チウ・ヤン『空室の女』中国、機能不全家族を描く機能不全な映画
2024年ベルリン映画祭エンカウンターズ部門選出作品。チウ・ヤン長編一作目。主人公は40代の主婦ツァイ。中産階級の家庭にいるが、家族をあまり顧みない夫とは離婚協議中、中学生の娘は絶賛反抗期、同居する義母は認知症気味で奇行を繰り返している。映画の冒頭で、学校のバスケコートに娘を迎えに来たツァイは、八方塞がりな状況にむしゃくしゃして、ぶつかったボールを変な方向に投げ老女にぶつけてしまい、相手側の家族から賠償を求められる。踏んだり蹴ったりである。映画は、そんな状況に一つ一つ対処しようとしながらも有効な解決策を見つけられないまま次の問題に対処しようとして…とフラフラするツァイを観察し続け、話題になった短編二作から続投するDPコンスタンツェ・シュミットによる美しい撮影によって窃視的に切り取られたツァイは、様々な色光に支配された空間を彷徨い続ける。特に夜の陰影の艶やかさが良い。ネオンノワールかと思うくらい暗い。ツァイが死にそうな顔してる一本裏の路地にくしゃくしゃのトレンチコートに曲がったタバコ咥えた鼻に絆創膏貼ってる探偵とかいそう(偏見)。残念ながら想像通りの不幸描写釣瓶打ち映画だったわけだが、終盤20分で、そこまで登場しなかったツァイの実家に関する更なる不幸エピソードをブチ込んできたせいで底が抜けてしまう。一応この一連のエピソードを通して、毒親育ちのツァイが他者を愛する方法を知らなかったという背景の精神分析を観客に求めているのかもしれないと思いはしたけど、中産階級家庭の機能不全を描くためにエピソードを乱立させたせいで底が抜けて、映画自体が機能不全に陥るというのはどうなんだろうか。もう皮肉として一周回って面白いのかもしれない。あと、終盤で出てきた3歳の娘がいるおっさんis誰。ラストで英題が回収されるが、マジでただ雨が降ってるだけだった。もうなんなのよ。

・作品データ
原題:空房间里的女人
上映時間:98分
監督:Qiu Yang
製作:2024年(アメリカ, フランス, シンガポール)
・評価:40点
・ベルリン映画祭2024 その他の作品
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