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やさしい記憶

バッググラウンド

(3)母方の祖父

母方の祖父。最も会いたい人。
昔の歌のように、「夢でもいいから会いたい」。
釣りや狩猟など多くの趣味を持ち、友人も多かった。私が知る限りではおでこがだいぶ広かったが、若いころは手に負えないほどの剛毛だったんだとよく言っていた。

本当にたくさんかわいがってくれた。嘘やお世辞ではなく、心から私のことを「美人だ」と言ってくれたのは、後にも先にもこの祖父だけだった。
私の実家は、決して穏やかな家庭とは言えず、息が詰まるような場面も少なくなかった。だからこそ、夏休みなどに祖父の家に泊まりに行くことが、安らぎだった。

その祖父は、私が社会人一年目のときに突然亡くなった。
それまで、特に何の病気をするでもなく、いつも元気でアクティブだったのに、秋頃に体調を崩し年末には入院。翌年2月に息を引き取った。

当時は都内で一人暮らしをしていたが、毎週末実家に戻り、祖父の病院へ通った。最初は、少し疲れているだけのように見えたが、週を追うごとにどんどんと痩せていき、会話をができなくなり、私のことも分からなくなってしまった。あの変化を毎週末に見るのは本当に辛かった。

祖父が亡くなってからも、祖母に会いに行くと、「じいちゃんは?」と喉まで言葉が出掛かった。頭では理解していても、心のどこかでは受け入れ切れなかったのだと思う。この感覚が薄れるまで、3年ぐらいかかった。

今でも会いたい。こんなとき祖父だったら何と言うだろうと度々思う。
子ども2人、見せてあげたかった。



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