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しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん〜六月大歌舞伎@歌舞伎座

大阪松竹座の御名残公演(四月・五月)も終わり、閉館を迎えました。四月公演では中村獅童さんが親子で出演、とても印象深い舞台でした。
そんな折に、獅童さんが『子連れ狼』を演るとの報せ。TVシリーズの『子連れ狼』の(再放送の)大ファンだった妻の、たっての希望で東京・歌舞伎座まで遠出観劇に参りました。

六月大歌舞伎@歌舞伎座

祇園祭礼信仰記ぎおんさいれいしんこうき 金閣寺きんかくじ

天下をもくろむ松永大膳(まつながだいぜん・獅童)によって金閣寺に囚われた将軍の母と絵師・雪村の娘、雪姫(時蔵)。知略をもって救出に向かう此下東吉(このしたとうきち・隼人)。絶体絶命の危機に家の故事に倣って爪先で鼠を描いた雪姫に祖父雪舟(せっしゅう)同様の奇跡がおこる。京の名勝金閣寺を舞台に繰り広げられる桜花爛満の歌舞伎絵巻。

歌舞伎on the web 演目案内より

初めての歌舞伎座で観るのが『金閣寺』になったのは、なんとも面白い巡り合わせ。私、今年の松竹座の初春公演で『金閣寺』観たのです。このときは鴈治郎さんの松永大膳に、壱太郎さんの雪姫、愛之助さんの此下藤吉。

今回は松永大膳を獅童さん、雪姫には時蔵さん、此下藤吉には隼人さん。
江戸と上方でどう変わるのか、ワクワクでした。

獅童さんの悪役は、なんと言っても声が良い。体格が良いうえにしっかり太い声が、まさに悪の親玉といった貫禄。やっぱ獅童さんえぇわぁ!!
雪姫の時蔵さん、シネマ歌舞伎『朧の森に棲む鬼』以来だけど、舞台で観たいと思ってたから嬉しい。同じ雪姫でも壱太郎さんと時蔵さん、雰囲気がぜんぜん違って面白い!!壱太郎さんは「愛らしくて守ってあげたくなる系」のお姫様然とした雰囲気だったけど、時蔵さんは囚われの身でありながらも「ピンチにも挫けない、芯の強さが漂う」凛とした美しさの雪姫さん。
役者さんが違うとこれほどまで雰囲気が変わるのか、と目の醒める思いでした。時蔵さん、襲名なさってから松竹座来てなかったよねぇ、良いものを見せてもらいました。
隼人さんの此下藤吉は、これぞ二枚目!な佇まい。最近は映像で見ることが多くなってるけど、舞台がエエです、素敵です✨️
出てきただけで、ヒーロー来ました!!みたいな空気になってうっとりでございます😻

図らずも江戸と上方のお芝居を比較(失礼!)させてもらうような経験、なかなか出来ないと思いますが、楽しませてもらいました!歌舞伎座まで来た甲斐があるってもんです。
お芝居の空気感がそれぞれ違ってそれぞれ魅力的で、甲乙とかいう話じゃないですね。
ただ、やっぱり自分は関西人なのだなぁと実感した次第であります😝
(最初に観た感動の"思い出補正"もあるよねきっと)
あと、一番の見どころの舞台いっぱいに花びらが舞い落ちるシーンは、三階席から見たほうが入り込めた気がします。席がちがうと見え方もちがいますね🤓

戻駕色相肩もどりかご いろにあいかた

島原帰りの"戻り駕"。駕籠かきと駕籠に乗った禿かむろが繰り広げる、華やかで楽しい雰囲気の舞踊演目。
駕籠かきは江戸の二枚目・与四郎(萬壽)と赤っ面で上方の次郎作(萬太郎)。駕籠かきたちのやり取りと、割って入る禿・たより(梅枝)の軽妙洒脱な切り返し、駕籠かきたちの隠した素性も含めて、あらゆる面で”歌舞伎らしさ”が満載。

あらすじ:弥三郎

何と言っても親子三代での共演が良い!!
梅枝さんは時蔵さんの御子息で小学五年生。梅枝さんから見ると萬壽さんはおじいさん、萬太郎さんは叔父さん。
五年生の梅枝さんの背格好は禿の役にピッタリ。そして背格好だけでなく、やけに大人びたことを口にしたり色っぽく踊ったり、かと思えば子供らしい表情を見せたり、大の男たちが振り回される様がなんとも楽しい。
しかもそれが、実のお祖父さんと叔父さんだなんて、こんな贅沢ないわぁ😍

梅枝さんの禿は、ただ「子役の子が踊ってて可愛い〜」だけじゃなくて、
「この子は一体全体ナニモノ?どういうこと?」と思わせられるほどで、目を見張りました。萬壽さんと萬太郎さん、どんな心持ちだったのかしらん。配役含めて色んな意味で歌舞伎の面白さが詰まってて、舞踊でもストーリーが分かりやすい。細かいこと考えずにワクワクしながら楽しめて、サイコーでした✨️

『子連れ狼』の前にちょっとだけ

「しとしとぴっちゃんしとぴっちゃん」が歌舞伎座に復活しました。
あの主題歌もそのまま歌舞伎座にかかりました。

TVシリーズ(昭和48〜51年)で人気を博した萬屋錦之介さんは、獅童さんの叔父さん。昭和49年6月には「萬屋錦之介特別公演」において『子連れ狼』が舞台化されたそうです。

歌舞伎俳優名鑑より借りてきました

この六月大歌舞伎は、萬屋一門大集合なのです。
2024年にその経緯を語った記事がありました。

獅童は、「子役のときから出演していた6月の萬屋興行をまたいつか復活させたいという気持ちがずっと僕のなかにあり、時蔵のお兄さんにやりませんかとお話しました」と、6月興行と萬屋のゆかりを語ります

歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」
2024年6月公演に関する記事より抜粋
引用元記事は下に

ゆかりのある6月に、52年ぶりに拝一刀が歌舞伎座に復活することとなりました。そして今年は獅童さんのお祖母様(三世時蔵夫人)の33回忌でもあるそうです。

それでは本題へ。

子連れ狼

かつて江戸幕府の公儀介錯人であった拝一刀おがみいっとう(獅童)は、柳生烈堂やぎゅうれつどう率いる柳生一族の陰謀によって妻と一族郎党を失い、生き残った幼い息子・大五郎(夏幹)と共に、柳生家への復讐を誓い旅に出た。いつしか親子は”子連れ狼”と呼ばれるようになった。

公演パンフレットより

こちらの『子連れ狼』、いわゆる"歌舞伎らしい演出"を一切排除するという挑戦的な作品。演出を担当したのは、映画監督の井上昌典さんと獅童さん。"舞台演出の経験のない映像の演出の方"と共同演出をしたかった、だそうです。TVシリーズの子連れ狼を「ベースに歌舞伎にする」のではなく、「TVシリーズを思い出してもらえるような舞台を作る」のを目指したとのこと。
なのでツケ打ちも見栄もなし、イヤホンガイドの解説も最小限。「これを『歌舞伎』と呼ぶのか」と考えると、歌舞伎らしい要素を排除しているだけに、歌舞伎とは言えないと判断されても仕方ないと思う。
この演出にするには、よほどの葛藤や逡巡があったことは想像に難くないけど、「歌舞伎」は「傾奇」(=型を破ること)に由来すると考えれば、チャレンジすること自体に大きな意味があると思うのです。

私はてっきり華やかな歌舞伎らしい演出がされるものと思っていましたので、この演出には肩透かしを食らった感じなのが正直なところ。ルパン歌舞伎がザ・歌舞伎演出でしたのでね。
ツケ打ちの音が大好きな私は、イマイチ入り込めず……でしたが、TVシリーズの『子連れ狼』(と萬屋錦之助さん)が大好きな妻は大喜び。期待を遥かに超えてきたと御満悦でしたので、それ(この演出)が正解だったのかなと思います。

立ち回りの所作は、完全に映像世界の殺陣。(実際に映画の殺陣師の方が就いています。)舞台で毎日あれをこなすのは、生半可な覚悟では出来ないでしょう。千穐楽には身体中がアザだらけになってたんじゃないのかと心配なくらい。

拝一刀はほとんど喋らないし、大五郎も"いわゆる子どもらしい"シーンは皆無。冥府魔導の道を選んだ(受け入れた)親子の覚悟に敬意を払って、「あえて歌舞伎にしない」という修羅の道を選んだのだろうか?
TVシリーズを思い出してもらえるように、という獅童さんの狙いは、ドンズバで妻に刺さっていました。

「喋らない役」の獅童さんは、ほとんど観たことがなかったけど、子連れ狼・拝一刀という人物はこういう人なのだなぁと思って観ていると、華やかな歌舞伎のヒーローとは違うカッコ良さがありました。

そして共演陣がとにかく豪華でした。敵討ちを依頼したお浜役の七之助さん、分かりやすい(小物感のある)悪役・杉戸監物役の勘九郎さん。お二人のおじいさんが、十七世中村勘三郎さんですから、上掲の家系図の左上にお名前がある間柄なんですね。これまた胸アツですよ。

米吉さんが悪い女役をしてたのも新鮮でしたし、拝一刀を付け狙う柳生軍兵衛役の松也さんも良い。松也さんの悪役好き。
柳生の親分、柳生烈堂が中村錦之助(当代)ってのがまた。いつもは老け役の印象がないから、なおさら面白い。

作品に対する獅童さんはじめ関係者、ひいては松竹の意気込みを感じます。良いものを見させてもらいました🥹

あとがき

子連れ狼のラストは、花道を通ってハケていくんですが、舞台から花道に出る際に獅童さんが遠くを見るんです。
その視線が真っ直ぐコチラに向いてるようで、私たち夫婦は必死のパッチで拍手しました👏👏👏👏👏

桟敷席(東10)だったので高い位置で拍手しても後ろの席の邪魔にならない😁
わざわざ東京まで出向いての観劇でしたが、思いっきり楽しませてもらいました✨️

『ィ萬屋ァァァっ!!!!』

(実際に声かけしたことはありません😝)


席についてはコチラで


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