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【絵柄寄せIP案件】AIに仕事を取られてオワコン?は本当か??

イラストレーターの界隈で稀に聞こえてくる声。
「絵柄寄せの仕事するなんて終わってんな。」

終わっているらしい絵柄寄せイラストレーターのきみおりでございます。

わたくしは昔アニメーターをしておりまして、自分のオリキャラを描くよりも他者の描いたキャラクターを魅力的に見せる絵が得意でございます。その為、メインのお仕事は絵柄寄せ系のお仕事を頂いております。

なぜ絵柄寄せのお仕事が軽視されがちなのか?今回は悲しくも否定的意見が多いIP案件のプレゼンでございます。ご意見ございますでしょうが、まずはご静聴頂けますと幸いです。



何故絵寄せは軽視されるのか?

まず、何故絵柄寄せの仕事が軽視されがちなのか考えて参りましょう。確かに事実イラストレーターにIP案件は人気がございません。それは以下の理由が考えられます。

・非公開案件であること
・稿料が低いと思われていること
・自身のスタイルで勝負できないこと
・AIなどに取って代わられること

この4つが良く言われておりますね。

元々メインクリエイターさんやキャラデザの方が対応しきれない部分をカバーする役割でございますので、非公開案件となる場合が殆どでございます。メインの人気絵師の名前で売っているのに急に「誰・・・?」という人の名前はわざわざ出す必要はございません。

稿料も低い場合が多いと思われます。時折「え?」と思うほど低価格で交渉されることもございます。ですが、これは後述致しますがそうとばかりではないかと存じます。

自身のスタイルで頑張りたい場合は絵寄せはたしかに魅力のないお仕事でしょう。自分のキャラクターや個性で売っていきたいのでしたら絵寄せの仕事ばかり受注していても将来性がないと思われます。

では、絵寄せのお仕事のメリットはなんでしょうか?


絵柄寄せ仕事のメリット

わたくしのプロフィールをご覧頂ければ分かりますが、わたくしイラストレーターが本業ではございません。フルタイムで働いており主婦業もございます。平日の平均作業時間は1.5h程度。休日も頑張って10h程度でございます。

このタイムスケジュールでキャラクターのデザインから作業するお仕事を受注するとどうなりますでしょうか?

納期というのは永遠にあるわけではございません。おおよそ2週間~長くとも半年程度までしか提示されたことがありません。しかも長い場合でも実質作業時間は1ヵ月程度になることがほとんどでございます。

クライアント様の方での打ち合わせや監修など様々な過程がございます。「絵を描く」はその一部でございますので丸っと納期の全てを作業時間にはできないのです。

絵柄寄せのお仕事のまず第一のメリットが「すでに素材があるので自分で考案しなければならない一番大変な工程が省けている」でございます。キャラのデザイン、衣装、テーマなど全て決定された状態で「絵にする」だけで済むため素晴らしく時短になっております。

わたくしのようにほぼ土日にしか作業できないという場合でもある程度のスピードがあれば内容によって月に2~3件程度は受注可能になります。

わたくしの実力ですと1件平均して8万円程度となるのでこれで24万円は月収を確保できる計算になります。本業でしたら厳しい数字ですが、副業なら比較的良い数字と思われます。

「絵を描く醍醐味が全然ないじゃん・・・」と思われるかもしれませんが、どこを醍醐味とするかは人ぞれぞれ。わたくしはデザインするより画面で魅せる構成やキャラが生き生きとする作画などにやりがいを感じるため、醍醐味は十分かと思っております。


絵柄寄せ仕事のその他のメリット

先述の作業工程が比較的軽くなる、というのはわたくしのような副業の者には大変ありがたい仕様でございます。

ですが、本業の方にもメリットとなる部分は多々ございます。

・仕事が取りやすい
・無名でも有名な作品に参加できる(ことがある)
・稿料のコスパが良い
・修正が少なく済む
・技術力がダイレクトに生かせる

仕事が取りやすい、は皆さまもご存じの通り。IP案件は受付けない方が多いのでお仕事が比較的余っております。その為選ばなければ概ねお仕事がないということはないと思われます。(自身のスキルによりますが)

有名な作品に参加できるのも魅力でございますね。何百万ダウンロードされているようなゲームや電子コミック月間売上NO.1!のような作品にも参加する機会があったり致します。もしご自分の好きな作品からお声がかかったら嬉しくございませんか?

稿料のコスパについては様々な見解がございますが、わたくしがやってみた他のお仕事(電子書籍の表紙やVtuberの立ち絵など)より工程に対してのコストパフォーマンスが良いと感じました。しかも上手く描けてなかったら監修時にガッツリ修正してくれる(ところもある。全然しないところもあるけれど・・・)という至れり尽くせり感。

修正が少なく済む、というのも上記の理由に付随致しますが、寄せてあまり似なかった場合や構図が要望と少々違った場合はしっかり修正して頂ける場合が殆どでございます。赤入れをほぼなぞるだけといった楽な修正が多いので、再リテイクの可能性が低く済みます。監修する側も手間を省きたいのでちゃんとした会社ですとリテイクはしっかりしています。

また、個性やデザイン力よりも基本的な技術力を求められますので、ある程度経験年数のある人は有利かと感じます。わたくしはイラストレーターは3年目ですが5年アニメーターをしておりますので計8年絵の仕事をしていることになります。ある程度のデッサン、パース、構成などの力が付いており、線画や塗りのクオリティ調整が可能です。こういう点がお仕事を絶えず頂けている部分なのかと考えております。

このように意外と利点も多いという事をご理解頂けましたでしょうか?


AIにとって代わられる?

こちらを提唱されている方を多く見かけるようになりましたが、おそらくですがそういった方々は実際にお仕事を受注されてないのではないでしょうか?

もちろん10年後はそうかもしれませんし、10年後もやっぱり無理かもしれません。これはどのお仕事でもそうでございます。技術革新は人類にとって進化の過程で必要不可欠なもの。

新しい技術ができたなら古い技術を上書きするのではなく、より良くするため利用していけばOKでございます。絵柄寄せの仕事だけすぐAIに取って代わられる、というのは些か極論かと感じます。

現在はAIに絵柄寄せを頼んでも微妙に間違ったものしかできないような現状です。細かい部分のミスが多すぎるので、端から人間が描いた方が監修が楽でしょう。

また、ゲームや漫画のお仕事では「レイヤー構成」というものがございます。趣味で描いている絵はレイヤーなんて気にしないかもしれませんが、お仕事の場合は提出物を他の方にも分かりやすく、使いやすくしなくてはなりません。

例えば「線画は人物レイヤー、衣装レイヤー、背景レイヤーに分類してフォルダ化し、着彩レイヤーのフォルダより上へ設定して下さい。マスクはフォルダではなくレイヤー毎にかけて下さい。」

といった感じです。これをAIにやらせるのは難しく、イラストによってもその通りのレイヤー構成にできない場合もあり応用力が必要です。また基本的にレイヤーを結合したものを提出することは少ないので、AIのように部分部分で結合したレイヤーでは利用が現実的ではないでしょう。

また、成人指定の場合はエロ感というのが上手く表現できてないと感じます。もちろんイラストのクオリティは高いですし、個人的に生成して楽しまれるのは宜しいかと存じますが、「こういったストーリーでこのシチュになるからエロい」というような背景はAIに考慮できません。

AIは人間と違って感情がないのでそれを理解できないのです。性欲というのは人の3大欲求の一つでございますので、とても強い感情、心の変動を伴う欲求です。そこを上手く突いてくるような絵を描けてないと思われます。

人間の細やかな気遣いや他人への配慮はどんなお仕事でも必要な部分でございます。それらを除いた部分というのは実は一部しかない、と考えられます。

以上から、しばらくはまだAIにお任せというのは難しいのではないかと考えております。


絵柄寄せの技術

お仕事のどれもかけがえのない大切なお仕事に変わりございません。

しかしながら、ご自身が何をしていきたいかを考えた時に、収入や効率だけでなく、やりがいや好きなことをお仕事にできた方が良いに決まっております。

わたくしは何故オワコンと言われるIP案件を多く受注しているかと申しますと、やはり一番得意であり好きだから、でございます。

たまに「真似して描くなら絵が下手でも誰でもできる」と言われます。本当にそうでしょうか?

もしその方が実際に絵柄寄せのお仕事をされていて、本当に簡単にできているのでしたらそれはわたくしに反論の余地はございません。

しかし、提出したものが赤入れだらけだったり、それをなぞって仕上げても最終的に塗りが大幅にリタッチされていたり、といった場合それは「下手でもできる」ではなく「下手だからできなかったので仕方なくできる人が直した」でございます。

「絵柄寄せなんて底辺の仕事簡単にできたし楽勝」と思っていらっしゃる場合、上記のように大幅に修正されて実装している場合も多々ございます。実際にできているか否かは最終的に公開するまで分からないのです。

アニメをご覧になっていて、話数ごとにキャラの絵が多少違うことにお気づきでしょうか?あれは作画監督が話数ごとにいらっしゃる場合そうなるのでございます。

アニメの場合は最終的に作画監督が絵を調整致します。特にキャラの顔やディテールはしっかりと修正されます。さらに総作画監督(メインのキャラクターデザインの方)が修正されることもございますが、いかんせんテレビシリーズは時間がないのでそこまで到達しない場合も多々ございます。

そして「あれ?今日の絵違くない??」となるのです。

プロの方でも絵柄寄せは難しい技術でございます。本当にそっくりに描ける方というのは一握りで、実は突き詰めれば奥の深い技術でもあるのです。

これは模写とは違います。よく絵柄寄せの勉強に模写をする方がいらっしゃいますが、間違った勉強法ですのでお勧めできません。数学のテストの前に英単語を覚えるようなものでございます。

線の強弱、液だまりの仕方、長い線の濃淡の出し方。線の一本でも個性がございます。それも真似ようとしますとかなりの努力が必要です。まずは自分が美しい線を描けるようにならねばならず、そのうえで他人の個性をコピーする・・・。かなり至難の業でございましょう。

ですが、それもしっかりと考えて描く必要がございます。ドットになるくらい拡大してよく観察し、その人の個性を読み解きます。線にはいくつかパターンがございまして、慣れてきますと「このタイプか」と分かるようになります。

まことしやかではございますが、血液型によって個性の出方に傾向があると昔先輩がおっしゃっていたように思います。わたくしも全面的にそうだとは言えませんが「たしかに・・・」と思う時がございまして、面白く感じております。

あとはどこにポイントを置くか、配色のイメージや影つけの仕方、筆運びやレイヤーの種類まで・・・挙げれば切りがございません。何十どころか何百という要素をコピーして、初めてそのキャラクターになるのです。

親切なところですときちんと指針を表記して下さっている場合もございます。資料の読み込みや自分なりにまとめて間違いのないよう理解するのも大切でございます。

見本を頂いたらレイヤー構成をしっかり把握して、誰が見ても分かりやすい状態で提出しなければなりません。これは絵を描かない部署の方も含めてのお話でございます。「武器Hiに加算かけてます」と言われても「は?」となる場合もあります。「武器の刃の部分(白い箇所)のハイライトは加算発光のレイヤーを使用していますが問題ないでしょうか?」と分かりやすく表現する。そういったコミュニケーション能力も大切です。

そして一番大切なことは、IP元へのリスペクトを忘れないということでございます。

以前明らかにプロの方が描いたのではないようなイラストが見本として提示されたことがございます。これはわたくし個人の見解ではないようで、先方も「現行のイラストがこれしかなく・・・」とのことでした。

しかし、デッサンの崩れや塗り込みの稚拙さはあれど、デザインはとても素敵だと感じました。採用されているのですからもちろん当然ではございますが、コンセプトがしっかりされていてわたくしには思い付かないアイデアがたくさんあるデザインでした。

もしかしたらコンテストか何かの公募作品なのかもしれません。きっと精一杯思いを込めて描かれたのだと思われます。

わたくしは一瞬でも「あまりお上手ではないようだ」と考えた自分を恥じました。どの口が言っているのかというお話でございます。わたくし自身もそう思われている場面が多々あるでしょう。

そのキャラの魅力を、デザインした方の思いを、しっかりと表現しなければと、そしてもちろんクライアント様の収益に繋がるクオリティに仕上げねばと、力を入れて描いた記憶がございます。

デッサンなどは整える必要があり、着彩もクライアント様のご希望に合わせないといけない為、普通に描くと元のイラストの雰囲気から遠のいてしまいます。構図もご指定があるので寄せるのが難しい案件でございました。

それでもそのデザインを生かせるように、自分が良しとする描き方でなくともキャラを似せる努力を致しました。クライアント様からも多数修正を頂きましたが、最終的には元の絵の良さをある程度保てたと思っております。

このように、一言で絵柄寄せといっても千差万別いろいろなお仕事ございます。そこには物語があり、描く人の思いがございます。

それを汲み取って表現する、繊細なお仕事であると認識しております。


最後に

以上が実際にIP案件を多く受注するイラストレーターきみおりの意見でございました。ご静聴ありがとうございました。

最後にこんなことを申しますとあれですが、絵柄寄せのお仕事は本業のフリーランスの方がメインにするのはあまりお勧めしておりません。

副業や駆け出しの方にはピッタリで素晴らしいですが、本業イラスト一本でやる!という方は是非メインクリエイターになる努力をした方が宜しいと思われます。ご自身で一からデザインし、白いキャンバスにイラストを描いて下さい。

そのデザインを、イラストを、わたくし達絵柄寄せを得意とするイラストレーターが皆様のお手元に届けるお手伝いをさせて頂きます。

今後ともどんなにオワコンと言われても、わたくしは心を込めて描いて参ります。この記事で同じお仕事をされている方やイラストレーターの業務内容に興味がある方に何かしら有益な情報を提供できておりましたなら幸いです。

最後までご覧頂きましてありがとうございました。



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きみおり【絵師専属メンター】 応援ありがとうございます!いただいたチップは絵師専属メンターの活動に有効利用させていただきます(*^^*)