イラスト人生で一番画力が伸びた練習方法について
イラスト初心者のころ、
コピー用紙にひたすら丸や直線を引いた記憶はないでしょうか。
初心者向けの練習として有名ですね。
ちなみに、僕も通りました。
絵の練習方法は多岐にわたりますが、15年近く絵を描いてきた中で、
画力がグッと伸びたと感じた練習方法についてまとめてみます。
質感のコントロール
前提ですが…なかなかに難しいです。
なのでこの練習は、ある程度絵に慣れてきた時期におススメです。

・リンゴや透明なものをそれぞれちゃんと描き分ける基礎力
・要素をコントロールし抜き出して、別のものに与える応用力
・どんなモチーフにどんな要素をプラスすると面白いか考える発想力
絵において大切な要素を一気に鍛えられます。
モチーフや付与する要素は自由ですが、汎用性や人気は意識したいところ。
個人的にはやはり「透明」がオススメです。
水やグラス、窓ガラスなど…絵の中に直接出てくることが多く、
透明感、透け感という意味では、作品によってはとても重要になります。
それになにより人気のある質感です。宝石なんかがいい例ですね。
透明でキラキラしたものは非常に魅力的です。
それとこれは、美術系の大学に通っていた方から聞いた話ですが、
学校では透明なものをとにかくたくさん描かされたそうです。
やっぱり練習効率が良いのでしょうか…。
ちなみに…

この練習に慣れてきたら、
「透明」の種類を描き分けたり、
どんな形に「透明」を付与すると面白いかを考えたりできると
より良いように思います。
例えば…
「透明」のもつ要素の中で「キラキラ感」を押し出したいと思った場合。
「単調な形よりも複雑な形の方がキラキラしそうだな~」
「ガラスがぎっしり詰まっている感じで、プリズム風にしたい!」
「彩度や色数を少し誇張して、よりカラフルな印象にするのアリかな…」
などなど、多角的に発想できると良いと思います。
要素はある種の道具です。扱い方で良し悪しが決まります。

上手く描けない場合は、
透明自体をたくさん観察し、たくさん描いてみると良いかもしれません。
少し違う話かもしれませんが…
僕は動物の作画が非常に苦手です。はっきり言って可愛く描けません。
それでも仕事をしていると、どうしても描かなければいけない時もあります。
そんな時は一旦別のキャンバスを開いて、該当の動物をクロッキー的に描くようにしています。
だいたい1匹5分くらいのペースで、30分から1時間ほど。
こうすることで、動物の持つ要素をより深く知ることができるので、
遠回りなようでかえって清書を早く終えることが多いです。
上手く描けないときの原因は
「そもそもそのモチーフのことを良く知らない」
というシンプルなものかも。
いろんな質感を付与してみる

金属も練習の際によく用いられる、ベタなモチーフですね。
明暗の差が激しいため、コントラストのコントロール力が鍛えられます。

透明関係ですが、流動する都合上こちらの方が難しく感じる方も多いかも。

どんなものも、基本的には面で捉えたいですが、
難しければ主線を追いかけても良いかもしれません。
特に水しぶきはシルエットの淵に特徴が出やすいため、合理的です。
髪の毛も帯状に線で捉える考え方が多いので、合わせやすくもなるかも。

ホログラムシートは高彩度と低彩度が入り乱れる質感のため、
彩度のコントロール力を鍛えるのにとても向いています。
ど派手な色の絵を描こうとしたときに、色味が幼稚になってしまった経験はないでしょうか。
おそらくですが…低彩度の支えが足りていないのかなと思います。
こういったバランス感覚、色の体幹を養うのは中々大変ですが、ホログラムシートが解決の糸口になるかも。
僕自身、色がダサくなりやすいので…個人的にホログラムシートには非常にお世話になりました。

ホログラムの資料が上手く集まらない場合は、シャボン玉とかでもいいのかなと思います。
少し淡いですが、似た特徴を持っていて可愛いモチーフですね。
難しいと感じたら
焦らず基礎、デッサン力を補強していきましょう。

(↑図)少し粗めの、
1つ1つに時間をかけすぎず筆のタッチが残っているものから、

(↑図)じっくりと時間をかけた、なるべく丁寧なものまで。
幅広くデッサン、模写などしていきたいです。
短時間で描く練習では、
少ない時間の中でモチーフの完成度を上げる必要があります。
より特徴的な部分を見極めつつ、全体の形や明暗を追いかけるイメージで行うと効果的です。
長時間で描く練習は、
短時間では見つけられない繊細な要素を貪欲に探すイメージで練習すると良いと思います。
ただ、画面を見ている時間が長くなるためゲシュタルト崩壊を起こしやすいです。
絵を描きながら「あれ、今なに描いてるんだっけ…?」となるあれです。
定期的に遠くから見たり、スマホなどの別画面で見ることを推奨します。
余談ですが、
描くのが早いことは間違いなく良いことです。
筆が遅いとなかなか仕事になりません。
ですが練習まで早く描きすぎると「時間をかける練習」の経験値が足りず…
・清書感がなく、数字にはなるが仕事に繋がりづらい
・いざ情報量の多いものを描こうとした時にすぐ飽きてしまう
・ぱっと見は良い感じだけど絵に深みがない
・作品数は多いもののクオリティが横ばい
などの状態になりやすいです。
一概にこれが悪い状態というわけではないですが、
もしこの状態を直したいということであれば「時間をかける練習」がオススメです。
慣れてきたら、質感に特化させたり形を縛ってもいいかもしれません。
下の図は1例です。

下は6年前に挑戦した時のものです。

この練習も定期的にしていますが、画力をグッと上げてくれたんじゃないかなと感じています。
言ってしまえば、円柱という形に様々な要素を付与している状態ですね。
各質感の一口メモを下記にまとめております。
ご興味ございましたら是非。
おわりに
学生時代、プロのセミナーに参加した際に僕一人だけ
「君は直線をとにかくたくさん引いて」と言われました。
いわゆる「球拾い」ですね。
隙間なく直線を描いただけの真っ黒なケント紙を毎日一枚作ってました。
家族からはいよいよ病んだと思われていましたが…
今振り返ると、なかなか真面目なのかも。
ただ線を引くだけのものを皮切りに、様々な練習をしてきました。
その中には、正直役に立ったか微妙な練習もありましたが…
絵が上手くなったなとちゃんと思えるものも幾つかあります。
そしてそのどれもが、基礎力に関係しているように感じます。
基礎の土台がしっかりしていれば、その上に表現を積み上げやすい。
今回ご紹介した「別の要素をプラスする」練習は、
個人的に基礎力を最も強く鍛えられたと感じています。
トレーニングメニューに迷われている方はぜひ。
…とはいえ……
基礎をまるまるすっ飛ばして描きたいものを煮詰めた個性的な作品にも、
高い魅力が宿ることもあります。
自分の進みたい方向に合った鍛え方を選ぶのが1番大事です。
ただやみくもに数をこなしたり時間をかけるのではなく、
自分に今何が必要で、どんな練習を何のためにするのか…
目的をもって鍛えられると良いと思います。
池上
