5月の風のように。静かなスウェーデン留学で見つけた人生に大切なエッセンス、ゆるりと5選
スウェーデンの魅力 ー 静けさに包まれる暮らし
今日は、学生時代に過ごしたスウェーデンについて、ゆっくり思い出しながら書いてみたいと思います。
毎年すがすがしい新緑の5月が近づくゴールデンウィークの季節になると、やわらかな風が吹き抜けるたびに、私はスウェーデンで迎えた、あの透明感あふれる夏の日々を思い出します。

はじめて降り立ったスウェーデン
初めてスウェーデンの地に降り立ったのは、8月の終わりのことでした。
日本ではまだ夏の蒸し暑さが残る時期でしたが、スウェーデンの空気はまるで別世界のように澄みきっていて、木々の間をカラッとした爽やかな風が通り抜けていました。
その風は、ほんの少し冷たくて、けれどもどこまでも透明で清らかで、まるで北極圏からそっと届けられたような、特別な感触がありました。
空気の透明度に思わず深呼吸したくなる、そんな心地よさに、私はすぐに魅了されたのを今でも覚えています。
大学が用意してくれた学生寮に着き、重たい荷物を一人で運び込んだ日のことも、まだ鮮明に覚えています。
8月の寮は、まだ学生たちの姿もまばらで、静まりかえった廊下に足音だけが響いていました。
私が暮らすことになったのは、ワンフロアに12人ほどが入る共同型の寮。
一人ひとりに個室が与えられ、キッチンとラウンジはみんなで共有するスタイルです。
少し心細さを感じながらも、これから始まる新しい生活に、胸が高鳴っていました。

異国の学生たちとの出会い
9月に新学期が始まると、スウェーデン人だけでなく、ドイツ、スペイン、アメリカ、スロベニア、ライビア、日本など、さまざまな国からやってきた留学生たちが続々と寮に集まりました。
同じ建物には、イタリア、オランダ、フランス、イギリスから来た学生たちもいて、気がつけば寮全体が、にぎやかな多国籍空間へと変わっていきました。
それぞれが違う言語を話し、違う文化を背負いながら、けれどどこか自然に打ち解けあえる、そんな雰囲気がありました。
言葉の壁を越えて、生活を共にする中で芽生えていく小さな友情は、今でも心のあたたかい記憶として残っています。

スウェーデンに暮らして見つけた魅力5選
1. 英語で学びながら、世界を広げて
スウェーデンの大学では、ほとんどの授業に英語版が用意されていました。
英語で政治や経済、組織論といった専門的な内容を学ぶことができ、国際的な視野を自然と広げることができたのは、貴重な経験でした。
また、スウェーデン語の授業も必修だったので、6か月間、基礎から学びました。
オランダ語やデンマーク語に近いスウェーデン語は、なかなか手強く、結局、簡単なあいさつ程度しか習得できなかったのですが……(笑)
それでも不思議と困ることはありませんでした。
スウェーデンの街では、どこに行っても英語が通じ、人々はとても親切に対応してくれました。
北欧や北ヨーロッパ(ドイツ以外かな。。?)では英語でのコミュニケーション、英語のメディア・番組も浸透しているので、学生としては英語が話せればほとんど問題なく生活できます。
正直、英語圏外の異国にいながらも安心して暮らせる、その寛容さに何度も救われました。

2. 心をほぐす、あたたかいFikaの時間
スウェーデンには、「Fika(フィーカ)」という素敵な文化があります。
日本でいう喫茶店文化や、イギリスのアフタヌーンティーに似たもので、寒いスウェーデンの日々に欠かせない、あたたかな社交の時間です。
ランチの後や昼下がりには、老舗のカフェやモダンなカフェに人々が自然と集まります。
ジンジャーブレッドやシナモンロールをお供に、コーヒーを片手に、2~3時間たっぷりおしゃべりを楽しむ。
そんな、ゆったりと流れるひとときが、スウェーデンの暮らしには溶け込んでいました。

特に、冬が長く暗くなる時期には、Fikaの時間が心の支えになりました。
11月、12月になると、日照時間はわずか3~4時間、午後3時には真っ暗になります。
太陽を一度も見ない「闇日」すらあるこの季節、街中のカフェには無数の蝋燭が灯され、その柔らかな光の中で、人々は温かな会話を交わし、心をほぐしていくのです。
蝋燭の光に包まれたカフェで過ごす時間は、寒さや孤独をやさしく癒してくれるのと同時に、皆でデザートもたんまり食べたのを覚えています。
そして、そんなゆったりとした時間が流れる空間で、いろんなディスカッションや時にアカデミックな本を読んだりと、あの独特のゆったりとした時間が様々な感性を呼び起こしてくれました。

3. 雑念から解き放たれる日々
スウェーデンでの暮らしは、驚くほど”雑音”の少ないものでした。
日本では、テレビをつければ芸能ニュース、政治の混乱、資本主義の煽り合いが飛び交い、常にどこか落ち着かない空気にさらされていたように思います。
けれどスウェーデンでは、ニュースも社会制度も理路整然としていて、無駄な騒がしさに巻き込まれることがほとんどありませんでした。
街の喧騒に疲れたら、30分もあれば、静かな森や湖へとたどり着けます。
自然の中に身を置き、静かに深呼吸をしていると、心のざわめきが少しずつ溶けていき、自分自身を取り戻せる気がしたのです。
「個人」が大切にされ、自分のペースを守ることが自然に受け入れられている。
そんな環境が、どれほど心地よいものだったか、今になってもはっきりと思い出せます。
そんな環境を利用して、わたしはサクソフォーンなどの管楽器を習い、ダンスやワルツのレッスンにも通ったこともありました。
そして一人になりたいときは、10分もあるけば森の散歩道があり、そこをゆっくりと木々に囲まれて歩いた時間は、自分と将来を見つめるのに非常に役立ってくれました。

4. ゆとりを感じる空間
滞在していた当時、スウェーデンの人口は約850万人。
今よりもさらに人が少なく、どこへ行っても空間に余裕がありました。
人と人の距離が自然と守られていて、無理に急かされたり、押しつぶされたりすることのない暮らし。
空間の豊かさ、自然との共存、人々の静かなマナー。
それらすべてが重なり合い、私は「生きやすさ」というものを、初めて実感した気がします。
もちろん、それのおかげで猛烈に一瞬さみしくなったこともあります。
あまりにさみしいときは日本にいる友人たちにはがきをだし、あのころは国際電話しかなかったので、毎月10万くらいの電話代を払って両親に電話をしていたことを(おそろしい・・)を覚えています。

5. ノーベル賞受賞者に触れられる特別な機会
大学生活の中でも、特に印象に残っているのは、その年のノーベル賞受賞者たちの講演を、学生として無料で聴くことができたことです。
たしか、私が聞きに行ったのは科学系の講演だったと思いますが、内容の大半は難しくてちんぷんかんぷん(笑)
それでも、世界最高峰の知の空気に身を置くことができたあの体験は、私の中に小さな火を灯しました。
「もっと学びたい」「もっと世界を知りたい」
そんな純粋な知的好奇心が、静かに、でも確かに芽生えた瞬間でした。
あの空間に浸れたことで、アカデミックの感性を刺激してくれ、また、自分の立っている場所や将来のこと、どこに住みたいのか、何を求めているのか、様々な思いをめぐらすことができたとても貴重な財産となった時間でした。

留学とスウェーデンが教えてくれたこと
あの頃、スウェーデンで過ごした日々は、自然と、自分自身と、静かに向き合うことの大切さを教えてくれました。
華やかさや便利さとは少し離れた場所で、
本当に必要なものだけを手元に置き、
深く、静かに、自分の内側を育てる。
そんな時間が、人生には必要なのだと、スウェーデンの空の下で、私は知ったのです。
ーそして読んでくれたあなたへー
もしあなたが今、どこか心が疲れていたり、
少し立ち止まって深呼吸したいと思っているなら、森林に包まれた静けさを、心の中に思い描いてみてください。
無理に前に進まなくてもいい。
今ここに、静かに立っているだけでも、ちゃんと大丈夫。
そしていつか、ほんとうに心が求める「生きやすい場所」へ、あなた自身のペースでたどり着けることを、心から願っています。
ー 小さな回想録として
今回、スウェーデンで過ごした日々を思い出しながら、こうして文章にまとめてみました。
書きながら気づいたのは、あの頃の私は、何も特別なことをしようとはしていなかったということです。
ただ、そこに在り、風を感じ、誰かとたわいもない会話を重ね、そして、静かに自分と向き合う時間を大切にしていた。
いつの間にか忘れてしまっていた大事な感覚を、
久しぶりに、そっと思い出すことができた気がします。
この小さな回想録が、今読んでくれているあなたの心にも、どこかやわらかな風のように届いていたら、うれしいです。
そしてもし留学や海外に行ってみたいと思っているあなたは、その一歩を踏み出してみてください。
きっと、あなたにも、スウェーデンがわたしにもたらした、人生のあたたかなメッセージのような特別な時間と、あなたにしか感じれない素晴らしい経験をもたらしてくれると思います。
また、こんなふうに、時にゆるやかに思い出を書き綴っていきたいと思います。
読んでくださり、本当にありがとうございました。

オランダ勤務のとき、とある人の言葉が人生の指針になったお話し⤵︎
私も散々悩みました「どこの国に留学したらいいですか?」「就職や移住を視野に入れるなら、どこが良いのでしょうか?」そんなお悩みに大きなヒントをくれる記事!
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