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OJTがうまくいかない本当の理由は、教え方ではなかった


教え方を学ばないまま、OJT担当になった人へ-新人が「わからない」と言える職場のつくり方


「何度説明しても伝わらない」
「ちゃんと教えているつもりなのに、新人が育たない」

そんな戸惑いを抱えたまま、
OJT(職場内訓練)担当になっている方は少なくありません。

企業研修の現場でも、
初回のお打ち合わせで、
よくこんなお声を伺います。

「現場では先輩としてOJTを任されています。でも実は、“教え方”を学んだことがないんです」

私はこの言葉を聞くたびに、
深くうなずいてしまいます。

仕事ができることと、
人に教えられることは、
少し違うからです。

教え方の正解よりも先に、
新人が安心して「わからない」と言える関係を、
どうつくっていくか。

研修現場で見えてきた、
心理的安全性をつくる小さな問いかけを、
お伝えします。


OJTで「ちゃんと教えているのに伝わらない」理由

現場で経験を積み、
専門知識もあり、責任感もある。

だからこそ、
後輩や新人を教える立場になる。

けれど、OJTの難しさは、
業務を知っているだけでは乗り越えられない場面にあります。

  • 相手は今、何を理解できているのか

  • どこで不安を感じているのか

  • 何がわからないのかさえ、うまく言葉にできずにいるのか

そこまで丁寧に見つめることは、
忙しい現場では決して簡単ではありません。

そのため、
「もう説明したよね?」
「前にも言ったよね?」

そんな言葉が増えてしまうことがあります。
教える側は、決して冷たいわけではありません。

むしろ、
『困らないようにしてあげたい』
『早く自信を持てるようになってほしい』

という思いがあるからこそ、
説明が増え、
正解を急ぎたくなってしまうのです。


OJT担当者研修で聞いた、新人育成「教え方」の悩み

今回のOJT担当者研修でも、
参加者の方から多く聞かれたのは、こんなお悩みでした。

  • 何度教えても伝わらない

  • どこまで言えばいいのかわからない

  • 厳しく言いすぎてもいけない気がする

  • 優しくしすぎても育たない気がする

  • 相手の本音が見えない

  • 新人が質問してこない

どれも、現場では本当によく起きていることです。

そして、その背景には、
「後輩を育てたい」
という真剣な思いがあります。

だからこそ、OJT担当者ほど、
実は悩んでいるのです。


OJTトレーナーに必要なのは「心理的安全性」

研修の中で、参加者の皆さまに、
こんな問いを投げかけました。

「相手は今、何を理解しているかだけではなく、どう感じているでしょうか?」

英語で言えば、How do you feel?
という視点です。

この問いをお伝えした瞬間、
会場の空気が少しやわらいだのを感じました。

OJTでは、どうしても、

  • 何を教えるか

  • どこまでできるようになったか

  • ミスをどう減らすか

に意識が向きます。

もちろん、それは大切です。
けれど、人は機械ではありません。
理解する前に、不安になることがあります。

質問したいのに、
「こんなこと聞いていいのかな」
と黙ってしまうこともあります。

「大丈夫です」と言いながら、
本当は全然大丈夫ではないこともあります。


新人が質問できない職場で起きていること

ある参加者の方が、
ワークの中でこんなことを話してくださいました。

「自分では丁寧に教えているつもりでした。でも、相手が安心して質問できる空気をつくれていたかは、考えたことがありませんでした」

私は、
この言葉にとても大切なものが詰まっているように感じました。

OJTに必要なのは、“正しい指導”
だけではありません。

✓「わからない」と言えること。
✓「もう一度教えてください」と言えること。
✓「実は不安です」と言えること。

そんな関係性を育てることも、
OJT担当者の大切な役割です。


心理的安全性は「安心して話せる空気」から生まれる

最近よく耳にする、
「心理的安全性」という言葉。

私はいつも、こうお伝えしています。

心理的安全性とは、
“本音を出しても、関係が壊れないと思える安心感”
なのだと思います。

OJTの現場で言えば、

  • 質問しても怒られない

  • ミスをしても人格まで否定されない

  • わからないと言っても迷惑そうにされない

そんな小さな安心感の積み重ねです。

人は、安心できる場所でこそ、
本来の力を発揮します。

安心できるから、挑戦できます。
失敗から学べます。

そして、自分で考える力を育てていけるのです。


部下育成で大切なのは「教えること」より「感じること」

コミュニケーション研修で、
私が大切にしていることがあります。

それは、
“スキルの前に、相手を感じること”です。

相手は今、焦っているのか。
緊張しているのか。
自信をなくしているのか。

それとも、
本当はやる気があるのに、
うまく表現できないだけなのか。

そこに気づこうとする姿勢があるだけで、言葉の温度は変わります。

同じ
「どうしてできなかったの?」
という言葉でも、
責めるように聞こえることもあれば、
「一緒に整理しよう」
という安心感として伝わることもあります。

違いを生むのは、言葉だけではありません。

その奥にある、
「あなたを理解しようとしている」
という在り方なのだと思います。


小さな対話が、職場の心理的安全性を育てる

現場を変えるのは、
大きな改革だけではありません。

たとえば、
こんな小さな問いかけから始めてみてください。 ──────────────────

✓朝の挨拶のあとに、ひと言添える
「今日の調子はどう?」

✓ 相手の表情に気づいたとき   
「今、何か気になることがある?」

✓説明のあとに、状態を聞く   
「ここまでで、不安なところはありますか?」

✓ミスをした相手に伝える
「何が起きたか、一緒に整理しよう」

──────────────────
どれも、特別なスキルは要りません。
ただ、相手を「指導する対象」ではなく、
「感じている一人の人」として見る視点。

それだけで、
職場の空気は 少しずつ変わっていきます。

そして、教える側もまた、
完璧である必要はありません。

「教え方を学んでこなかったからこそ、これから学べばいい」

そう思えた時、OJTは"負担"ではなく、
人と人が共に成長する時間へと変わっていくのだと思います。


新人育成に必要なのは、「How do you feel?」という視点

現場で人を育てる皆さまは、
日々たくさんの葛藤を抱えています。

ー忙しさの中で、教えなければならない。
ー成果も求められる。
ー相手の成長も支えなければならない。

その中で迷うことは、とても自然なことです。
だからこそ、まずはひとつだけ。

問いかけてみてください。

―How do you feel?
「この人は今、どう感じているだろう?」

その視点を持つだけで、
見える景色が少し変わります。
相手への言葉が少しやわらかくなります。

そして、
職場に小さな安心感が生まれていきます。

人を育てることは、
正解を押しつけることではなく、
その人が自分の力で一歩を踏み出せるように、
そっと場を整えること。

今回の研修でも、そんな大切なことを、
参加者の皆さまと共に感じる時間となりました。


もし、読んでいて「少し立ち止まりたいな」と感じるところがあったら。
こちらもおすすめの記事です。

今日のひとこと

心理的安全性とは、“本音を出しても、関係が壊れないと思える安心感”がある状態

きょうもいい日になりますね🌹


Profile
桐生 純子|コミュニケーショントレーナー
法人を中心に30年・延べ15万人の研修現場に立ってきました。
「伝わらない」の多くは、言葉ではなく姿勢の問題です。
その気づきを、記事を通してお届けしています。
著書『こころのスイッチ』


最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

「育成しているつもりが、なかなか現場に活かされない」
そんな場面が組織の中で続いているとしたら。
それは個人の問題ではなく、
"関わり方"の設計から変えられることかもしれません。

管理職の対話力・1on1・心理的安全性をテーマに
企業研修・講演を行っています。

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詳細なヒアリングをもとに、
業種・階層・組織課題に合わせて 毎回ゼロから設計→実施します。

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