思い出す(あとがき)【追憶食堂】【シロクマ文芸部】
思い出すエピソードがたくさんあります。
それが2022年までTBSラジオで放送されていた『伊集院光とらじおと』の名物コーナー『俺の5つ星』です。
おいしさの星の数ではなく、あなたの”思い出の度数”でお店を特集するコーナーです。皆さんにもありませんか?忘れられない思い出の味が・・・
『追憶食堂』はこのコーナーをベースにして『シロクマ文芸部』さんのお題にのせて連載してきました。ラジオの魅力を少しでもお伝えすることができたならば本望です。
『追憶食堂』はフィクションですので、ちょっと出来過ぎた話に感じてしまいます。その点、ラジオはリアルですので『事実は小説よりも奇なり』の言葉通り、本当にそんなことが起こるのか、と感動できるのだと思います。
『俺の5つ星』で一番心に残っているのは『家族で食べた東京駅のラーメン』のエピソードです。
新潟県に住んでいる女性が子どものときに家族でディズニーランドに行きました。その帰りに東京駅で味噌ラーメンを食べたのですが、普段、仏頂面でちょっと苦手だった父が味噌ラーメンを食べた時に「優しい味で美味しい」と微笑んだことを、今でも覚えているそうです。
大学に進学して都内に引っ越してきて、そのラーメン屋さんを訪れたところ既に店が閉まっていました。そこで、ラジオに調査依頼したのです。
結果、店主さんが見つかり、再現された味噌ラーメンを娘さんと父親の二人で実食しました。コロナ禍の影響もあって、父娘で実際に会うのは2年振りでした。「たしかに厳しく育てたなぁ」と反省する父親に対して「厳しく育ててくれたから今の自分があるので、感謝してます」と娘さんが言うと父親は既に涙ぐんでいました。
ラーメンを食べ始めると、当時の記憶が一瞬にして甦ってきたようでした。「あぁ、この味だ。懐かしいなぁ。おいしいなぁ」言葉少なく聞こえてくる音声は、ラーメンをすすっているのか、涙をすすっているのか、わかりませんでした。
ラジオを聴いている自分も涙がにじんでいました。
味噌ラーメンを再現してくれた店主さんのメッセージもありました。店主さんは店を閉めてしまい従業員に迷惑をかけたことを悔やんでおり、その状況で味噌ラーメンをまた食べたいと要望を受けて複雑な気持ちでした。
以前のレシピを探し出して懸命に再現した味噌ラーメンを、涙を流しながらすすっている親娘の様子をみて感動していました。また、多くのリスナーさんから、あのラーメン屋じゃないかと多くのメールが届いていて、お客様の記憶に残るラーメンを提供していたことに感慨深く思われていました。
このような素晴らしい感動を与えてくれるラジオが好きなのです。
ショートショート?をつなげて連載中です。毎週金曜日に投稿予定です。
目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
小牧幸助さんの企画に参加しています。
毎週ありがとうございます。
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