【絵柄を寄せる】イラスト上達の道しるべ 【その6】
絵寄せ案件の取り方と必要レベル
イラストレーターの皆さまでしたら一度はご依頼の相談があるのではないでしょうか?いわゆる絵柄を寄せて描く案件、絵寄せ案件でございます。
わたくしは商業ではこちらの案件を主に受注しております。
「絵柄寄せなんて底辺の仕事じゃん」と思われる方は一度以下の記事をご覧頂ければ幸いです。
底辺じゃん、と決めつけてしまってそういった仕事は一切受けない!とされている方で、もしわたくしに売り上げで負けているようでしたら今一度お考えを改められてもよろしいのではないでしょうか?
絵柄を寄せる、という需要は案外多くて重宝されるものでございます。
今回はそんな絵柄を寄せる技術をアップするためのコツを、今まで数多絵寄せ案件を取ってきましたわたくしきみおりが伝授致します。
有料級の内容になるよう努めて参りますので、どうぞご一読頂けましたら幸いです。
絵柄を寄せる案件はどこで取る?
さて、まずはお仕事がなくてはお話になりません。絵柄を寄せる案件はどこにあるのか?ですが、答えとしてはそこら中にございます。
皆さま今いらっしゃるところで「赤いものを探して下さい」と言われれば、いくつか見つけられるのではないでしょうか?けれど、それはそのように言われて初めて「赤いもの」を意識するから目に映るのです。
お仕事も「こういった仕事はないか?」と意識して初めて目に映るものでございます。実は世の中には予想以上にたくさんのお仕事が溢れかえっているのです。
・webtoon(電子漫画関係)の作画
・ゲーム(特にソーシャルやPCゲーム)のイラスト
・漫画家のアシスタント
・アニメーター
・Vtuber関連
・個人様のご依頼で絵柄を寄せる必要があるもの
ざっと簡単に思いつくだけでもこのように上げられます。
webtoonなら随時トライアルを募集しておりますし、ゲーム関連は仲介業者に登録しておけばある程度画力があれば向こうからお声がけ下さいます。漫画家のアシスタントも担当者が付いているなら相談してアルバイトとして入らせて頂くのも良いでしょう。アニメーターはぶっちゃけ根性と多少の絵心があれば誰でもなれます。Vtuber関連はお仕事の幅が広がっており、衣装差分やサムネやグッズ等など多様な需要があります。個人様でも絵柄を寄せてほしいという案件が結構多くございますし、お断りされることが多いようで受注するととても感謝されます。
と、このように本当にたくさんのお仕事があり、クライアント様は案外頼める人が少なくて困っている状況です。
一説ではイラストレーターは飽和状態でもう仕事はない、と言われていますがどの仕事も飽和し続けることはほぼあり得ないと考えられます。一時期飽和しても解消されてまた需要が発生致します。
仕事が減る→仕事がないのでやる人が減る→新たな仕事が発生する→人が減っているので足りなくなる→また人が集まってくる→仕事が減る・・・
という風に循環していっております。
現状確かにイラストレーターは人気の職業なので人手の足りない介護職や医療職に比べて需要は多くはないかも知れません。ですが、わたくしの体感では全く人が足りておりません。
理由は「人はいても”任せられる人”が少ないから」です。
絵柄寄せで最低限必要な技術レベル
絵柄寄せと聞くと「模写ができれば良いってこと?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが全然違いますのでご注意下さい。
模写というのは絵を描く基本を学ぶ為の練習でございます。模写自体が作品になることは稀でございますので、あくまでも技術習得の練習方法とお考え下さい。
パースを理解していても絵が描けるわけではないのと同じで、模写が上手くても絵柄を寄せてキャラクターを描けるわけではないのです。
絵柄を寄せて描く案件で必要なレベルは、そのキャラクターを立体として捉えて描ける、程度です。
「?」とクエスチョンが浮かびましたか?それでは簡単にご説明致しましょう。立体として捉えるとは、ようするにキャラの構造を理解することと同意です。
パーツの位置配置、質量や質感などを平面的ではなくて立体として捉えられないと、参考資料にある角度や資料があるアイテムしか描けないという事態になって参ります。
描き手はキャラのいる世界に入る通行許可証を描画技術で会得する必要があるのでございます。
たとえば、webtoonやアニメーターなどの試験によくある課題として「このキャラの俯瞰の泣き顔を描いてください」と指示があるけれど、キャラ設定はちゃんとした俯瞰も泣き顔も提供されない、というもの。(優しいところはある程度参考になりそうなものを頂けることもあります。)
これは「模写ではなくキャラの顔の造形とそのキャラの個性を理解して描写できるか」を試す課題でございます。
あとは「このキャラのこういうポーズを描いてください」という課題も多いです。デッサン力を見るのと同時にキャラの立体構造の把握ができているかも確認できます。どちらかができていないと違和感のあるイラストになります。
番外編としては「この部屋をここから映した画面でキャラを真ん中の椅子に座らせて下さい」などちょっと難易度の高い課題もございます。これはアニメーターの原画の試験で実際にありました。原画はレイアウトを切れないといけませんのでこの程度描けないと使って頂けません。
このような課題を見て、いかがでしょう?
ある程度は描けそうだな、と思われた方はおおむね必要なレベルをお持ちと思われます。わたくしのように元アニメーターの方はお得意ではございませんでしょうか?ほぼ日常でやっていることでございますからね。
ですが、最後のカメラワーク指定のある課題はともかく、上記2つでも厳しいとお感じの場合は、絵柄寄せの仕事を得るのは困難を極めます。
実は日頃キャラを本気でそっくりに描こうとすることってほとんどございません。トレスを疑われる可能性がありますし、そもそもそっくりに描く必要が発生することは趣味や日常の活動ではあまりないでしょう。
だから、いきなりお仕事で絵柄寄せを受注すると全修正の差し戻しになることが多々発生致します。それは絵が上手かろうと関係ございません。ただただ「似ていない」というその一点でリテイクになるのです。
著名なイラストレーターさんでも個性の強い絵柄の方は恐らく絵柄を寄せるお仕事は難しいのではないかと思われます。実は実力がある人ほどオリジナリティを求めて絵柄を合わせる事を忘れていかれます。
だからこそ「画力が一定以上レベル」であり「絵柄が寄せられ」て「絵寄せ案件を受注してくれる」人は実は少ないのです。
現場の実態とイラストレーターの質
わたくしも画力が高いほうではございません。
そう理解できているのはちゃんと実力を考えてお仕事を受注しているからでございます。稿料もそうですし、ご監修頂くときもそうですが、わたくしより高給で実力がある方が必ずいらっしゃる環境でお仕事をしております。
わたくしはその方々が捌ききれないお仕事を頂いているのです。
そこに関しては卑下してはおりません。転じてわたくしはそれを担うレベルはあるということでもございます。
ですが、上も青天井ながら、下も底なしでございます。
前回低レアリティのキャラを高レアリティで出すことになったから、今回改めて書き下ろしてほしい、とご依頼があったと致します。レアリティの低いキャラは稿料も低いため海外に発注されていることも多いです。最近は円安で国内に発注したほうが安いこともあるかもしれませんが、学生バイトさんなど低予算でも受注してくれるところへ出すことが多いようです。
そうしますと、かなり作画技術的に厳しいものを何とかかんとか修正して使用されている、ということがままあります。
以前、発注元はイラストレーターを大まかにランク分けしているというお話を致しました。S~Eといった感じで「クオリティ」「レスポンス」「作業速度」「スケジュール」など恐らくいくつかの項目が設定されていそうです。
自分がどのあたりにいるのか推し量るのは至難の業でございますが、何となく頂ける仕事や稿料から割り出せるのではないでしょうか?
わたくしの体感なので正しいとは限りませんが、E~Cレベルは飽和状態で一番仕事が取りづらく、Sは逆に引手数多過ぎて発注自体難しい、そして恐らくはわたくしが所属していそうなB~Aは現状人が足りてない、といった感じが致します。
そしてその中でも「社会人としてきちんと報連相ができて、いきなり体調不良や神経衰弱などで仕事を放棄せず、納期に余裕をもって納品でき、請求処理や振り込み手続きが滞りなく対応できる」人は極僅か、といったところです。
ビジネスメールは当日ないし翌日には特別な事情がなければご返信致しますよね?
そう聞いて「それはそうでしょう」とお思いになる方はこの記事をお読み頂いている方の何割でしょうか?一般企業に勤めている方なら90%以上はそうお考えになると思いますが、クリエイターとなった途端%が激減します。
たとえ成果が出ていないとしましても「○○の件に関して現在作業中でございます。〇日までにご返信致しますので今しばらくご猶予頂戴できますと幸いです。」といったことはご返信致します。それが現在日本での「常識」なのですが、人によっては平気で2,3日返信されないこともございます。
イラストと関係ございませんがわたくしの勤め先では連絡が3日以上ないようなところは上の評価がかなり悪くなっています。そういったところは常日頃からそういう体制ですので、円滑にお仕事ができないからでございます。トラブルの時などにとても困りますので足切りされやすくなってしまいます。
このように作画技術だけでなく社会人としてのスキルもないとお仕事という面では難しくなって参ります。逆に言えば作画技術が少し劣っていても社会人スキルが秀でていればお仕事は頂けます。
事実わたくし程度の実力でも月に100万円稼ぐだけの仕事量は頂戴できると分かりましたので、あながち申していることは間違ってないのではないかと存じます。
絵柄を真似て描くコツ
絵を真似て描いたことは誰しもあるかなと思います。好きなキャラクターをノートに落書きした経験はあるのではないでしょうか?
楽しんで描けばそれで良いのでしたら、ご自由に目一杯描いて下さいませ。ですが、お仕事でしたら効率的に似せて描く方法を知っておいたほうが宜しいかと存じます。
絵柄を真似て描くコツはとてもシンプルでございます。
詳細な資料をもらうor見つける
実は一番苦戦するのがこれではないでしょうか?
描かねばならないイラストに近い表情や角度、塗りの詳細がわかる解像度の高い画像、そういったものが入手できるか否かで最初の一歩が全く変わって参ります。
個人様のご依頼ですと、その方もそこまでたくさんの資料を入手してない可能性がございます。ですのでこちらで検索などするしかないのですが、検索で出てきます画像は転載利用などを防止するため解像度の高いものがない場合も多いです。そう致しますと「目の中の塗り方」や「衣装の細部」など分からない事が出てきます。
企業様の案件でも資料が少ないところや分かりやすいものがない事も多いのですが、追加で頂きたくとも守秘義務の関係や契約上それが叶わないこともございます。その場合はやはり自身で調べるしかないのです。
検索して見つけてくるというサーチ能力が必要でございます。AIが発達してくれれば簡単に見つけることができるようになるかと期待しておりますが、現状上手くいきません。
わたくしのお勧めは公式サイトなどがあればもちろんそれなのですが、ゲームならとりあえずダウンロードしてしまう、漫画などなら1冊買う又はレンタルするなど、商品をとりあえず手に入れてしまうというものです。
特にキャラクターデザインをされた方のイラストが入手できるようでしたら買ってでも手に入れると宜しいかと思われます。SNSやHPでイラストを公開されていたらラッキーですが会社に属している方は案外やってないことも多いのでイラスト集など購入してしまっても良いと思います。
これは必要経費になるので確定申告の時に購入費を経費計上できると思われますし、もしかしたらそれがきっかけでファンになるかもしれません。
あまり宜しくないサイトの無断掲載などは使用しないように心掛け、可能な限り正規のものを資料と致しましょう。
そして大切なのがクライアント様へ相談することです。自分だけで探していてもクライアント様の求めるイラストに近いものなのか計れません。資料を見つけたら共有するなどして双方の意図がずれない様にすると良いでしょう。
パーツの位置配置を分析する
アニメの資料をご覧になったことはございますか?アニメは多くの方が同じキャラを描きますので資料も詳細なことが多いです。とくにキャラクターデザインの方が作成した表情集やポーズ参考などは大変ありがたいです。
アニメほどの資料をイラストの仕事で頂いたことは今までございません。作品によっては丁寧に設定資料を制作しているところもあると思われますが、良くて立ち絵の三面図と顔の正面横斜めアオリ俯瞰とその程度です。表情集やアクションなどポーズ参考があるのは稀でしょう。
そうなって参りますと資料にない表情や角度、ポーズを想像して描くことになります。そこで必要なのがパーツ配置の正しい理解です。
顔のパーツが一番込み入っていて難しいと思われますので例に取りましょう。皆さまどのように把握されていますか?手癖で描くときは気にしないかも知れませんが、他人のキャラクターを似せるとなると一度分析が必要でございます。
・頭のてっぺんから眉、目、鼻、口のそれぞれ距離と比率
・横顔になった時の耳から目の距離、顎と口の位置関係
・各パーツの大きさが顔の面積の何%程度か
・それぞれのパーツの角度
以上を画面に角度のついてない状態(アイレベルが顔の真ん中あたりにあるくらい)で割り出していきます。斜め顔の位置配置は現段階で考えなくてよろしいです。まずは正面と横を把握致しましょう。これは体でも同じです。
なぜなら斜めは処理の仕方によって配置を微妙に調整されていることが多いので基準とするとおかしくなる場合があるためです。
さて、それら把握できましたら頭の中で回転できますでしょうか?
平面だったX,Y軸にプラスZ軸を追加して3次元にして360度想像上で回してみて下さい。ある程度画力がある方でしたら想像上でこれが可能なはずです。そうしましたら実際にラフに落とし込んでいきましょう。どんな角度でもある程度描ければまず第一関門は突破でございます。
下塗りをして面積を整える
先ほど斜めは基準として参考にしないほうが良いと申し上げましたが、この下塗り段階でその真意が分かります。
斜めも正しいデッサンで描かれているキャラももちろんいますが、アニメっぽいキャラクターは色の面積をかなり重視して設計されており、デッサンを正しく描いても似てない場合がございます。
斜めにした時に本来はこんなに後頭部が見えないのだけれど髪の色面積が減ってしまうのでひとまわり大きくしている、本当は奥の目はもっと小さいけれど均整を取るために大きめに描く、等など色んな工夫をしてキャラの造形を上手く表現しています。
大まかに下塗りをしてみて、自分が描いたキャラと資料とで面積が違っているところがないか確認してみましょう。顔なら目のパーツが10%程度の面積だったらそれが5%になってしまってないか白目の面積を確認してみる、等資料と違うところを探して調整致します。
ここで裏技を一つ。これは多様しないほうが宜しいですが、資料の画像で現在描いているものに近い角度のパーツを切り抜いて、それを下地に(描いているレイヤーの下に設定)して面積や角度を合わせてしまうというものです。トレスに近い行為ですのであまりに全てそれに頼ると本当にトレスになるため、うまくいかない箇所や目などの重要な部分のみ適宜利用すると助けになります。
また、クリスタなどには縁取り機能がございます。それを利用して色面積を区分けして確認するのもお勧めでございます。赤や青などはっきりとした色で縁取りしてみると案外面積が違って見えたり致します。
カラーのイラストにおいて色の面積というのは絵柄を寄せるうえで最もと言っても過言でないほど大切なことでございます。
清書していく前に線画の特徴を確認
そこまで合わせる必要がない場合もございますが、線画もある程度寄せて描かないと全体の印象が違って参ります。
特に大切なのが線の太さと、止め払いです。
太さは何pxなのか調べて合わせればOKですので分かれば資料から割り出して下さい。可能なら使用しているペンツールも分かると一番良いでしょうが、難しいと思いますので似たものをチョイス致しましょう。
そして描画するときに一番雰囲気が変わってしまうのが止めと払いの部分でございます。こちらは人によって個性があるので、しっかり確認致しましょう。払いをあまりせず線と線の接地するところをピタッと描いている場合、手癖でパッと払って細くなるような描き方をしますとかなり印象が変わります。
強弱の付け方やラフな雰囲気ならその掠れ方など、拡大してどのように描いていっているのか想像し、自分がその人になった気持ちで手を動かしていきます。気を抜くとつい手癖が出ますので、集中して描いていって下さいませ。
線画は一番簡単と思われていることが多いですが、アニメーター時代にトレス(クリンナップと言われていました)の仕事だけを受注することもあったわたくしはかなり線画に対してこだわりが強いほうでございます。
こだわればキリがなく、奥深いのが線画です。ぜひ皆さまも追及してみて、その面白さに触れて頂けたらと思います。
下塗りの色を判別する
下地になっている色が指定されている場合はとても楽ですが(メカ等はたまにございますね)人物の場合光源によっても色味が異なりますし大体の場合下地が完成イラストでは判断しずらいものです。
下地の色をパレットに取りたい時、どこを見ればよいか?
まず、おおむね影でもハイライトでもないと思われる部分の一番薄い色を探します。アニメ塗りのキャラは探しやすいでしょうがブラシ塗りや厚塗りですと大変でございます。
見つけましたら、1ドットが見えるまで拡大して下さい。
ここがポイントでございまして、スポイト機能で色を取る際にグラデーションがかかった状態で取ってしまうと都度微妙に違う色味を拾ってしまいます。下塗りの場合は均一にべた塗りするため、1ドットの色を拾ってくるのをお勧めしております。
こうして、各色のパレットを作り基準と致しましょう。塗っていく中で「あれ?なんか違ったかも??」となっても下塗りが上手くレイヤー分けして塗れているなら調整も簡単でございます。
下塗りの大切なところは後で調整しやすいように区分しておくことでございましょう。肌だからと全部の肌色を1つのレイヤーで塗ると後々困ることもございますのでパーツ毎に塗ったり、髪もブース毎に分けておくなど工夫すると後々助かりますのでお勧めです。
また、人によっては下塗りを見やすい色で塗り、後で一気に調整する方もみえます。慣れている方はそうして色分けした後に色を拾ってバッと塗ってしまうのも効率的でしょう。
大切なのは調整しやすいようレイヤーが区分されている事と、色を明確に1色選んでおく事、でございますのでやり方はご自由にされて下さい。
仕上げの塗り方を観察する
さて、最後にこれから塗り込んで仕上げるぞ!という段階で急に塗り始める前に一度よく観察致しましょう。
イラストは流行があり、塗り方も時代によってある程度種類が限定されます。今ですとアニメっぽいはっきりした塗り方と、厚塗りでクラシックなイメージのある塗り方が二分して多いですね。昔流行ったいわゆるギャルゲ塗りは徐々に勢力が衰えて参りました。
塗り方を真似るときに重要なのが「どの順番で塗っているか?」でございます。
影→2号影→3号影→明るい部分→ハイライト→特殊レイヤー(効果など)
このような構成になっていたと致します。
それが分かりましたら、普段自分がどういう順番で塗っていたとしてもその通りに塗っていくのが正解でございます。
デジタルのイラストではレイヤーを重ねて塗っていきます。そのため絵柄を寄せて塗る場合はレイヤー構成も真似しないと全然違った印象の仕上がりになってしまう事がございます。
色の重なり方で見え方が違ってくるのはもちろん、影の形や奥行きなどの表現に差異が出ます。
統合されてないレイヤーの資料があればそれをそのまま構成に使用すればOKですが、ないようでしたら自身で判断して構成していかなければなりません。大体どのイラストも構成は似ておりますので、基本は変わらないと思いますが気を付けて観察されると宜しいでしょう。
そして次に「どのブラシを使用するか」でございます。
使用するブラシも指定されている場合は良いですが、ない事がほとんどでございますので似たものをチョイスする必要がございます。その中でも重要なのが「透明度」です。
色味やブラシの質感はまだ後から誤魔化しが効きますが、透明度はかなり絵の印象を左右するのでどの程度の%なのかよく見て描くことをお勧め致します。
実際アニメ塗りに見えて実は2号影だけ70%の透明度で描かれていた、等もございました。当然後ろの3号影が透け、色味も全体的にマイルドになります。塗ってしまった後で透明度を上げ、色の調整をして・・・というのは非常に面倒ですので、最初に気付いて塗りを合わせたほうが効率的でしょう。
あとは全部無事に塗れても何となく違う印象だな・・・という時は大概効果など特殊レイヤーの使い方が違ったりしています。オーバーレイだと思ったらハードライトだった、等見分けづらいものも多いですがそこも合わせていければより精度の高く絵柄を寄せられます。
個人様のご依頼では難しいですが、企業様なら監修が入りますのでその段階で仕上げのそうした微調整はして頂けることが多いです。ですがちゃんと自分でも合わせる努力はすべきかと思いますので判断する目を養っていかれると良いと思われます。
最後に一番重要なのが「丁寧に塗る」でございます。
当然でしょう?と思われるでしょうが、実は真似て塗るのはかなり作画のカロリー消費が多く疲れます。普段の自分の手癖と違うわけですから一々考えて塗ることになりますので当然です。
そのような状態でひたすら描いておりますと知らず雑になっていってしまう事がございます。そしてそれになかなか気付かないのです。
疲労する前に休憩する、一度PNGなどに統合保存してみて客観的に見てみる、資料のイラストを改めて確認する、など作業をし続けるだけでなく途中途中にワンクッション置いて進めていくと良いでしょう。
自分一人で解決しようとしない
ここまでは技術的な面で絵柄を真似るコツをご紹介致しましたが、それ以上に大切な事がございます。
「相談する」ということです。
クリエイターは得てして我が道を行きがちですが、お仕事ならお相手がいらっしゃるはずでございます。一人では仕事はできません。発注者や同じ仕事をしている仲間がいるはず。
イラストを一人で仕上げようとするから失敗するのでございます。プライドなんてものは掃いて捨て、分からない部分や困ったことは周りに相談致しましょう。
個人様の案件でしたら「このイラストが好きなのでこういった雰囲気に近いと嬉しい」ですとか「今よりもう少し淡い感じにしたい」ですとかご意見を頂戴できます。
企業様の案件ならよりしっかりと、監修で直接修正して頂けたり赤入れを頂いたり、描き方の指示を頂戴できることもあります。
上手く描けない時はそれを一人でどうにかしようとせずに皆さんと協力して制作していかれたら、きっと自分一人で描き進めるより良い仕上がりになると思います。
結局は完成作品が「魅力的」であり「似ている」状態であればOKです。
途中どのように描いたとしても最終的には納品物があなた様の成果であり、それ以上でもそれ以下でもないのですから、泥臭く描いていっても誰かに頼っても良いのです。
そのイラストがより良いものになるように、しっかりご相談して作業されて下さい。
最後に
いかがでしたでしょう?案外絵寄せ案件って楽しそう、難しそう、など色々ご意見あるかと思います。ご興味が湧いたなら、ぜひ一度やってみてその奥深さや面白さを体験して頂ければ幸いです。
昨今はAIの台頭や海外の方のスキルアップなどイラストレーターの仕事は危ういとされているご意見も散見されます。実際に海外ではすでに人の手で作画するというのは少なくなってきております。
しかし、結局はどの時代でも人間の仕事はなくなっておりません。3D作品でもイメージボードは未だにアナログで描かれているものもございますし、キャラクターデザインは人間がしていることが殆どです。
機械にできることにはまだ限界があり、人間という生命体である以上は何等かの役割を担うことができるはずでございます。絵寄せのお仕事もまだまだたくさんございます。
これからの時代に自分はどんな事ができるのか?
考えるだけでなく実際に行動していき、その中で必要とされる部分を探していけばよいのではないでしょうか?
今回の記事は実際の作業内容の一部を詳細に説明した内容ですので、読まれる方は限定されるかと存じます。ここまでお読み下さったあなた様はご興味があっての事かと思われます。
少しでもこの記事がお役に立てるようでしたら幸いです。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
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