書斎派アウトドア司書の冒険読書#1/『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』
毎日、暑い日が続きますね。
暑い夏こそ、読書で「冒険」に出かけませんか?
これから「夏の冒険読書」と題して、児童文学の名作たちを、
毎回1冊ずつ配本(紹介)していきます。
配本を届けたい方としては……
・子育てや教育に関わっている方
・読書好きの方/昔、読書が好きだった方
・日々の生活に疲れ、現実逃避したいと思っている方
つまり、これを読んでいる方、ほぼ全員ですね(笑)
さて、第1回配本としてお届けするのは、
名実ともに、日本の児童文学を代表する、あの傑作です!
第1回配本
『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』
斎藤惇夫・作/藪内正幸・絵(岩波書店)
「冒険者たち」と聞いてピンと来なくても、
「ガンバと15ひきの仲間」と言えば、アニメや映画で知っている方も多いかもしれません。
でも、この原作を読んだことがある方は、どれくらいいるでしょうか?
私にとってこの本は、
子どもの頃の読書体験の中でも、ベストに近い感動を与えてくれた
忘れられない一冊。
神本の中の神本なのです。
🧭命をかけた大冒険とはまさにこのこと
獰猛なイタチのノロイ一族に苦しめられている島ネズミたちを救うため、
勇気ある下町のドブネズミたちが立ち上がり、
仲間たちと、命がけの冒険に出かけるのですが……
そのイタチたちが、強いのなんの!!
特に、ノロイの怖さはトラウマ級です。
一難去ってまた一難、手に汗握る展開が続きます。
私がこの物語を最初に読んだのは、小学校高学年のときでしたが、
いつの間にか自分も「仲間の一員」として、イタチたちと戦っていました!
そして、その結末は——!!!
楽しくて、興奮して、そして、泣ける。
そんな月並みな表現では、到底、言い尽くせません。
この本を読んだことがない人が今想像している10倍、
楽しくて興奮して、泣ける物語が、ここにあります。
🎲 仲間たちの中で一番好きだったのは…
仲間のネズミたちも、みんな個性派ぞろい。
それぞれ、わかりやすい名前がついています。
「ガクシャ」や「アナホリ」、「イダテン」といった、
いかにも役に立ちそうなキャラクターに混じって、
「バス」や「テノール」といった、歌が得意な仲間もいます。
……おっそろしいイタチと命をかけて戦うのがわかっているのに、
なぜ、歌好きを連れて行ったのか——?
当時は謎でした。
後年、『ONE PIECE(ワンピース)』を読んでいて疑問が氷解しました。
冒険には音楽家が必要なんですね!(?)
まぁ、結果として、バスやテノールにも、
彼らならではの大活躍の場があるんですが!
ちなみに、私が特に好きだったのは、
サイコロ2個を振って未来を占う「イカサマ」です。
イカサマの影響を受けた小学生の私は、
いつもサイコロを2個、カバンに入れて持ち歩いてました(笑)。
素晴らしい物語というのは、現実世界に浸食してくるんですね。
🔍 大人になって読み返してわかること
この本は「大人になってからの再読」にも耐えうる一冊です。
誰かのために戦うということ。
リーダーとはどうあるべきか。
犠牲とは何か——
ただの“ネズミの冒険”ではない、深いテーマが流れているのです。
また、大人になって知ったある事実に驚愕しました。
それは、この物語が、作者が仕事で八丈島に行った際、
「八丈島のイタチがネズミ退治のために連れてこられた」ことを
知ったのがきっかけで誕生したということ。
子どもの頃は、ただただ怖くて、凶悪な存在だったイタチが、
島のネズミを駆逐するために連れてこられたという事実——
どちらが悪で、どちらが善なのか。
自然の世界は、単純な二項対立ではないことに気がつきます。
それでも作者は、
「生き残った島のネズミがイタチに立ち向かう」
という展開で、感動的な物語を作り上げたのですね。
挿し絵は、福音館書店の動物絵本で知られる
動物画の第一人者・藪内正幸さん。
藪内さんの描く挿し絵は、ネズミたちはもちろん、
イタチや海鳥なども、毛並みやしぐさまでリアルで、
まるでガンバたちの息づかいが伝わってくるような迫力があります。
絵と文がぴたりとかみ合っているからこそ、
物語がより豊かに感じられる。
この本がいまだに色あせない名作となっている理由は、
そんなところにもあるのだと思います。
……なんてことも、この本を読んだ小学生の身ではわかるよしもなく、
私が子育て中、藪内さんの動物絵本の数々に出会い、
感銘を受けたからこそ、しみじみと理解できたことなのでした。
📚 ガンバの冒険はさらに続きます
本作のあと、「ガンバ三部作」(ガンバの冒険シリーズ)は、
『グリックの冒険』『ガンバとカワウソの冒険』 と続きます。
①『冒険者たち』
②『グリックの冒険』
③『ガンバとカワウソの冒険』
実際は『グリックの冒険』が一番先に刊行され、
その中でのガンバは、ゲストキャラクターでした。
でも、今では「ガンバ三部作」といえば、
『冒険者たち』から始まることになっていますし、
作中の時系列も『冒険者たち』が先なので、
この順番で読むことをおすすめします。
1972年に刊行されたこの作品は、
1975年に『ガンバの冒険』としてアニメ化され、
1984年に『冒険者たち ガンバと7匹のなかま』として映画化されました。
……7匹?
そう!
大人の事情で、仲間たちが大幅にリストラされています!!
ちなみに、このときのガンバの声は野沢雅子さんでした。
また、2015年には、かの「白組」が構想15年、総製作費20億円をかけ、
『GAMBA ガンバと仲間たち』として、3DCGで映画化されましたが……
興行成績は残念な結果になってしまいました。
アニメ版、映画版にもそれぞれファンも多いと思いますが、
「ぜひ原作も読んで!」というのが、原作を愛する者の切なる願いです。
🌊 さあ、今こそ“冒険”の時
もし、原作を未読の方がいらっしゃったら、この夏がチャンスです。
原作のページを開いて、ガンバたちと本物の冒険に出かけませんか?
読み終わったあと、きっと心に「冒険の記憶」が残るはず。
一人でも多くの方が、
ガンバファンになってくださることを願ってやみません!
本書には、物語の世界に入りやすいハードカバー版と、
軽くて手に取りやすい岩波少年文庫版(新書サイズ)があります。
特に子どもが読む場合は、断然ハードカバー版がおすすめですが、
通勤や通学、旅のお供には岩波少年文庫版がぴったりです。
(Kindle版もあります)
▶ じっくり読みたい方へ
👉 ハードカバー版
▶ 手軽に楽しみたい方へ
👉 岩波少年文庫版(Kindle版もあります)
これから8月にかけて10回にわたり、
児童文学の名作を1冊ずつ「配本」します。(週一ペース)
あなたの心に、冒険の火が灯りますように🔥
たくさんのnoteの中から、私の記事を見つけて読んでいただき、
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