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【新作MV完成!!】noa-nara |数字の街の片隅で ― 私なりに考えた、不器用なnoteとの向き合い方

このお話は、
もともとSNSが苦手だった私がnoteを始め、
数字で表すラベルに違和感を覚えながら、

人との交流を深める中で大切にしたい想いを込めた物語です。

フォロワー、ビュー、スキ、コメント、再生回数…
数字で表せる指標。

分析は大切。
でも、その数字を積み重ねてくれるのは、
画面の向こうにいる、ひとりひとりの人です。

それを、ただの数字に置き換えてしまうことに、
ずっと違和感がありました。

でも、私のような小さなアカウントが呟いたところで、
数字が増えないことへの、言い訳だと思われかねない。

だから、あんまり表立って言うつもりはありませんでした。

作品にしようと思ったきっかけは、
誰からも慕われていた方が、突然noteを去ったことです。

やはり、その人は私にとって、
ただの「1」ではありませんでした。

でも、その人のことが、
ただの「1」だった人もいるでしょう。

これを見て、あなたの経験でも、どんなことでも、
何か感じたことがありましたら、

そっと教えていただけましたら、とても嬉しいです。


【物語】

ちび猫は、不思議な街にやってきた。

首には、数字の刻まれたタグがぶら下がっている。

外に出てみると、その街には表札のように数字が並んでいた。

―― ここは、いったいなに?

よく見ると、少しずつ、バラバラに動く数字たち。
ときおり増えたり、減ったりするらしい。

大きな数字は、立派に見えた。

ときどき、いろんな部屋のポストに文字が吸い込まれていく。

ちび猫の横をすり抜ける文字。

つられてそちらに目をやると、自分が出てきた部屋にも、
数字があった。

「7」

タグと同じだ。
どうやらこれは、自分を表すものらしい。

―― 大きい方がいいのかな?
一桁なんて、誰もいないよ…

増えろ、と念じて睨んでみても、数字は変わらない。

―― これが、僕…。

まるで、「お前はちっぽけな役立たずだ」と言われているみたいだった。


翌朝、目が覚めて外に出る。
振り返ると、数字がひとつ、増えていた。

―― よくわかんないけど、増えた…!

でも、たったの1だ。
周りとは比べ物にならない。

喜んでいいのか、悔しがればいいのかわからなかったけど、
やっぱり嬉しかった。

大げさに喜ぶのも恥ずかしくて、
小さな拳を、少しだけ握りしめた。

街の数字は、動き続ける。


街には、人の姿が見えない。

ちび猫はどうすればいいのかわからなくて、
誰かに手紙を渡そうと思った。

家には、封筒と便箋が備え付けられていたから。

―― たぶん、これが正解…?

手紙を握りしめて外を歩いてみる。

けれど、どの家の扉も、ちび猫には固く閉ざされているように見えた。

―― どうしたらいいんだろう。
中に、誰かいるのかな…いないのかな…

たまに飛んでくる自動の手紙には、意味のわからない記号だけが並んでいた。

手紙とは、言えないかもしれない。
誰かが書いたものですら、ないかもしれない。

確かめたくても、誰に聞けばいいのかわからなかった。

誰かいるなら、気づいてほしかった。

ちび猫は誰の気配も感じない街を、とぼとぼ引き返した。

―― 僕は、ここにいるよ。

誰かに、そう言いたかった。


家に帰ると、ちび猫はまた手紙を書き始める。

誰に届けたいのかも、よくわからない手紙を。

記号の手紙を並べても、それがなんなのかわからない。
おそるおそる、同じ記号を書いてみたこともある。
でも、また同じ記号が戻ってきた。

なんの意味があるのかよくわからなくて、それももうやめた。

それなら、好きなように書いてみよう。

ひとりきりの時間に考えたこと。
面白いこと、不思議に思ったこと。

それからしばらくは、数字のことも、
人の気配についてもあまり気にしなくなっていた。

静かに、宛名のない手紙だけが、積まれていく。


そんなある日、不意に聞き慣れない音が部屋に響く。

こん、こん。

机から顔を上げて、ちび猫が振り返る。

扉の方から、音がした。

忍び足で近寄って、そっと扉を開ける。

そこには、立派な毛並みを持つ、明るいオレンジ色の茶トラ猫が、
手紙を持って立っていた。

「こんにちは。君の手記を読んだよ。」

そう言って、ちび猫に手紙を持ってきてくれたのだ。
手書きの、ぬくもりを感じた。
柔らかな、やさしい丸みのある文字。

―― 人が、いた…!!

ちび猫はおっかなびっくり、その立派な猫を部屋へ招き入れた。
そんな緊張した様子のちび猫の頭を、茶トラは優しく撫でた。

「怖くないよ。少し、おしゃべりしよう。」

嬉しさと不安が、入り交じった。


ちび猫の緊張がほどけるのは、早かった。

「兄さんの手紙は、やさしいにおいがするから好き!」

興奮気味に跳ねるちび猫。
部屋の中を見回しても、記号の並んだ手紙と、ちび猫の書いた文字しかない。

「おいで。外に出てごらん。楽しいことがあるかもしれない。」

茶トラ猫が、ちび猫を誘った。

ひとりでは見えなかった景色が、茶トラ兄さんとなら違って見えた。

増えた1は、茶トラ兄さんだった。


それからというもの、ちび猫はせっせと手紙を書いた。

まだ、誰かの家をノックするのは怖い。
でも、誰かが出てきてくれることがあるのも分かった。

今日は、近くの家に行ってみた。

出てきたのは、大きなライオンだ。
パリッとした身なりで、たてがみにもしっかり櫛が通してある。

彼は、みすぼらしいちび猫を見ても、丁寧に接してくれた。

「みんなが集まる公園があるんだ。一緒に来るかい?」

―― 見知らぬちび猫でも、受け入れてもらえるだろうか。

少し迷いながらも、ちび猫はライオンについていくことにした。

ちび猫はライオンに、導かれる。


昼下がりの公園。

そこにいたのは、ふわふわのまろい毛並みのうさぎと、淡い光の粉を振りまく月の妖精。

うさぎの胸元には羽根のような白い模様がある。
寄り添うようにふわりと羽ばたく月の妖精の淡い光が、それをいっそう際立たせていた。

夢のような光景に、ちび猫が感嘆のため息を漏らす。

そこへ月の妖精が近づき、柔らかな光で今度はちび猫を包み込む。

「いらっしゃい。子猫ちゃん、よろしくね。」

差し出された、飴細工みたいに繊細な手。

失礼のないように…したかったが、ちび猫は自分がちゃんと挨拶できる自信がなかった。

「僕…あの、はじめまして。とってもおきれいでしゅね!!」

―― やっぱり噛んだ。終わった…。

ひとりでいる時間の長かったちび猫には、リハビリが必要らしかった。

初めての相手に接するのは、少し怖い。


ライオンはうさぎと話し込んでいる。
そこに月の妖精も加わる。

3人のやり取りは、とても丁寧で、誰のことも傷つけなかった。
ちび猫のことまで気づかって、ときおり話を振ってくれた。
ちび猫は夢中で、みんなの話に耳を傾けた。

やがて、背筋をしゃんと伸ばした白鹿が、凛とした空気を纏ってやってきた。
彼女はとても聡明で、話の筋は芯が通り、間違いを放っておかない強さがあった。
場の空気も、心なしか引き締まる。

でもなぜか、心地よい。
淀んだ澱を吹き飛ばすような清浄さ。

そして、気づけば横にオコジョがいた。

―― いつの間に?

物静かで、色のない空気を纏っているように見えるが、よく見ると鮮やかな光が混ざり合って白くなっている、不思議な毛並みを持つオコジョだ。

オコジョの話は面白かった。
その場の情景を描き出すような話術で、みんなを楽しませた。
あえて言うなら、言葉の映画館みたいだ。
いや、もっとすごい。
物語に吹き抜ける風さえも、感じられた気がした。

ライオンも、そのお友達も、大好きになった。


またある日。
ちび猫は、街外れに響く、軽やかな音に引き寄せられた。

こん、こん…

釘を打つ一定のリズム。
高らかに響く音は、ちび猫にしか聞こえないのだろうか。

あたりには静けさが満ちていた。

音の源へ向かうと、そこでは一匹のオオカミ
が家を建てていた。
ちび猫は目を輝かせて、手伝いを申し出た。

「ここに人は寄りつかねぇ。変な猫だな!」

そう言うと、オオカミは大きな口をあけて、朗らかに笑った。

どうやら、数字の街にはうんざりしているらしかった。

「俺は数字に縛られねぇ。ここで、好きなようにやるさ。」

ちび猫が失敗しても、邪魔になっても、
オオカミは大きな口で笑い飛ばした。

ここでは、数字を気にせず、安心できた。


街へ戻る途中、ちび猫がいつも寄る家がある。
外に出てくる姿を確認したことはない。

未知のキツネだ。

真面目で、いつも何かを抱えていて、たまに苦々しいため息が聞こえる。

それでも、ちび猫がノックをすると、必ずノックが帰ってくる。
律儀なキツネだ。

いつか出てきてくれないかな…と思いながら、いつも聞き耳を立てて、そっと手紙をやりとりして、帰る。

それだけの関係だけど、不思議と悪くなかった。


交友が増えるにつれて、ちび猫は忙しくなった。

―― もっと面白い人がいるかも。
お手紙をたくさん書かなきゃ!

―― みんなにも、会いに行きたい。

気づけば、数字は77にまで増えた。
まだまだ小さい。

でも、ちび猫には精一杯の数字だ。

大きい数字になるのが、不安だった。


抱えきれないほどの手紙を抱えて、夜も街を出歩くようになった。

前が見えなくて、おぼつかない足取りで歩く。

突然、ひとけのない街で、何かにぶつかった。

見上げると、そこにはクロヒョウがいた。
鮮やかな紫のジャケットに、上品な緑のネッカチーフ。
モノクル越しに見える鋭い眼光。
黒く光る艶やかな毛並み。

それよりも…

「に、にせん……」

首元には、2309。

大変な相手にぶつかってしまった。

「ご、ごめんなさい!!」

思わず首をすくめて、縮こまった。
邪魔なちび猫だと、怒られると思ったのだ。

しかし、いっこうに何も起こらない。

頭に、柔らかな肉球の感触。
さわ、さわ。

見た目にそぐわぬやさしい手つきで、クロヒョウがちび猫の頭を撫でていた。

―― …???

先ほど見えた豪華なタグ。
視線を滑らせると、クロヒョウの真摯な視線とぶつかった。

「大丈夫かい?気をつけて。」

丁寧な仕草でちび猫を起こし、落ちたシルクハットをかぶり直す。

「では。急ぐので、すまないね。」

ちび猫は半ば呆然としながら、クロヒョウを見送った。

「あ、帽子…落として……ごめんなさい。」

小さくつぶやいた声が、届いたかどうかはわからない。


ちび猫は気を取り直して、散らばった手紙を拾い上げた。

―― あ、ライオンさんからのお手紙、今日はまだ、見てないな。

ライオンはいつも、折り目正しく、渡した手紙に返事をくれる。
隅々まで目を通して、ちび猫の言葉を拾ってくれる。
誰に対しても、誰の手紙でも、必ず同じように大切に扱ってくれていた。

―― そういえば、今日の手紙…?

視界の端に、暗く沈んだ一角が見えた。

灯りがすべて、消えていた。
窓も、数字も。

―― おかしい。
いや、そんなことは…
あれは、ライオンさんの…部屋?

ちび猫が駆け寄る。
そこにあったはずの扉が、消えていく。

数字が、なくなった。

何もない壁を叩いた。

返事はない。

手元に握りしめた手紙は、ライオンがのこしたものだ。
それだけが、ここにあった。

ちび猫のタグは、76。

たった1。
たしかに、減った。


へたり込むちび猫を笑うように、
冷たい突風が吹き抜けた。

最後の手紙をさらって。

「返してっ!!」

ちび猫は走る。
数字の表札が並ぶ、街の中を。

とにかく、見失いたくなかった。


手紙を追って、いつの間にか公園の前に来ていた。

みんながいる。

ライオンだけが、いない。

みんな、静かだった。

視線の先に、
空いている席が、ひとつ。

月明かりに照らされて、
みんなの思い出だけが、

ほのかに光った気がした。

そこに座る人は、もういない。


なんでいなくなってしまったのか、
誰も、何も聞いていなかった。

ちび猫は、部屋に戻ると今までの手紙を整理した。
ライオンからの手紙も、紛れていた。

ライオンのことを思い出す。

彼はいつも丁寧だった。
たくさんの人に、同じだけ誠実とやさしさを分けて。

ちび猫は無邪気に声をかけていた。
でも、それがうるさかったのだろうか……

考えても仕方がなかった。


―― これから、どうすればいいだろう。

たった「1」減っただけ。
それなのに、なぜだか部屋が寒々しく見えた。

―― そうだ。これからも、お手紙を描こう。
ちゃんと、ひとりひとりに。

―― でも、みんなのお名前を知らない…

―― そうだ。絵を描いてみたら、いいかもしれない。
数字じゃなくて、あなた宛だとわかるように。

ちび猫は、みんなの顔を思い浮かべながら、絵の練習を始めた。

ただの「1」じゃないと、伝わればいい。


持てるだけの手紙をカバンに入れて、
ちび猫は今日も街を歩く。

数字の重さの分だけ、カバンが重たい。


ちび猫は新しいお友達、たぬきの家へ向かう。

彼は子沢山で忙しい。
だから、いつも少しの立ち話で引き上げる。

でも、そのふくふくとした毛並みを震わせながら、いつもちび猫を笑わせてくれた。

ひょうきんな顔をして、いざとなると率先して動く、頼れるお父さんだ。


公園に着くと、みんなが座っていた。
ひとり、欠けたお茶会。

空いた席は、そのまま。
誰も、片付けようとはしなかった。

ちび猫は、ひとりずつに声をかけて手紙を渡す。

「白鹿さん、何かいいことありましたか?」
「ふふ、あったわ。とても嬉しいことが。」

「月の妖精さん、いつもみんなのそばを飛んでいたら、疲れませんか?」
「大丈夫よ。私、みんなのことを見ているのが好きだから。」

「うさぎさん、今日は劇場に行かなくてもいいんですか?」
「今日はおやすみですよ。ここにいると、ホッとします。」

「あ、オコジョさん!今日の毛並みは、淡い月虹みたいな色に見えますね!似合ってます。」
「そう?嬉しいな。実は、月虹が好きなんです。」

記号でも、自動の文字でもないやりとりが、ちび猫は好きだ。

「また、あとで!」
「気をつけてね。」

そんな挨拶を交わし、また次の場所へ。

名前は知らないけれど、仲良くなるのに、そんなことは関係なかった。


ひまわり畑を抜ける。

ひまわりたちは今日も、太陽に向かって精一杯のびていく。
ときおり、傾げた首を揺らして、こちらに挨拶をしてくれた気がした。

「こんにちは!」

風に揺られて、ひまわりが嬉しそうに揺れる。

「またね!」

まっすぐなひまわりが、今日も眩しい。


街外れの森の入口。

オオカミの家づくりは順調だ。

「おう、ちび猫。今日も来たのか!」

大きな口をあけて笑う。
ちび猫も笑う。

「オオカミさん、おうち、なかなかできないね!」

「そうなんだ。あれもこれもしたくなってなぁ!」

こだわり屋のオオカミの家づくりは、なかなか進まない。

何が違うのかさっぱりわからなかったけれど、
ちび猫はそれを眺めるのが好きだ。

よく見ると、ひとつひとつ丁寧に仕上げられている。
少しだけ、違いがわかったかもしれない。

「お手紙、読んでね!」

「おう、今日もありがとな!」

気の置けない、さっぱりしたやりとりが好きだ。


家に帰って、また手紙を書く。

明日は、どんな出会いがあるだろうか。
みんなは、どんな物語を教えてくれるだろうか。

集めた数字に、みんなの顔が重なる。
増えた数字は、ちび猫を見つけてくれた人の数。

今は、この数字が、好きだ。


現実の私にとっての数字の意味は、こちらで解説しています。
こはる観測所 別館
ねこのーと! (わけあって改名候補募集中!)


【歌詞】

数字の表札が
ならぶ街

路地裏の小さな猫が
途方に暮れて
立ちすくむ

自動で届く
たくさんの文字

表札に並ぶ
小さな数字

睨みつけても
増えなくて
私の名前みたいな
顔をしていた

noa, noa
ひとつ増えた朝
なんでもない顔で
何度も見つめた

noa, noa
ただの数字だと
思えたら
楽になるかな

mi-ra, mi-ra
noa ni ai

読まれるかわからない
手紙を抱えて
とぼとぼ歩く

私は
ここにいるよ

こん、こん

初めて聞く音
気づいたんだ

私の扉に
ノッカーが
あったこと

あなたは手紙を
渡してくれた

記号じゃなくて
あなたの言葉で

noa-nara
ただの1じゃなかった

noa-nara
そこに声があった

ひとつ届いただけで
大げさなくらい
喜べる私でいたい

noa-keth
mi no keth

持てるだけの手紙をかかえて
手の届く場所へ

たくさんじゃなくても
遠くへ行けなくても

小さな音を
響かせる

こん、こん

こん、こん

私のノックに
誰かが応える

奥に響く言葉を
私は聞いていた

noa, noa
増えてほしい

noa, noa
届いてほしい

持ちきれない手紙が
崩れ始めた

noa-keth
mi no keth

増える数字に
怖くなる

それでも時々
数字がほどけて
誰かが顔を出す

ある日
ノックの音が
ひとつ
やんだ

いつもの窓に
灯りがなくて

見慣れた扉が
音もなく消えた

noa, noa
ただの1

nara, nara
残った跡

冷たい風が
吹き抜けた

数字の表札が
ならぶ街

noa-nara
届いた文字ひとつ

noa-nara
空いた席ひとつ

noa-keth
mi no keth

抱えすぎないように
歩けなくならないように

ただの数字に見えなくて

今日も小さく扉を叩く

こん、こん


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