『走らないで』『静かにして』って怒り続けるのは、もう無理だ」

階下への騒音を気にして、謝ってばかりの毎日。

ここではないどこかへ。
私は導かれるように、モデルルーム巡りを始めました。


理想と現実の狭間で、ターゲットを絞る

最初は、キラキラしたおしゃれなマンションに憧れました。

けれど、冷静な自分がすぐにささやきます。

「また騒音や管理費に悩む生活に戻るの?」と。

そうして、わが家のターゲットは自然と「戸建て」に絞られていきました。

家探しをする上で、私には絶対に譲れない「安心のための条件」がありました。

  • 水辺や低い土地を避ける(子どもの頃、増水の恐怖と隣り合わせだったから)

  • 見通しの悪い空き地や雑木林を避ける(防犯上のトラウマがあるから)

  • お墓の近くを避ける(感覚的に、どうしても体が受け付けなかったから)

  • 「祖父母の家」のような利便性(駅、病院、店が徒歩圏内にあること)

特に「道」の感覚は大切でした。

北海道育ちの私にとって、関東の入り組んだ細い道は迷宮のよう。

でも、ある街を走ったとき、ふと「あ、ここ実家の近くに似てる」と感じたのです。

碁盤の目のような、広くて分かりやすい道。

その直感的な懐かしさが、街選びの決め手になりました。

妥協しかけた私を救った「井戸」の文字

しかし、理想の街は見つかっても、家探しは難航します。
新築はどれも高く、金銭感覚が麻痺していく中で

「駅から遠いけれど、もうこの新築でいいかな……」

と、諦め半分でハンコを押しそうになったことがありました。

そんなとき、図面の一角に小さな文字を見つけたのです。

「井戸?」

その瞬間、ざわっと鳥肌が立ちました。

理屈ではなく、直感が「この家は違う。ここに根を下ろしてはいけない」と激しく警告したのです。

結局、その話は白紙になりました。

「もういい、選んで!」と叫んだ翌朝に

「もういい! 誰か『この家を買いなさい』って空から差し出してくれたら、すぐそれにするのに!」

家探しに疲れ果て、半ば投げやりに叫んで眠りについた翌朝のことです。

嘘のようなタイミングで、今の家を紹介されました。

立地は完璧。築浅の中古物件でしたが、前の住人の方が驚くほど丁寧に、こだわりを持って建てた家でした。

「これだ!」

まさに、何らかの大きな存在が用意してくれたかのような、運命的な出会い。

私たちはほぼ即決しました。

「北海道仕様」と「体操教室」への改造

手に入れた理想の家。
しかし、住んでみて衝撃を受けたのが「戸建ての寒さ」でした。

冬のあまりの冷え込みに、北海道育ちの私の体は悲鳴を上げました。

「中古で安く買えた分、ここにはお金をかけよう」

そう決めて、真っ先に全ての窓を「二重サッシ」にしました。

北海道では当たり前の断熱対策ですが、これが大正解。

暖かさが劇的に変わり、家全体がようやく「安らげる場所」になりました。

次にやったのは、リビングの使い方を根本から変えることでした。

空間をできるだけ広く、視界を遮るものをなくしたい。

その一心で、細々とした収納家具は思い切って処分しました。

その代わりに作ったのが、壁一面、天井まで届く大きな「作り付け収納」です。

壁一面の収納には、神棚と仏様を祀るスペースも作りました。
家族が日々感謝を忘れずにいられる、小さな祈りの場所です。


また、リビングと和室を仕切る重いドアは外し、軽やかなアコーディオンカーテンへ。
大きなソファーや本棚も手放しました。

実は、窓周りにもこだわっています。

私にとって、揺れるカーテンすらも「空間を遮る邪魔なもの」に思えたからです。

そこでレースのカーテンはミラータイプにし、夜はシャッターを閉める。

さらに和室の窓には直接目隠しシートを貼ることで、光を取り入れつつ、外からも中からも視線が気にならないようにしました。

そうして広くなった部屋は、子どもが小さい頃は、和室で遊ぶスペースに。

低学年になると、逆立ちや側転を繰り出す「室内体操教室」へと変貌しました。

体操教室から卓球場へ

食卓テーブルは、伸ばせるタイプを選びました。
人が増えても対応できるようにするためです。

夕食が終わると、そのテーブルは卓球台に早変わり。

「さあ、やるぞ!ネットを張れ」


私が子どもの頃、家にはガチのミニ卓球台がありました。

家族みんなでガチの戦いが始まります。

その笑い声を聞くたびに、
あの日、直感を信じてこの場所を選んで本当によかったと心から思うのです。

家はただの箱ではなく、家族の笑顔を守るための砦。

妥協せず、直感を信じ抜いた先にあったのは、驚くほど軽やかで温かい毎日でした☺️

わが家はなぜかすぐ勝負したがる。お茶碗洗いでさえ。
そんな日常の記事はこちらです👇

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