言語化は、自分の話を聞くことから始まる
「言語化」と聞くと、私は最初、うまく話すことや、わかりやすく書くことを思い浮かべていました。
頭の中にあることを、相手に伝わるように整える。ぼんやりした考えを、きれいな文章にする。そういう「外に出す力」のように考えていたところがあります。
でも、荒木俊哉さんの『こうやって頭のなかを言語化する。』を読んで、見方が変わりました。
この本で中心にあるのは、いきなりうまい言葉を出すことではなく、まず自分の話を聞くことです。
自分の中にある違和感や感情をいったん受け取り、少しずつ言葉にしていくことです。
ここが、一番自分には響きました。
自分の中にあるものを、いったん聞いてみる
本書では、頭の中を言葉にする流れとして、ためる ⇒ きく ⇒ まとめるというステップで書かれています。

STEP1:心が動いた出来事や、そのとき感じたことをメモする
STEP2:そのメモに対して「のはなぜか?」と問いかける
STEP3:そして最後に、今の自分なりの結論を1行で書く。
この流れを読んで、言語化は「考えをきれいにまとめる作業」ではなく、「自分の中で起きていることを聞き取って言葉にする作業」と知って目からウロコでした。
ただモヤモヤを書き出すだけなら、感情の吐き出しで終わるかもしれません。
そこに「のはなぜか?」を足すと、自分が何に引っかかっていたのかを見に行くことになります。
たとえば仕事で「資料がうまく作れない」と感じたとします。そこで終わらせずに、「資料がうまく作れないのはなぜか?」と聞いてみる。
すると、文章表現の問題ではなく、そもそも自分の中で、「何のために資料を作るのか」「誰向けの資料なのか」「どこまで書く必要があるのか」を確認できていなかったことに気づくことがありました。
書けないのではなく、聞けていなかった
このことで思い当たることがありました。
以前、説明不足にならないようにと思って、資料に情報をいろいろ詰め込んだことがありました。細かく書いたので、自分では丁寧に作ったつもりでした。
でも、あとから見ると、情報量はあるのに軸が弱い。「結局この資料で何を伝えたいのか」が、はっきりしていませんでした。
もちろん、相手が何を求めているかを確認することは大事です。ただ、それ以前に、自分の中でも聞けていなかったのだと思います。
この資料で何を伝えたいのか。何を残して、何を削るのか。読み終わった人に、何が残ればいいのか。
もちろん、必要としている相手に確認することも大切です。
ただ、自分に聞かないまま書くと・・・、残念な三重苦で終わってしまうのです。
文章は長くなる。
長く書いたからといって、伝わるわけではない。
むしろ、考えがまとまっていない分だけ、情報の大洪水になって終わるだけ。

これはnoteを書くときも同じです。
本を読んで「よかった」と思う。仕事で「これは大事だ」と感じる。日常の中で「なんか引っかかる」と思う。
でも、そのまま書き始めると、こんなことになります
途中で何を書きたい記事なのかがぼやける。
文章の形は整っているだけ。
自分の中の声を聞けていないと、読み返したときに「で、何が言いたかったんだろう」となる。
整える前に、自分の声を聞く
最近は、ChatGPTを使えば文章自体はかなりきれいに整えられます。言い回しを直したり、構成を整えたりするのは本当に便利です。
ただ、元になる考えが曖昧なまま整えても、「きれいだけど、自分の文章ではない」と感じます。
それは、AIの問題というより、こちら側がまだ自分の話を聞けていないからでしょう。
自分は何に引っかかったのか。なぜそこが気になったのか。今の自分は、何を1行で言いたいのか。
先にそこを聞いて整えておくだけで、出来上がる文章の形が変わります。きれいな言葉にする前に、自分の中にある言葉のもとを、先に掘り起こしておく感覚です。

とはいえ、毎日きちんとノートを書いて、自分の内側を深く掘る。そこまで続けられるかというと、正直難しいです。
忙しい日もあるし、疲れている日もあります。自分の話を聞く余裕がない日もあります。
だから、まずは小さくていいのだと思います。
モヤッとした出来事を一つだけ選ぶ。そこに「のはなぜか?」を足す。出てきた考えを、今の自分の結論として1行だけ書く。
それくらいなら、仕事のあとでも、noteを書く前でも試せそうです。
言語化は、うまく話すことから始まるのではない。
自分の中にある考えや違和感を、まず自分で聞いてみることから始まる。
自分の話を聞かないまま、うまく言おうとしても、たぶん言葉だけが先に走ってしまう。
だからまず、自分に聞く。
この本を読んで、そこから始めてみようと思いました。
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