ゆる~い意識で絵の基礎力を引き上げる!質感の描き分け方。
イラスト制作会社の方から聞いた話ですが、
質感の描き分けがしっかりしている作家さんは信頼でき、
仕事を依頼したくなるそうです。
非常に手前味噌ではありますが…
運の良いことに、僕自身の質感表現はご好評を賜っており、
現在講義のご依頼を頂戴しております。深謝…。
講義でお話しする内容を簡潔にし、ポイントを絞ったものを
以下にゆる~くまとめていこうと思います。
草、木、石の質感

①草の質感メモ
100点の草を大量に描こうとすると、よほど植物が好きでない限り
心がもちません。
30~40点くらいの草で良いのでたくさん描いて、量でカバー。
マンボウの出産くらい、質より量を極めたいです。
草に限らず自然物はだいたい意識したいことですが、
ちょっとわざとらしいくらい不規則にしています。
近くの葉っぱ同士の、形、角度、色、大きさ…などなど、
大まかなステータスが被らないように気を付けています。
特別なものを除いて、
自然物が均等に並んでいるとちょっと不自然ですよね。
一言で言うなら、なるべく異なるシルエットで手早く描き続ける!
という風に意識しています。
練習オススメ度:☆☆☆☆
②木の質感メモ
しっかり描くなら種類は絞りたいです。
例えば、木目というと縦をイメージしがちですが、
さくらの木…ソメイヨシノなんかは多くの木目が横向きです。
種類によって結構変わるんですよね、木目…。
日本の街路樹は、ケヤキやイチョウ、ソメイヨシノなどが多いので、
種類を絞るならこのあたりがオススメです。
ただ、こんなに超アップで描く機会もそんなにないので、
なんとなく縦にラインが入っていれば大丈夫かなって思います。
無難に描くなら、
・彩度を上げすぎない。
・ブラシサイズや筆の強弱をしっかり変える。
このあたりを意識しています。
どうしてもアップで切り株みたいなものを描かなきゃいけない時は、
コケやキノコで色幅をだして、
ひび割れやうろで立体感を追加するなどして、
見た目の印象を複雑にしたいです。
練習オススメ度:☆☆
③石の質感メモ
関門の一つ。僕は非常に苦手です。
テクスチャやざらっとしたブラシに頼らず自然に描けたら、
かなりすごいと思います。
宝石や鉱物のような、透明感のあるキラキラしたものを描く際は、
特に明るい部分を、「白に近い」ではなく「発光している」ような
印象になるように描いています。
明るい色を入れる予定の部分に、彩度が高めの色をあらかじめ置いておくと
それっぽくなりやすいです。
石や岩を描く場合は、細かいざらざら感や模様などに囚われず、
大まかな形で捉えるようにしたいです。
(まぁなんでもそうなんですが…汗)
長い時間をかけて形成されたものなので、
形も、四角や丸になりすぎないようにしたいです。
形が粒だっているとかえって悪目立ちしますし…。
練習オススメ度:☆☆
葉っぱ、金属、水の質感

④葉っぱの質感メモ
葉っぱは中心を通る太い葉脈を軸に、少し折れているものが多いです。
優しく開いた本を想像してみると分かりやすいと思うのですが、
右のページと左のページでは、光源に対して角度が異なります。
葉っぱも同様に、
葉脈を境界とした2つの面の色を少し変えてあげると、
低コストで立体的に見えやすいです。
硬い葉っぱは光沢を載せて…
柔らかい葉っぱはコントラストを抑えて…
薄い葉っぱは光を透かして影面も明るく…
など考えつつ、角度や形にランダム感を持たせてあげたいです。
練習優先度:☆☆☆
⑤金属の質感メモ
特徴的な質感なので、コツをつかめさえすれば
短時間でそれらしくかけると思いますが…
苦手な場合は…
コントラストをとにかく高く!
反射や映り込みなどややこしいことはとりあえず置いといて、
1にも2にもコントラスト!と意識して描くと
それらしくなると思います。
キャラクターイラストを描く際にも、
アクセサリーや装飾、武器などよく出てくる質感なので、
しっかりおさえておきたいです。
練習優先度:☆☆☆☆☆
⑥水の質感メモ
透明なモチーフを描くときは、
モチーフそのものの奥の色を多用しています。
この場合、背景の謎のグレーですね。
光を反射したり、周りの景色が映りこんだりする質感なので、
近くにある色味は気軽に入れてあげてもいいと思いますが、
ベースは奥の色!って感じで描いてます。
水しぶきは、球をイメージしつつ曲線を引いています。
そして、シルエットのふちだけコントラストを上げて、
他は背面の色を置いています。
透明なものを上手く描けるようになると、
絵に透明感を出すこともできるので、優先的に練習したいです。
練習オススメ度:☆☆☆☆☆
雪、土、木の板の質感

⑦雪の質感メモ
もともとの色が白、無彩色なので地味になりやすいです。
描いてみたけどパッとしないときは、
影を思ったより青くしてみてもいいと思います。
キレイな感じの表現を望まない場合は、
茶系をいれて土と混ざっている風にすると
色数が増えて良い感じです!
植物などの要素の多い質感は、
描かなきゃいけないものが大量にある代わりに、
描き切ってしまえば少し雑でも見栄えはちゃんとします。
ただ雪のような、要素自体が少ないものは、
描き込みでごまかすことが難しいので
色や形をしっかり当てていきたいです。
でも正直そんなに頻出する質感でもないので…
練習オススメ度:☆
⑧土の質感メモ
苦行枠。手数は必要なのくせに地味な質感。
観察よりも作画よりも、モチベーションの維持が大変かも…。
落ち葉や太い根っこを描いて、少しでも土の部分を減らしたいです。
大真面目に描くなら、一粒一粒描くことになります。
今回は練習なので一粒ずつ丁寧に作画しましたが、
あまりにもコスパが悪すぎるので、一部だけ描いてコピペで
良いと思います。
こんなにアップで土を描く機会はあまりないですが、
少し大きな粒の集合体であれば、ノウハウを生かすことができます。
神社の境内の砂利や、線路に敷かれている石なんかがそうですね。
寺社仏閣や線路は、背景ジャンルでは人気のモチーフなので、
粒の描き方を覚えておいても損はないのかなって思います。
練習オススメ度:☆☆
⑨木の板の質感メモ
木目と一口に言っても種類が豊富ですが、
とりあえず板っぽく見せたい場合は…
地図でみる山々の高等線のような、
不規則な楕円形が連なっている様な図をイメージして作画しています。
さわやかに描くなら周りの映り込みをほんのり描いて、
ワックスをかけたフローリングのような
少しテカテカとした印象に。
ポートフォリオに背景イラストを入れる場合、
洋室のイラストはぜひ欲しいですね!
光が反射し家具が映りこむような、
清潔感のあるきれいなフローリングが描けるとアツいです。
練習オススメ度:☆☆
肌、髪、鱗の質感

⑩肌の質感メモ
うっかり忘れがちですが、人は7割近く水分です。
なので、赤い液体を厚手の皮で包んでいるようなイメージで描いています。
強い光を受けると、ほんのり赤みが透ける感じ。
表面化散乱とか、サブサーフェススキャッタリングとか
いろいろ呼ばれてますが…
「光と影の間らへんがほんのり赤いと…なんか良いよね!」
ってくらい気軽に使っていって良いと思ってます。
キャラクターイラストをたくさん描く場合、
基本的に避けては通れない質感だと思うので、
描き慣れておきたいです。
練習オススメ度:☆☆☆☆☆
⑪髪の質感メモ
手数系の質感なので、ぼーっと手癖で描いてしまって
単調になってしまわないように気を付けています。
作画中に一定間隔で、左右反転やキャンバスの回転をすると
単調さに気が付きやすくていつも助かっています。
髪の毛はハイライトが伸びやすいので
(確か異方性反射とかってやつだった…かな…)
ちょっと長めに入れることが多いです。
まあここまでリアルに描くことは少ないと思いますし、
アニメタッチのイラストにおける髪の表現は
独自の進化を遂げているので、
キャライラスト!って感じの絵を描く場合は、
そこまでリアルな質感を追求しなくてもいい気がしています。
いや…基礎は大事なんですけどね…
練習オススメ度:☆☆☆
⑫鱗の質感メモ
蛇が好きな方、魚が好きな方、鱗模様が好きな方向け。
って思うかもしれませんが、
柔らかさと光沢感が共存した質感の練習にとても向いています。
よく出てくるモチーフでいうと、ローファーなんかがそうですね。
まぁそれならローファーをたくさん練習すればいいので、
やっぱり鱗が好きな方向けですね。
金属と肌の間くらいのテカテカ感って思って描いてます。
練習オススメ度:☆
血、氷、布の質感

⑬血の質感メモ
流血表現が好きな方向け。
刃を使ったバトルシーンみたいなものだと、
派手な血しぶきがカッコいいので、
サラサラとした印象に。
ねっとりとしたグロテスクなシーンや鼻血とかだと、
ネバっとした印象に描きたいです。
基本的には彩度はずっと高くて大丈夫です。
練習オススメ度:☆
⑭氷の質感メモ
結構見落としがちなポイントですが(僕だけかもですが)
冷気は下向きに描くとそれっぽいです。
上向きに描くと湯気のように見えてしまい、
かえって温かそうになってしまいがちです。
(思い出せる限りでも3ミス)
エフェクトとして氷を描きたい場合は、
しっかり脚色して青系の色味で描いてあげたいです。
練習オススメ度:☆☆☆
⑮布の質感メモ
しわを線として追いかけるように描くと、
立体感やリアリティが出にくい場合があります。
どこが明るくなってどこが暗くなるのかの意識を
より強くもって作画するようにしています。
キャラクターイラストにおける布の作画が、
年々リアルな表現になっている様に思います。
是非とも覚えたい質感ですね!
クローゼットの中にある服から、
汎用的なものを選んで片っ端から描くのが良い練習だと思います。
もし難しいと感じたら、柔らかくクシャっと丸めた紙の模写でも
良いと思います。
布よりはっきりと折れるので、形をつかみやすいかもしれません!
練習オススメ度:☆☆☆☆☆
以上です!
練習オススメ度は、基礎力の向上させやすさ、
モチーフ自体の登場頻度や汎用性などから
決めています。
多くの生徒を見てきましたが、
絵の表現が基礎力に比例してレベルアップしているように思えます。
単純な立体感だけでなく、構図や配色、物語性や演出まで、
基礎力の影響を受けている様に感じます。
基礎の土台がしっかりしていると、
その上に様々なものを積み上げても安定するんだなと、
基礎の大切さを実感します。
15質感チャレンジ。
基礎力の向上のお供にいかがでしょう!
池上幸輝
