なぜ大人が「ちいかわ」にはまるの?|沼解剖学
いーつまでもー たえるーことなくー…
最近よく動画が流れてくる
『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。
みなさまこんにちは。
沼解剖学者のミニサンショウウオです。
わたしゃ日本で2週間過ごしてびっくりしたよ。
コンビニ行ってもちいかわ
薬局でもちいかわ
たまに大谷翔平
空港のご当地お土産コーナーまでちいかわ…
日本はちいかわと大谷でまわっている。
かつてどこにでも現れた鬼滅の刃は今や息を潜め、なんか小さくてカワイイやつがその座についた。
もちろん、ちいかわは知っている。
だけどまぁ嫌いでも好きでもない、リラックマとかポムポムプリンみたいな感覚。
ちょっと子供向けみたいな。
だから映画が大ヒットと聞いて、しかも大人たちがどハマりしていると聞いて非常に困惑したと同時に、気になって気になって仕方なくなった。
エッどうした日本!シールブームといい最近なんかおかしいぞ!?
『映画 すみっコぐらし 』と何が違うん?
かわいいキャラってだけならどこにでもいるじゃない。
ということで、時間の都合上映画は見れなかったけど原作を読んだので!!
何であんなに人気なのか、何があんなに大人を夢中にさせるのか
「ちいかわ沼」を解剖していきたい。
かわいい!とにかくかわいい。なのに…
ちいかわだもの。
こりゃ子供が好きな可愛さだ。
出るキャラぜーんぶかわいい!!
だけどストーリーはというと、
労働という概念や給料アップに向けての資格試験(しかも結構落ちる)など、暮らしの根底にあるものが大人の世界のそれだ。
キャラクターの性格も大人だ。
主人公のちいかわは繊細で内気、努力家。
ハチワレはいつも前向きで優しいけど、ちゃんと落ち込んだりもする。多分貧乏。
うさぎは自由気ままで物怖じしない。多才。
ふざけているようで鋭く、たまに核心をつく。
この3匹の中でちゃんと喋るのはハチワレだけだし、ストーリーも一見、子供向けの可愛いもの。
なのにちゃんとキャラクターが作り込まれていて、甘いだけじゃない現実の社会がそこにある。
例えばこんなシーン。
ボロボロの家でハチワレが語る。
「欲しいな、カメラっ!でもちょっと高い。草むしり、討伐、草むしり、討伐…エヘヘ。頑張ろうっ!」
そしてたくさんの話数を挟んだあと、やっと彼はカメラが買えるのだ。
あの草むしりの話でも討伐の回でも、裏でコツコツ貯金をしていたんだろうな。
だけどこの「現実の厳しさ」の描写は、小さな絶望を積み重ねて大人になった人にしかわからないのです…。
そしてその絶望を乗り越えようと頑張るちいかわたちが、大人の荒んだ心を癒してくれるのだろう。
それに今回の劇場版のように考察しがいがあって、だけどはっきりとした結末や答えが示されるわけではない話も多い。
現実のシビアさや「何が言いたいの?」を可愛さで強引にカバーしてくるかんじ。
そんな不思議なギャップのある世界観が魅力なんだろうな。
私はラッコ先生が好き。出て来るたびみるみる好きになった。かわいすぎる、ギャップの塊。
モモンガも好き。欲に忠実で、褒められたい、可愛がられたい。
それを口にしてしまう残念さがかわいい。君はデンジなんか?
あとたまに劇中で出てる歌がキャッチーなリズムで可愛いし妙に耳に残る。
ウ・ワ・ワ・ウワ〜みたいなやつ。
ちょっとづつ毎日の朝ドラ形式
漫画はXで一日1ページ公開、朝のアニメも一日1分。忙しい大人もサクッと読める。
短いけど毎日新しい「供給」がある。
だから週一のドラマやアニメのように悶々としなくてもいい。
まるで朝ドラだ。
朝ドラも毎日見ていると、だんだん親戚のおばちゃんみたいな気持ちになってくる。
りんちゃん、しまけんいいやつじゃない。ダメなの?直美ちゃんがんばれ!!
ちいかわも同じような気持ちになる。
今日はどのキャラに会えるかな。
でかつよだ!逃げて!!
毎日同じ時間に顔を合わせるというのは愛着が湧くもの。
まるで歯磨きのように、
コーヒーを淹れる時間のように、
朝のルーティンにあの「なんか小さくてかわいいやつ」はいつの間にかぬるっと入り込んでいるのだ。
グッズ戦略も優秀
長年アニメオタクをしているとわかる…わかるぞ…!
ちいかわは実用的なグッズをちゃんと出すコンテンツだ‼︎
基本的にアニメグッズというのは実用性に欠けると私は思っている。
あの鬼滅ですら大半のグッズは実用的ではない。
アクスタしかり缶バッジしかり、日常に別になくてもいいものだ。だけど持っていることで心が満たされる。
アニメグッズとは元来、そんな不思議な商品なのだ。所有欲だね…。
一方ちいかわは、文房具だの化粧品コラボだのからピルケースやポーチまで、大人の生活に食い込む商品を出している。そしてデザイン的に使いやすい。
これって私はすごく大切なことだと思う。
推しをこんなふうに生活に取り入れたいオタクは星の数ほどいるだろうよ…。
推し活は、生活との距離が近いほど強い。
生活に入り込むことで推しを見る回数は自然と増えていって、心が満たされてもっと好きになる。
あと全部可愛いからランダム商法に強い。多少「このキャラが欲しい」があれど別にどれが出たって可愛いしいっか、となる。
結論
「かわいい」だけなら、世の中にはいくらでもいる。
でもちいかわは、社会があって、勝手に親戚みたいに心に入り込んできて、最後はカバンの中にまで入り込もうとしてくる。
子どもも楽しめるけれど大人だからこそ刺さる要素が山ほどある。
『妖怪ウォッチ』みたいに、親世代にも少しサービスしておきますよ、なんて優しいものじゃない。
やつらはグッズという武器まで携えて、大人を本気で仕留めにきている。
ついでに一緒に見ている子どもも、というスタンスだ。
だから気づけば、あの「なんか小さくてかわいいやつ」は毎朝の習慣にもカバンの中にも、私たちの日常にも住み着いている。
こんな仕掛けが積み重なって、劇場版の大ヒットにつながったのだろう。
この記事を書いたせいで私も、ちいかわ沼にハマりつつある…。
すげーぜ、ちいかわ先輩!!
