【映画批評】#76「異端者の家」 A24プレゼンツ"宗教を100倍楽しくする方法"
ヒュー・グラントが悪役を務め、天才的な頭脳を持つ男が支配する迷宮のような家に足を踏み入れた2人のシスターの運命を描いた脱出サイコスリラー「異端者の家」を徹底批評!
ジャンル映画ながら宗教的な教養をファストに得られる意外性。信心深い人は居心地の悪さを感じるかもしれないが、完全否定はされない。そのバランスの良さにグッとくる。あとヒュー・グラントサイコー!!!
鑑賞メモ
タイトル
異端者の家(111分)
鑑賞日
4月27日(日)8:50
映画館
MOVIX堺(堺浜)
鑑賞料金
0円(無料鑑賞クーポン)
事前準備
準備なし
体調
すこぶる良し
点数(100点満点)& X短評
85点
【新作映画短評】#異端者の家
— 近鉄太郎 (@egoma_senbei) April 29, 2025
ハッキリとジャンル映画なのに宗教に対する教養が深められ、端的に宗教がどういったものかを悪趣味に捉えて映像化したのは面白い。それも一方的に悪い側面だけではなく、信仰そのものの希望も認めている。そのバランス感覚が良く、多少の粗も気にならない。かなり好き。 pic.twitter.com/Ukw1e3DPWE
あらすじ
宣教勧誘に訪れたのは、優しげな笑みを浮かべる異端者の家。
進行を揺さぶる選択の先で、背筋が凍る「奇跡」を目撃する――。
シスター・パクストンとシスター・バーンズは、布教のため森に囲まれた一軒家を訪れる。ドアベルを鳴らすと、出てきたのはリードという気さくな男性。妻が在宅中と聞いて安心した2人は家の中で話をすることに。早速説明を始めたところ、天才的な頭脳を持つリードは「どの宗教も真実とは思えない」と持論を展開する。不穏な空気を感じた2人は密かに帰ろうとするが、玄関の鍵は閉ざされており、助けを呼ぼうにも携帯の電波は繋がらない。教会から呼び戻されたと嘘をつく2人に、帰るには家の奥にある2つの扉のどちらかから出るしかないとリードは言う。信仰心を試す扉の先で、彼女たちに待ち受ける悪夢のような「真相」とは——。
ネタバレあり感想&考察
エモやん似のヒュー・グラントが
宗教を100倍楽しむ方法を説く異端作
A24やしなんか辛気臭そうと思っていたが、これが存外に面白かった。
#62「フライト・リスク」に次ぐ上半期洋画の拾い物枠。
後半の密室スリラージャンル映画としては正直弱い気もするが、前半の宗教に対する挑発的な意思表明と論陣張りが面白すぎた。最後に明かされるヒュー・グラントの正体と彼の語る宗教の本質と照らし合わせたうえでの言動の一致と視点の歪みが逆に痛快!終始楽しかった。もちろんジャンル映画なので、悪役のヒュー・グラントは最後にはやられ、信心深いヒロイン側の希望もしっかり映し出す。
宗教をバカにして終わりではない、宗教の希望的側面もはっきり認めている。このフェアな視点が一番好きかもしれない。
個人的には映画自体が宗教をバカにしたうえで終わってしまっても問題なかった。「もっと徹底的にやれ!」という気持ちがないでもない。ただ宗教的な信仰を全く否定した先の地獄と人間集団がどうしても引き起こしてしまう負の構造を目の当たりにしたからこそ、信仰が打ち勝つという展開が効く。
ここまで用意周到なヒュー・グラントの若干の抜け感はご都合主義に映ったり、暗すぎてよくわからないなど、多少の粗はある。それらも面白さで押し切れていると思う。ブラムハウス的なイケイケなジャンル映画の要素も若干感じさせるし、A24が苦手な筆者でもグイグイ引き込まれた。こういうテンションで映画をいっぱい作ってほしい。
この映画のストロングポイントは宗教を全方位的にバカにし、面白おかしく語るヒュー・グラントである。異端者というよりは信仰そのものを全否定するソシオパスだ。なぜソシオパスかというと、神学・宗教学を究めたがゆえに宗教の本質に気づいてしまったことによる。だから先天的ではなく、後天的に世界と信仰に対する反逆性が身についたと考えられるため、ソシオパスと定義づけた。もともとは宗教フレンドリーな存在だったのだ。
ヒュー・グラント演じるリードはメガネをかけてスラっとしたイケオジとして、モルモン教の布教活動に訪れた女性2人を招き入れる。このメガネをかけた見た目が元南海・阪神でプロ野球選手として活躍した江本孟紀(=エモやん)にそっくりだった。プロ野球OBとしてはスラっとしたかっこいいオヤジである。エモやん自体が理知的ではあるものの、若干鼻につくエラそうな口調で語るタイプだから、見た目も含めて本作のリードと被る要素が多い。
(プロ野球界でも年下でノムさんのことを野村と呼び捨てするのはエモやんぐらいである、それぐらいエラそうw)


本当に白人化したエモやんが喋っているようにしか映らなかった。
エモやん似のヒュー・グラントが展開する「宗教を100倍楽しく見る方法」を聴いているような感覚だった。とにかく前半の「この世界の宗教とは何か~反復と上書きによる多岐細分化の歴史~」というタイトルでシンポジウムでもできそうな内容で普通に面白い。特に事前準備なしでも問題ないし、公式HPのキーワード解説も読んでから行ってもいいと思う。ネタバレ含むとあるが、個人的には観る前に知っておいて損はない内容だった。
モノポリーやハンバーガーチェーン店の乱立を例に、宗教がいかにユダヤ教を祖として、そこから自分勝手に解釈した人間たちが派生したものを粗製乱造してきたかということをかなり面白く、実は結構雑に論理展開していく。このあと明かされるのだが、リードは同様の手法で信心深い女性たちを家に招き入れ誘拐を繰り返してきた。そのため、この宗教Disプレゼンが何回も叩かれたネタのようになっていて、客イジリまで含めて実に滑らかに進んでいくのが、想像を膨らませられて笑ってしまうのだ。何に必死になってんだこのオヤジ、といった感じで観終わった後だと本当にギャグ映画にすら感じる。

布教活動に訪れた女性2人がモルモン教徒という設定も絶妙だ。
そもそもモルモン教=末日聖徒イエス・キリスト教会という、キリスト教派生の新宗教である。モルモン教自体が異端の宗教なのだ。どういった宗教かは一旦置いておいて、一番の特徴は全世界的に積極的すぎるぐらい積極的な布教活動を行ってきたところであろう。ハッキリと言ってしまえば、世界的な嫌われ者集団である。かなりウザがられている存在だ。冒頭からこの女性2名のモルモン教徒としては割かし煩悩にまみれた会話内容からスタートするあたりにもわかるように、作り手側が宗教に対する批判的な視点があることはうかがい知れる。言っちゃ悪いが、痛い目に遭ってもまぁ、と突き放せる存在かつ、リードの主張に一旦乗って気持ちよくなってしまってもおかしくないヘンテコな人々を被害者側に置くことで、先の展開を読みにくくしているのも面白い。
宗教の完全否定もまた地獄
どちらも行き着く先は支配
後半のトリックハウスを活用したスリラージャンル映画としては普通の流れで進んでいく。目的はソシオパスであるリードが誘拐した信心深い女性たちの信仰する宗教を否定させたうえで、支配していくというものだ。

死人が生き返るという奇跡を本人たちに見せることで自身を能力者だったり、神のような存在として信じ込ませるために行われるトリックが本当に「TRICK」レベルの奇術によるものなので、正直ショボさは感じる。
ただこれらが明かされたうえでも、宗教=人を支配するための装置でしかない、という結論そのものは妙に納得してしまう。本作のリードの主張は痛快に思ってしまうが、言ってもこれは映画だ。説明しようのない奇跡的な出来事によって、幕を閉じる。納得してしまいそうな論理を展開しようとも、ニヒリズムに毒されたヤバいヤツは報いを受けてしかるべきであり、そこはハッキリと物語であり、フィクションであり、キリスト教的だ。
リードが作った支配システムがディストピアすぎて、リードの宗教否定のスタンスにある種快感を得ていた観客もこれにはドン引きであるし、全く何も信じないことの行き着く先はそれはそれでしんどいもんやな、と思わされる。モルモン教の信者2人も支配構造に絡めとられた存在ではあるが、善性を頑なに信じている存在でもあり、ラスト周辺は彼女らに都合のいい展開ではある。しかし、信仰自体を否定せず希望を持たせるような描写自体に意外性があり、バランスの良さも相まって姿勢も含めてかなり気に入った。
個人としては無神論者なので、新興宗教の熱心な信者は本作を観て、布教活動そのものの加害性に自覚的になり、節度を持って活動をしてもらえればと思う。モルモン教徒が被害に遭うからといって、一概に否定するのももったいないぐらい、宗教に対する批評性と存在そのものを否定しない上品さが本作にはある。
今年観た洋画の中では、気骨と面白さがしっかり両立した良作。
超おススメです!
まとめ
最後やられるのも込みで、ヒュー・グラントがただただサイコーでした!!!
古い阪神ファンはエモやんみと真弓みのあるヒューに絶頂間違いないでしょう。

#異端者の家
— 近鉄太郎 (@egoma_senbei) April 27, 2025
本作のヒュー・グラントはメガネと佇まいでエモやんに似てるし、普段のヒュー・グラントの画像調べたら真弓明信に似てるし、古い阪神ファンは絶頂できると思うわ pic.twitter.com/IhCoa0fsET
最後に
ドッグパウンドケージマッチ、ヤベェ!!!!!(閲覧注意)
Drilla Moloney "🎸💥"
— NJPW WORLD (@njpwworld) May 3, 2025
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🎆レスリングどんたく 2025🎆
— NJPW WORLD (@njpwworld) May 3, 2025
ドッグパウンドケージマッチ 〜Losers Leave BULLET CLUB〜‼️
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