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6年前『じっちゃまが死んだら』と書いた男が、3970億ドル積んだバフェットを見て考えたこと

5月2日の午前、バークシャー・ハサウェイの第1四半期決算が発表された。アベル新CEO体制の初決算だ。

現金保有額3970億ドル。日本円で約62兆円(1ドル156.5円換算・5月2日終値ベース)。日本の国家予算の半分以上にあたる金額が、何にも投資されずに積み上がっていた。前期末の3730億ドルから一四半期で約240億ドル増えていた。

このニュースを見た瞬間、自分は6年前にnoteで書いた記事のことを思い出した。

2020年12月、じっちゃま(広瀬隆雄)のnoteを毎晩読み込んでいた頃、「もしじっちゃまが死んだら、あなたはどうしますか」というタイトルで偉そうに記事を出した。

それは、絶対に来る日の話だった。

■ バフェットが選んだ「後継者と現金」

決算は3点で見れば足りる。

- 営業利益: 113.46億ドル(約1.78兆円)、前年同期比+18%
- 純利益: 101.06億ドル(約1.58兆円)、前年から倍増
- 現金保有額: 3970億ドル(約62兆円)、過去最高更新

数字はバークシャー公式の決算プレスリリース原本ベース。本業は強い。営業利益を底上げしたのは保険引受利益で、前年の13.36億ドルから17.17億ドルに+28.5%伸びた。1株あたり純利益(Class A)は7,027ドル。

問題は、その横で積み上がった現金だった。

14四半期連続で、株式は売り越し続けている。Q1は売却241億ドル(約3.77兆円)に対して、購入は160億ドル(約2.50兆円)。差し引き80億ドル(約1.27兆円)の純売却が、3年半前から続いている。

そんな中、ひとつだけ静かな動きがあった。自社株買いを2億3400万ドル(約366億円)実施した。バークシャーが自社株買いを再開したのは2024年5月以来、ほぼ2年ぶりだった。

外の銘柄を14四半期連続で売り続けて、自分の株だけ少し買った。

これは何を意味するか。史上最高値圏の市場で、買えるものが見当たらない。自社株だけは違った。自分の会社のキャッシュフローと事業力には、いまの株価で納得できる。だから外は売って内は少し買う。極めて静かで、明確な選択だった。

そして、バフェットはそれを次の世代に手渡した。アベルは2026年初にCEOに就任し、これがアベル体制で出した初めての四半期決算だった。バフェットは現金で時間軸を伸ばし、後継者で世代軸を伸ばした。

「自分が居なくなったあとも、これで持つ」という設計だった。

■ 自分が選んだ「広瀬AI」

2020年12月の記事に戻る。

当時、マーケットハックサロンの仲間から「AIで広瀬さんの記事を学習させればいいじゃん」と言われた。けれど、ChatGPTという言葉さえ存在しない時代だ。1000本の記事をAIに読ませて自然な文体で答えさせるなんて、技術的に不可能だった。話はそこで止まった。

そこから4年、放っておいた。

転機は2024年に来た。長く勤めた会社を辞めて環境が変わったあと、心労や焦りからレバレッジETFに手を出し始めた。SPXSという3倍ベアETFを中心に、SOXLやTQQQを買い増しては逃げ場を失う、を繰り返した。2024年から2025年末までの2年間で、133取引中126取引がレバレッジ商品。SPXSだけで69回の取引、累計マイナス1,126万円。1倍ETFだけで取引していれば全体プラスだったはずなのに、レバレッジで800万円以上を余計に消した。

2025年2月、AIに自分の取引履歴を全部食わせて分析させた。返ってきた数字は、容赦がなかった。

「あなたの判断は『方向は当たっている』が『商品選択で負けている』」

要するに、自分は広瀬氏の相場観を借りて方向を当てていた。その方向に乗る商品をレバレッジで選ぶ自分の判断軸が、完全に崩壊していた。借り物の相場観に、借り物の度胸を足したら、800万円が消えた。

そこからの動きは早かった。じっちゃまの過去記事を全部AIに読み込ませる。判断のフレームを自分の側に持ってくる。2020年に技術的に不可能だった構想を、もう一度引っ張り出した。

ChatGPTとClaudeが揃った2025年は、もう「絶対に無理」じゃなかった。約1,000本の記事を読み込ませた広瀬AIを完成させて、2026年3月にnoteで発表した。

毎朝、ニュースをまとめて広瀬AIに読み込ませて、「今日の市場をどう読むか」を自分の言葉で書く生活が始まった。判断は自分でする。広瀬AIは、過去のじっちゃまの考え方を借りて、選択肢を広げる装置になった。

■ 二つの選択は、同じ問いに対する違う答えだった

3970億ドルの現金山と、広瀬AI。スケールはまったく違う。土台にある問いは同じだった。

「カリスマがいなくなる日に、自分は何を見て判断するか」

バフェットの答えは「後継者と現金」だった。1965年に経営権を握ってから60年かけて積み上げた事業の収益力を、次の世代でも引き継げる形にしてCEOを渡す。同時に、その世代が買い場で動けるだけの巨額の現金を残す。両方そろえて、初めて自分が居なくなったあとの設計が完成する。

自分の答えは「データとAI」だった。じっちゃまの過去の判断パターンを、自分が読み解ける形で手元に置く。判断は自分でする。AIは、選択肢を広げる役を担う。

両方とも、答えを個人カリスマ一人に頼らない時代への対応だった。

■ 自分の側に置けているか

ひとつだけ、自分に聞いてほしい質問がある。

- 自分の投資判断の8割は、どこから来ているか。SNSのインフルエンサーか、自分のシステムか、巨匠の言葉か。

毎日コツコツ積立投資をしている人は別にして、自分でポートフォリオを組んでいるのに、他人のアイデアでポジションを組み立てているのは、その人が死んだ場合どうするのだろうか。

SNSで誰かのポジションを見るのは構わない。じっちゃまの記事を読むのも変わらず大事だ。それを「借り物」のままで終わらせるか、自分の判断システムに育てるか、この判断で5年後の景色が変わる。

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