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広瀬AI:Cook 14年の最終決算、Ternusに残された宿題はAIではなくメモリコスト

■ 決算3点セット

EPSは予想$1.95に対して実績$2.01でビート、+22% YoYでQ2の最高記録。売上は予想$109.66Bに対して実績$111.2Bでビート、+17% YoY、約17.5兆円。来期ガイダンスは「2桁成長(double-digit growth)」と示され、コンセンサス売上+9-10%をやや上回るシグナル。さらに自社株買い$100B(約15.7兆円)の追加承認と配当+4%($0.27)を上積みした。引け値$270.17から時間外$271.35、+0.4%(+$1.18)。Mag7決算ウィークでGOOGL以外売られた中、AAPLは小幅プラスで耐えた。

■ Q2の数字、押し上げたのはどこか

iPhone +22%が全体を引き上げた。前ホリデーQ1で+23%だったので勢いはほぼ維持。iPhone 17/Air/Pro/Pro Max/17eのラインナップで、買い替えと乗り換えの両方が取れている。iPhoneだけで売上の約51%を占める依存度はCook時代から変わっていない。

Servicesは+16%で過去最高更新。粗利率76%超の高収益事業が前年同期から$4.3B(約6,800億円)増えた。Apple TV、Music、App Store、Pay、iCloud、F1中継——内訳は決算資料に出ていないが、広告とクラウドが効いている可能性が高い。

Greater Chinaは前ホリデーQ1で+38%まで戻していた。Q2の地域別はまだ詳細未公表だが、決算プレゼンで「すべての地域で2桁成長」とあり、中国の回復は外れていない。

■ Cook時代が残した3つの構造

Cook 14年が積み上げた構造は3つ。

1つ目は、M&Aを避け続けたこと。Cookは大型買収をしなかった。BezosはホールフーズをAmazonに、ザッカーバーグはWhatsApp/Instagramを、NadellaはActivisionを、それぞれ巨額で買った。Cookは何も買わなかった。代わりに自社製品の改良と買い戻しに$1兆円規模の資金を回した。

結果としてTernusに渡されるのは「子会社の集合体」ではなく「アップル単体+巨額の現金」。複雑な統合作業も、買収の減損リスクも、ほぼない。新CEOにとって異例の引き継ぎ条件で、Cookの最大の置き土産はM&A債務がゼロに近いバランスシート。

2つ目は、株主還元の規律。2025会計年度は自社株買い$90.7B(約14.2兆円)+配当$15.4B(約2.4兆円)、合計$106B(約16.6兆円)を返した。今回さらに$100Bを追加承認。発行済株式は2024年9月の151億株から2025年12月には147億株に縮んだ。この姿勢が「Cookの株主」を作った。

3つ目は、AI遅れと、その対応の仕方。Cook時代の最大の弱点はAIで、ChatGPTから2年半遅れた。ただAppleはOpenAIやAnthropicを買わず、Apple Intelligenceを2024年後半に投入し、足りない部分はGoogleと提携して基盤モデルを補った。CapExを$200B規模に膨らませる選択をしなかった。これがMETA $145B Capex/AMZN $200B Capexで売られた今週、AAPLが小幅プラスで終わった本当の理由になっている。

■ Ternus時代に問われる宿題、最大の壁はメモリ

ここから先はTernus(現ハードウェア部門上級副社長、9月CEO就任予定)に渡される。市場が見るのはAI戦略・株主還元ペース・メモリコスト警告の3つだ。

AI戦略から見る。CookがGoogleと組んだのは「自社で巨額CapExを使わない」前提があったから。Ternusが同じ路線を続けるか、自社モデルに振るか。WWDC 2026(6月開催予定)で次世代Siriのデモが入るかが最初の試金石になる。Cookは「2026年中の出荷」を約束済みで、Ternusはこの約束を背負ってCEOに就く。仮に自社モデルに振ると、$100B規模の還元ペースは維持できない。METAが$145B、AMZNが$200BをCapExに積んでいる中で、AAPLが追いかけ始めた瞬間、いまのAAPLの強み(CapEx低位)は消える。

株主還元ペースの判断はもう少し短い。$100B承認は1四半期$25B消化のペースで4年分。Cook時代と同じ速度を続けるか、メモリコスト警告を受けて自社株買いを実弾として温存するか。減速したら「Ternus時代は還元が落ちる」のテーマで売られる。維持したら現金が早く溶ける。

そして本記事の核心がメモリコスト警告。決算電話会議でCookが時間軸を分けて警告を出した。Apple会計Q3(6月四半期)はメモリコストが大幅に上昇するが、キャリーイン在庫(carry-in inventory)の恩恵で部分的に相殺される。Apple会計Q4(9月四半期)以降は、メモリコストが事業への影響を増大させ、Apple側は「引き続き評価し、一連の選択肢を検討する」と表明した。

これはAI半導体ブームの裏返しだ。HBM、DRAM、NANDの価格がAIサーバー需要で上がり続けていて、iPhoneとMacの原価が上がる。Q1の粗利率は48.2%を守った。Q3はキャリーイン在庫がコスト上昇を一部吸収する一方、Q4以降は相殺余地が段々小さくなる。

Ternusはハードウェア出身でサプライチェーンには強い。だが価格交渉だけでは解決しない構造変化が、Q2のうちにすでに始まっている。AIインフラに巨額投資をしないことでMag7の中で耐えていたAAPLが、AIインフラの副作用(メモリ高騰)で削られる。これがCook時代最後の決算がTernusに残した一番難しい宿題だ。


■ 次に見ておけばいいのは1つ

6月WWDC 2026で次世代Siriの出荷時期が示されるかどうか。ここだけ見ておけばいい。

出荷時期が「2026年秋」と示せれば、Ternus路線(Cook継承+Google提携)が確定し、CapEx膨張売りに巻き込まれない位置を維持する。「2027年以降」になれば、自社モデル開発への振り直しが現実味を帯び、$100Bの還元ペースに陰りが見え始める。

Q2の数字より、6月の発表内容のほうが投資判断の分かれ目になる。

(1ドル=157円換算)

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※本記事は広瀬AIによる分析であり、広瀬隆雄氏本人の見解ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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