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三万文字のプレゼント

■四カ月前

私はつい四カ月前、十月の終わりにnoteを始めた。

きっかけは、まず知人数名で
交換日記的なnoteを始めようという話になった。
自分達が行っている、とある活動を広めるために。

私はそこで生まれて初めてのnoteを書いた。
何をどう書けば良いのかもわからないまま、無我夢中になって書いた。
結局、簡単な自己紹介的な記事になったが、思ったよりも楽しかった。

次の順番が回ってくるのも楽しみにしていた。

けれど、私に次の順番が回ってくることはなかった。
他のメンバーが書けないといって止めてしまったのだ。
次は何を書こうかすでに考え始めていた私は、なんだか拍子抜けしてしまった。

考えた結果、自分一人で自由に書けるnoteを始めることにした。
そうすれば毎日だって書いて良いのだ。

■それから約一か月後

時は流れて、十二月上旬。
気が付けば私は、なんとnoteをほぼ毎日更新していた。

信じられなかった。
だって私はこれまでの人生で、
いくら周囲の友達が創作活動に夢中になっていても、
一緒になって作品を書き上げることはできなかったから。

常に何か書いてみたいという憧れを抱きながら、
何を書けば良いのか分からず、
ただぼんやりと白紙のページと見つめ合ってきた。
自分のことを、書けない側の人間なのだと信じてきた。

だからこれは大事件だ。
どうしてか分からないが、私はnoteでなら文章を書くことができるらしい。
しかも毎日、約千文字程度。
長らく一文字も書けなかった私にしては、なかなかの数字である。

■そしてある日

どこで見かけたのだったか。
多分Xのタイムラインだったように思う。

『三万文字あれば本が一冊出せる』

その一文を読んだ瞬間に、はっとした。
一か月、千文字書けば、約三万文字。
つまり私にも本が出せるということか。

その言葉が正しいとか、正しくないとかは問題ではない。
実際にはもっと少ない文字数でもきっと本にはなる。

ただ、私は気付いてしまった。
自分もその気になれば同人誌を出せるということに。

同人誌は長らく私の憧れだった。
それと同時に決して手が届かない高みでもあった。
だって私は本にできるほど文章が書けないし。

いや、書けないはず「だった」。
けれど今の私には、noteに書き溜めた文章がある。

はからずしも十二月。
数週間後には私の誕生日が控えている。

そうだ、自分への誕生日プレゼントに、本を作ろう。
四十歳を迎える直前の、四十日間を本にしよう。
私は自然とそう考えていた。

■その後

それからはあっという間だった。

連日、暇さえあれば本の作り方を調べて。
周囲におすすめの印刷所を聞いて回って。

縁があって知人の手伝いで文フリに行った。
近所でZINEを取り扱っている本屋に行った。
本を作りたい人のための本を買った。
印刷所に資料請求をした。

毎日が充実していて、楽しかった。

そうして私は無事に印刷所に入稿して
二週間ほどで宅配便を受け取ることになる。

宅配の事前連絡がきた日から、もうずっとそわそわしていた。
受け取った簡素な段ボールが、とびきりのプレゼントボックスに見えた。

『二か月後の私へ、ハッピーバースデー』

これはnoteを書き始めた時の私の祈りだ。
そして生まれて初めて出す本のタイトルだ。

もともとは四十歳という節目を納得して迎えるため
模索して過ごしていきたいという考えでnoteを始めた。

それがバースデープレゼントという形を取ったのは
もはや必然のような気がしている。

来週は、生まれて初めてサークル主としてイベント参加をすることになっている。
私の挑戦はまだ終わらない。

(1439文字)


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