「追わない男」をしても、余裕が出ない理由
夜中の1時を過ぎていました。
枕元のスマホは画面を下にして置いたはずなのに、いつのまにか手の中にありました。
昼に来ていた相手からのメッセージには、まだ返していませんでした。少し置いたほうがいい。追わないほうがいい。そう思って、あえてそのままにしていた。
でも、ベッドに入ってからスマホの画面を何度もつけてしまう。
通知は増えていない。なのに、また見る。こちらからは動いていないはずなのに、心だけがずっと相手のほうへ走っていました。
あの静かな焦りは、余裕ではありませんでした。
表面で「追わない男」を演じていたぶん、内側ではよけいに相手の反応を待っていた。
たぶん、自分のほうがいちばんそれを知っていました。
「追わない男がモテる」と聞いて、僕も一時期それを信じていました。
連絡を減らせば、落ち着いて見える。返信を遅らせれば、軽く見られない。そう思っていたんです。
でも実際には、外側を静かにしただけで、内側はまったく静かになっていませんでした。
40代男性の恋愛で、先に自分の生活から抜けていたもの
振り返ると、うまく回らなくなっていたのは関係そのものより先に、生活の重心でした。
仕事が終わったあとの時間が、自分の時間ではなく返信待ちの時間になっていく。
夕食は適当になる。風呂に入るのも寝るのも遅くなる。翌朝は少しぼんやりして、また相手の反応で一日が始まる。
そんなふうに、自分の生活の中心が少しずつ外に移っていました。
一番先に失っていたのは、一人で立てる感覚だったと思います。
誰かを好きになること自体が問題ではなくて、自分の足場まで相手に預けてしまうと、会えない日や返信の遅さがそのまま不安になる。
苦しかったのは恋愛のせいだけではなく、生活の軸が自分から離れていたからでした。
40代の恋愛で「追わない」が余裕にならない理由
連絡しない。誘わない。返信を遅らせる。
こういう「追わない」は、外から見ると余裕があるように見えます。
でも、放置と余裕は中身がまったく違います。
こちらから連絡していなくても、頭のなかでずっと相手を追いかけているなら、それは余裕ではなく我慢です。
静かにしているだけで、心の中はずっと騒がしい。あれは落ち着きではなく、抑え込んでいる状態でした。
僕も、既読をつけずに半日置いてから返したことがあります。
会いたいのに「今週は忙しくて」と言ったこともある。
でも、そのあいだ何をしていたかというと、結局はスマホを気にして、相手の反応を待っていただけでした。
駆け引きも同じです。
返信の間隔を計算したり、少し冷たくして反応を見たりするのは、主導権を取っているようでいて、実際には相手の反応で安心を取りにいく行為です。
つまり、自分の気分のハンドルを相手に渡している。
以前、我慢していた反動で夜中に長文を送ってしまったことがあります。
それまで積み上げていた「余裕ある男」の空気は、一瞬で消えました。
当然だと思います。余裕を作れていたわけではなく、限界が来るまで我慢していただけだったからです。
40代の恋愛で余裕を取り戻すには
本当の余裕は、性格ではなく状態だと思っています。
そして、その状態は恋愛テクニックより生活のほうから整っていく。
僕が戻したのは、派手な習慣ではありませんでした。
返信待ちで夜更かしするのをやめて、先に風呂に入る。
コンビニで済ませず、一人分でもちゃんと食べる。
朝は少しでも外を歩く。
週末に、誰かに埋めてもらうためではない予定を一つ入れる。
最初はそんなことで変わるのかと思っていました。
でも、生活の荒れが少し止まると、不思議なくらい焦りが減っていきました。
相手から返信が来ない夜でも、そのまま寝られる。
返事の速度で気持ちを測りすぎなくなる。
会えない日があっても、自分の一日まで空白にはならない。
余裕は、何かを足して作るものというより、荒れを止めたあとに残る静けさに近いのかもしれません。
追わないことと、落ち着いていられることは別です。
恋愛で本当に効くのは、相手への見せ方より、自分の生活の重心を戻すことなんだと思います。
ある夜、返信が来ないまま布団に入りました。
いつもならスマホを何度も見ていたのに、その日はそのまま眠れた。
翌朝、それだけのことが少しだけ嬉しかったのを覚えています。
相手を追わない前に、自分の一日を取り戻したほうが、たぶんずっと早く楽になります。
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高坂(47歳・離婚経験あり・現在独身)
恋愛を入口に、男の後半戦の立て直しについて書いています。
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