【映画批評】#62「フライト・リスク」 サクッとメルギブ、意外と上質!
メル・ギブソンが、アカデミー賞6部門ノミネートを果たした「ハクソー・リッジ」以来、9年ぶりに手がけた監督作。アラスカ上空1万フィート(約3キロメートル)を飛ぶ飛行機の中で繰り広げられる、命懸けの騙し合いを描いた「フライト・リスク」を徹底批評!
全然期待していなかったわりに直前にメルギブ監督と知ってから、プロレスファン特有の特大手のひら返しハイテンション批評!「アノーラ」なんかよりよぉ!こっちをサクッと観て、サクッと気持ちよくなって、後腐れなく帰れ!1週間後には忘れろ!これが映画を観るという行動の真髄だ!
鑑賞メモ
タイトル
フライト・リスク(91分)
鑑賞日
3月8日(土)9:00
映画館
なんばパークスシネマ(なんば)
鑑賞料金
1,400円(購入特典クーポン)
事前準備
予告視聴
体調
すこぶる良し
点数(100点満点)& X短評
80点
【新作映画短評】#フライト・リスク
— 近鉄太郎 (@egoma_senbei) March 11, 2025
メルギブから「91分で楽しましたるからサッとぶぶ漬け食らってはよ帰れ!」と言われてるようなライトで濃密な娯楽作。
なぜだか90年代に観た淀長の日曜洋画劇場や山城新伍の映画番組を思い出す。そんなエモに冷や水をぶっかけるマーク・ウォールバーグに喝采だ! pic.twitter.com/Y2DfoA2L6t
あらすじ
ハリス保安官補は、重要参考人ウィンストンを航空輸送する機密任務に就く。ベテランパイロットのダリルは、陽気な会話でハリスの緊張をほぐしていく。
離陸した一行が乗る機体は、アラスカ山脈上空10,000フィートまで上昇。
タイムリミットが気になるハリスだが、頼もしいダリルのお陰で順風満帆な航行になるかに思えた。
一方、ひとり後部座席に繋がれるウィンストンが、足元に落ちていたライセンス証を何気なく見ると、そこには今目の前に座るパイロットとは全くの別人が写し出されているのだった—。
ネタバレあり感想&考察
全然チカラ入ってないのに面白い91分
サッと楽しんで帰れ!メルギブ式ぶぶ漬け!
今年の洋画では一番の掘り出し物になりそう。
面白かったぁ!楽しかったぁ!めっちゃ好き!
91分×ワンシチュエーションの作品でここまで満足度が高いのはスゴイ!!
去年の洋画掘り出し物の「ダム・マネー ウォール街を狙え!」ほどではないけど、今年の洋画掘り出し物はこれになりそうかな。60~70点程度を目指した企画でガッツリ80点ぐらい取りに来る感じがメルギブの仕事人としてのカッコよさを感じてシビれた!すごくテンションが高い!!!
思いっきりナメてかかってたもんだから、直前に情報調べるまでメルギブが監督だってことすら知らず。かといって力の入った作品かと言われるとそんなことはない。しかしながらメルギブの思想はバチバチに感じられて、そこもまた面白い。その思想もササッと軽やかに雑にブチこまれている。
91分でサクッと楽しましたるからサッとぶぶ漬け食らってはよ帰れ!みたいな。笑
洛中ぎらいの私もこの手荒い手招きは大歓迎!
淀長の日曜洋画劇場とか山城新伍のサンテレビの映画番組とかの地上波テレビでかかっといてほしいタイプの娯楽作。久しぶりにこういった観る前も観たあとも気楽にいられる映画を観られたなんとも言えない幸福感があって、なんだかうれしい。勝手に懐かしく感じている。
のん気な感想ではあるが、話上で起こっていることは航空機パニックでもあるため、当人たちにとっては緊迫感のある内容だ。
主要な登場人物は3人のみ。女性保安官補のハリス、重要参考人のウィンストン、そしてマーク・ウォールバーグ演じるパイロットのダリル(偽者)のみである。本当にこの3人だけで話が進む。脇役も少なからずいるのだけれど、公式HPも映画.comの紹介も3人以外は何の情報もない!
不正なカネの流れを追った事件の重要参考人ウィンストンを航空輸送する機密任務をハリスが任される。その航空機のパイロットがマーク・ウォールバーグ演じるダリルなわけだが、彼が本当に多弁でデタラメすぎるのとムダに生命力に溢れたバカキャラで最高に笑えた。なお実質的な主人公は保安官補のハリスである。宣伝ではマーク・ウォールバーグが前面に押し出されているが、あくまで敵役かつ悪役である。

帽子が取れたら面白ハゲなのはもう予告編でバラされているので、そこの笑いはある程度想像はできていたもののそれ以外のところもバカバカしすぎて最高!
本物の免許証をウィンストンが発見し、ダリルが本物のパイロットと偽っていることを知るくだりもあまりにもご都合主義すぎるんだけど、この偽ダリルがあまりにもテキトーで陽気な脳筋バカで、本当にあってもおかしくないな、と思わせる程度にリアリティがあって面白かった。
2回もハリルにやられて拘束されるが、2回とも白目変顔と自ら親指の骨を折り手の甲の皮膚がめくれるのもお構いなし!そこまでして手錠から抜け出すその生命力と根性があるならまともな職に就けただろ!と言いたくなるほどの不必要なナイスガッツ!このキャラがあまりにも突飛すぎて笑けて笑けてしょうがなかった!スタンガンを食らって白目を剥きながら帽子とヅラを飛ばし、ネタくささ丸出しの面白ハゲを晒すシーンだけでも十分にお釣りが来るぐらいだが、
こんなバカキャラのためにわざわざ半端な丸刈りにしたマーク・ウォールバーグ本人が一番頭おかしいよ!笑

ちゃんと輸送できるのかすら疑わしいオンボロ飛行機のパイロットが自分たちを狙うヤバいヤツ!
それでもそいつを拘束したとて、運転を自分たちで何とかする、何とかするにしても飛行機の専門的な知識はそのヤバいヤツに頼らざるを得なくなる可能性もあるから始末できない、拘束しても屈せずに脱出を試みるため常に予断を許さない、なんしかコイツがギャーギャーうるさい!笑、という危機的状況の多層ミルフィーユが緊迫感を生むが、同時にハリル以外の2人が浅薄な存在すぎて脱力してしまう。
重要参考人ウィンストンのああ言えばこう言うスタイルの矢継ぎ早な減らず口の応酬もリアリティはないが、ナンセンスとテンポの良さが掛け合わさって、映画的な心地よいリズムを生んでいて非常に楽しめた。このパイロットが偽者であることに最初に気づいた存在でもあり、お話を動かすうえでも重要な欠かせない存在であった。(ラストにも効いてくる)

上空でも使える無線電話で管制塔に繋がった男に操縦の指示をもらうのだが、この男がハリスをナンパするくだりとかは死ぬほどどうでもよく全く必要ないとも言えるが、後ろで拘束されているマーク・ウォールバーグがしれっと拘束を解こうとする動きに気づきにくくさせる動力になっていて、そういう意味でも完全には無意味でない工夫がなされている。上映時間と作品内の時間の流れがほぼ同時のため、明らかに時間調整ではあるものの、そこも許せてしまうほどに本作には思いがけないキュートさがある。
この事件の黒幕はハリルの上司である所長だった。(電話での会話シーンでしか登場しないため、顔出しはなし)
そもそも偽ダリルはウィンストンを始末するための差し金=ヒットマンだったわけで、機内でウィンストンを仕留めるつもりだったとしても、いちいちもったいぶる変態チックなサイコパスだったのは都合よすぎやろ!と大きくツッコんだうえで楽しめてしまうぐらい、本作は魅力的な仕上がりになっている。
こんな低予算でライトな作品でも
メルギブの思想はバチバチに決まっている
ラスト周辺はウィンストンがウォールバーグに脇腹と胸を刺されたことで、愚直に生きることから逃げた贖罪と母に対する自身の心情をハリルに託すシーンをマジメに映し出し、命からがら最後の危機もハリルが救い出す。
どうしようもない罪人として扱われるマーク・ウォールバーグは着陸時に航空機から振り落とされ、緊急対応の車両に轢かれてアッサリと幕を引く。

この罪人であるウィンストンと偽ダリルのそれぞれの扱いが、罪を犯したことそのものではなく、そのあとに行われる行動によって、贖罪に対する赦しと、罪を犯してもなお傲慢な態度による不遜を断罪する描写をしっかり挿しこんでいる。
ここが敬虔なカトリック信者であるメルギブ印を強く感じた。
ここまでライトな作品で職業監督に徹した作品にも関わらず、しっかり主義主張をブチこむメルギブに頭が上がらない。全然そんなこと思わなくていいはずなのにものすごいカッコよさを汲み取ってしまった。
本作にここまで気持ちの入った文章を書いてるのは自分ぐらいだろうなと思ってしまうぐらいにこの作品が好きで好きでしょうがない。とはいえ、1か月後ぐらいには詳細を忘れてしまっているぐらいにはテキトーな付き合い方をしているのもわかっている。だけどやっぱり、子どものころにオヤジと一緒に観たテレビの洋画を観ているような懐かしさも相まって勝手に特別な作品に感じている。
本作はぜひ観てもらって、そのライトな質感とメルギブ的宗教観を楽しんでほしい。できたら個人的体験にも紐づけていただけたら。そんな人も少なからずいると信じている。
パークスシネマの無料鑑賞クーポンを「アノーラ」で使って損だったなとは思わないが、こういう思いもかけない掘り出し物に充てたかった気持ちは捨てきれない。
まあでも本作におカネを落とせたので大満足だ!
気持ちのいい映画体験だった!なんかうれしい!
まとめ
何の気なしに行って、何の気なしに楽しむ!
映画ってそういうもんでしょう!を多分に感じることができました。
大して期待していない映画だからこそ、生まれたうれしい感情です。
「アノーラ」より全然こっちですわ!権威なんかになびきませんよ私は!
タイミングも相まってだいぶアッパーになれました。
とにかく楽しかったです。自分は本作大好きですね。
ちかいうちにBSとかで放映されると思います。笑
最後に
ノートPCのバッテリーが逝きました。
一応電源繋げば使えますが外すと給電できない仕様のため、実質デスクトップPCと化しました。泣きたい。

