見出し画像

大人っぽさと幼さが混在した、言葉ではうまく説明できない寂しさともどかしさ 『あこがれ』川上 未映子

『あこがれ』川上 未映子

まとめ

『あこがれ』川上 未映子
本作で特に印象的だったのは、小学校高学年の麦くんとヘガティーが抱える「自分はどこか違う」という感覚と、それでも「何か」に憧れを抱き続ける姿です。思春期前の大人っぽさと幼さが混在した心理が、静かに心に染み入ります。

『あこがれ』川上 未映子

具体的なポイントを3つ挙げます。
① サンドイッチを売る女性に淡い憧れを抱く麦くんと、父親の離婚歴を知るヘガティーの日常的な交流が丁寧に描かれています。
② 二人が感じる「周囲との違い」や経験の少なさから来るもどかしさが、会話や行動を通じて静かに伝わってきます。
③ 派手な出来事ではなく、日常の小さなやり取りの中で「憧れ」という感情の揺らぎをすくい取る繊細な心理描写が魅力です。

子育て経験の有無や性別を問わず、多くの人に読んでほしい一冊です。川上未映子らしい繊細な内面描写が、読む者に静かな余韻を残します。
ぜひ手に取って、その優しいまなざしを感じてみてください。
#読了 #川上未映子 #あこがれ


感想

『あこがれ』川上 未映子
本作は、小学校高学年の少年・麦くんと少女・ヘガティーを主人公にした短編小説です。サンドイッチを売る女性に淡い憧れを抱く麦くんと、父親の離婚歴を知って自分を周囲と比べてしまうヘガティー。二人は仲の良い異性同士の友達として、日常の中で少しずつ互いの内面に触れ合っていきます。
特に印象的だったのは、二人が抱える「自分はどこか周囲と違う」という感覚と、それでもなお「何か」に憧れを抱き続ける姿です。麦くんが「ミス・アイスサンドイッチ」と呼ぶ女性への想いを語る場面や、ヘガティーが麦くんに「憧れ」に会いに行くことを後押しする場面では、思春期前の大人っぽさと幼さが混在した心理が丁寧に描かれています。二人の会話や行動から、言葉ではうまく説明できない寂しさや、経験の少なさゆえのもどかしさが静かに伝わってきました。
本作の魅力は、派手な事件ではなく、日常の小さなやり取りを通じて子どもたちの内面をすくい取っている点にあります。川上未映子らしい繊細な心理描写と、タイトルである「あこがれ」という感情の揺らぎが、静かでありながら心に残る作品です。
#読了

関連記事 川上未映子

いいなと思ったら応援しよう!

ダイスケ|ほぼ毎日、小説の読書感想文 ありがとうございます♪励みになります!