小説『Snowdrop Surfer』第一話(あらすじ&プロローグ)
【あらすじ】
元芸人、元トップセールスマン。
異色の経歴を持つ47歳の佐々木真二郎は、不当な左遷の果てに、
札幌で赤字の包装会社「ホクセイ産業」の社長を押し付けられる。
立ちはだかるのは、
旧態依然とした業界の壁、
保身に走る本社の政治、
そしてすべてを部下に押し付けるパワハラ上司。
残された猶予は、わずか1年。
絶望的な状況下、彼を突き動かしたのは、
氷点下の海で出会ったサーフィンと、かつて舞台と現場で培った「人を動かす熱」だった。
高すぎて誰も見向きもしなかった「海洋生分解性プラスチック」を武器に、巨大企業「雪明グループ」や日本最大の小売チェーンを巻き込んだ前代未聞のV字回復に挑む。
ビジネスの修羅場、家族との絆 ─── すべてを乗り越え、彼は「本物の山」を登り始める。
冬に咲くスノードロップのように、冷たい現実を突き破り、真二郎は人生最高の波を掴めるか?
47歳、崖っぷちからのビジネス再生エンターテインメント。

【プロローグ】
海は静かだった。
まだ誰も波を掴んでいない。
セットは入るが、焦る必要はない。
「全国大会、決勝ヒート!
─── まもなくスタートです!!」
ビーチに響くアナウンス。
観客のざわめき、
カメラのシャッター音、
……眩しすぎる太陽。
俺は波待ちしながら、
ゆっくりと息を吐く。
吐き出した息が白くないことに、
いまだに少しの違和感があった。
(ここまで来た ───
俺は、本当にここまで来たんだ)
氷点下の海。
ウェットスーツの隙間から入り込む氷水が、
ナイフのように肌を刺すあの冬の日。
指先の感覚を失いながら、
真っ暗な雪の海岸で、一人パドルを続けた日々。
仕事の重圧、
パワハラ上司、
妨害されるビジネス
─── すべてを乗り越え、
今、俺はこの舞台に立っている。
………
「注目の選手、47歳の挑戦者
─── 異色のサーファーです!!」
実況が俺の名前を叫ぶ。
元芸人、
トップセールス、
そして北海道の雪に鍛えられたサーファー。
異色にもほどがある。
だが、
凍てつく冬を越えたスノードロップ(待雪草)が、
春に一番に花を咲かせるように、
今ここにいるのは、
過酷な季節を戦い抜いた、
紛れもない俺自身だ。
千葉、沖縄、東北、
そして北海道
─── 波に乗るたびに、俺の人生があった。
(あの海が俺をここまで運んでくれたんだ)
波が来る。
セットのピークを見る。
大きくて、パワフルな波。
俺はテイクオフのタイミングを見極める。
心臓が高鳴る。
「さあ、彼が動くか……!?」
俺は、一気にパドルを始めた。
─── ここからが、本当の勝負だ。

主人公・真二郎を襲う『三重苦』と『四刀流』の絶望


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