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『生理の不調は“病気”ではない』 −栄養・筋拘縮・ホルモンと女性の體−

序章:生理は“月に一度の通知表”かもしれない

── 競技人生と“女性の體”に潜むサイン

私が「生理」に強く関心を持つようになったのは、2018年のことでした。

きっかけは、女子サッカー日本代表・籾木結花選手との出会いです。彼女が初めて私のもとを訪れ、ミーティングを行った際に語ってくれた言葉は、まさに衝撃的でした。

「女子サッカー選手は、男子に比べてACL(前十字靭帯)断裂の頻度が圧倒的に高いんです。しかも、その傾向は年々、低年齢化しています。10代で手術を経験する選手も少なくありません」

当時の私は、ACL断裂という怪我を次のように捉えていました。整形外科医がよく口にする一般的な説明で「膝の構造と衝撃吸収の失敗」が原因というところから、一歩踏み込んで「足の問題」、つまり土台の崩れだと。私自身もその考えをベースに、身体の動作やフォームを分析していました。

しかし、籾木選手から「男子と女子とで、断裂の頻度に明らかな差がある」と聞いた瞬間、私は別の可能性に思い当たりました。

「男女の違いといえば、生理(ホルモンリズム)ではないか?」
その直感が、私の中で一気に仮説へと育っていきました。

筋肉の柔軟性、関節の可動性、骨盤の傾斜や安定性。
これらはすべて、生理周期によって変動する女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の影響を受けています。特にエストロゲンが増える排卵期には、靱帯が緩みやすくなり、関節の不安定性が高まることが知られています。

では、もしその“リズム”が乱れていたらどうなるか?
逆に、もし“リズム自体がない”、すなわち、無月経状態が続いていたら?

籾木選手からの話で、現場では生理不順や無月経のままプレーを続ける女子選手が多いことを知りました。生理が止まっている状態は、外見ではわかりません。しかし、それは體からの“重大な警告”にほかなりません。

そこから、私は“生理と運動・身体構造”の関係を深く探るようになります。

・糖質過多や人工甘味料による内分泌の混乱
・タンパク質・鉄・亜鉛・マグネシウム不足によるホルモン合成力の低下
・股関節屈筋群(とくに大腰筋・腸骨筋)の拘縮による骨盤の傾きと内臓下垂
・長時間の座位やハイヒール習慣による骨盤底筋群の弛緩

こうした複合要因が積み重なったとき、女子アスリートの體は「パフォーマンス低下」以前に、生命のリズムそのものを失ってしまうのです。

そしてこれは、競技者だけの話ではありません。
生理不順や無月経は、その先にある“不妊”とも直結しています。

あまり大きな声では言えませんが…
事実、私が主宰する整体院では、股関節屈筋群のケアと栄養改善を組み合わせることで、生理が正常に戻ったという報告が何例もあります。その中には、長年不妊に悩み、医療機関で“原因不明”とされた女性が、自然妊娠に至ったケースも含まれます。

医師の投薬ではなく、“體そのもの”を整えるアプローチ。
それが、私にとっての「生理」に対する根本的な視点の転換でした。

生理は単なる“煩わしい毎月の儀式”ではなく、體の内側で何が起きているかを伝えてくれる“月に一度の通知表”なのかもしれません。



第1章:素材とスイッチ

ー 生理は「材料」と「指令」が揃ってはじめて動き出す

生理が乱れる。
これは、単に「ホルモンのバランスが悪い」という話ではありません。

ホルモンというのは、あくまで“指令”であり、その指令を形にするには、まず“材料”が必要です。そして、材料と指令をつなぐ“スイッチ”が機能しなければ、身体は動きません。

では、その材料とは何か?
スイッチとは何か?

ここを理解せずして、「生理不順=病気」と決めつけ、薬やホルモン剤でリズムを“作り出す”ことばかりに頼ってしまうと、根本原因はいつまでたっても見えてきません。

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