虫の冬越し~あの害虫たちは、これから春までどこにいる?
気温が下がってくると、虫たちは次第に姿を消して冬越しに入ります。寒くなると動けなくなる虫たちにとって、日本に四季があることは、実はとても高いハードルなのです。
私たちと違い、虫たちは冬になると動けない
私たち人間は、寒い場所でも一定の体温を保つ恒温動物であり、冬でも活発に動くことができます。
恒温動物である哺乳類や鳥類が体の温かさを一定に保つには、多くの食物を食べる必要があります。必要なエネルギーは、同じ体重で比較すると哺乳類のネズミが爬虫類のトカゲの4倍。そういうコストをかけても哺乳類や鳥類は体温を高く保つことで、体内の酵素反応などを円滑に進めて運動能力を飛躍的に高め、生息域を拡大させ繁栄することにつながったのです。
一方、体温を持たない変温動物である虫たちの多くは、冬に体の活動を止めることを選択しました。冬の間は動けないばかりでなく、食べ物も少なくなりますので、敵に見つからない場所でじっと春が来るのを待つのです。

日本に住む虫たちは、越冬が必要
四季がある日本に住む虫たちは、冬の低温に耐えるため様々な戦略をとって越冬(冬越し)する必要があります。温暖な沖縄県も例外ではありません。
日本にいる虫の殆どは、卵・幼虫・さなぎ・成虫のどこかのステージで低温に耐えられるように進化しています。
海外から日本に入ってくる外来生物は、冬を無事越せるかどうかが最大の難関です。毒グモのセアカゴケグモは、侵入した当初は越冬が難しいだろうと考えられていたのですが、思っていた以上に低温耐性があり、今では日本全国に定着してしまいました。
今後、温暖化の影響で日本の冬の寒さがゆるみ、困った外来生物の定着がさらに進む可能性があります。

冬の風物詩「こも巻き」の効果とは?
松などの庭園樹や街路樹にわらを巻きつける冬の風物詩「こも巻き」。寒さが厳しくなる前に「こも」と呼ばれるわらを巻いて、越冬する松の害虫マツカレハの幼虫を集め、春先に取り外して駆除するというものです。
江戸時代から続くこの伝統的駆除法、実はあまりマツカレハが入って来ず効果が疑問視されていましたが、クモ類やサシガメ類など害虫の天敵となる生き物を保護するという最近の研究もあります。

低温に耐えるには、準備期間が必要
いくら低温に耐えるといっても、準備期間を設け、体をゆっくり慣らしていく必要があります。虫たちは、冬が近づいてくることを日長の変化や冷温にさらされることで知り、凍りにくい物質を体内に溜めたり、腸内微生物を利用したり、脱皮の時期を調整したりして、低温耐性を高めて冬に入る準備をします。
しかし準備をしないままいきなり低温にさらされると虫はダメージを受けたり、しばらく動けなくなったりします。この性質を利用したのが、「コックローチうごかなくなるスプレー」(防除用医薬部外品)。冷却効果で虫の動きを一瞬で停止させ、その間に薬がゴキブリに十分に付着し、ノックダウン&致死します。

体温はなぜ37℃なのか 東邦大学
ゴキブリ 4 種の生存と発育に対する冷温の影響 | CiNii Research
昆虫はどのようにして寒さをしのぐか 化学と生物 Vol.32, No.9
姫路城のマツのこも巻き調査 日本生態学会講演要旨
コックローチ うごかなくなるスプレー | ゴキブリ用殺虫剤 | KINCHO 大日本除虫菊株式会社
