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『ダブルブレイン』『マジか!その後の人生』『ドリームピリオド』── 僕がゼロイチで通した企画── 30年で通した100本の企画 放送作家・松田敬三の通信簿(第1回)

毎週火曜日は「放送作家の企画論」の日です。

放送作家を、長年やってきた中で、企画について考えてきたことを書いています。

前のシリーズ「放送作家の仕事は『ジャンル』で全く違う」が、先週、全6回で完結しました。
そして、今日から、火曜の新しいシリーズが始まります。

シリーズ名は、「30年で通した100本の企画 ── 放送作家・松田敬三の通信簿」。

放送作家として、長年やってきた中で、ゼロイチで考えて、実際にテレビで放送された企画を、毎回3つずつ、紹介していくシリーズです。
通った企画でうまくいったのもあれば、思うようにいかなかった企画もある。すべてに、振り返って気づくことがある。
だから、「通信簿」と銘打って、自分で自分のキャリアに点数をつけていく、そんなシリーズにしたいと思っています。

第1回の今日は、最初の3つを書きます。

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結論から書きます。

『企画は、思いつくのは簡単。通すのは、その10倍難しい。実際に放送されるのは、さらにその10倍難しい』

そして、もう一つ。

『でも、その通った企画こそが、放送作家としての「自分」を作っていく』

新シリーズについて、少しだけ

放送作家として、長年現場にいた中で、僕は新しい企画を、世に出してきました。
ゼロから自分で考えて、企画書にして、会議で通して、実際に番組として放送されたもの。
正確に数えたことはありませんが、100本近くは、あると思います。

その100本を、3つずつ、計約30回かけて、このシリーズで紹介していきます。

「30年で100本」── 1年あたり3〜4本というペースです。
これ少ないように見えて、企画が通る倍率って50倍ぐらいだと思うので、以外と頑張ったかと。
自分でゼロから考えた企画はまるで我が子。
誰かの企画を回す仕事より、なるだけ自分の発案で番組を立ち上げる仕事をしたいと思ってきました

その結果が、この100本です。
レギュラーになったのもあれば、1回しか放送されなかった企画もあります。(それだらけ笑)
業界の常識を覆した企画もあれば、業界の常識に飲み込まれた企画もあります。

その全部を、できるだけ正直に、振り返っていきます。
それでは、最初の3つを、書きます。

① TBS『ダブルブレイン』

ひとつめは、TBSさんで放送された、クイズ番組『ダブルブレイン』です。

MCを務めてくださったのは、チュートリアルさん。
2人組のコンビが、2人で協力してクイズを解いていく、というのが、この番組のいちばん新しいところでした。

当時、クイズ番組の世界では、「1人が答える」「複数のパネラーが個別に答える」というのが、ほぼすべてのフォーマットでした。
「2人が、ペアになって、1問のクイズを協力して解く」── このフォーマットは、当時、ほとんどありませんでした。

僕がこの企画を発案したきっかけは、当時話題になっていたTBSドラマ『ダブルフェイス』でした。
2012年10月に放送されていた、西島秀俊さんと香川照之さんによる、潜入捜査と裏切りのドラマです。
「ダブル」という言葉が、テレビの中で、強く響いていた時期でした。

そのドラマのタイトルからインスピレーションをいただいて、「ダブル」を「ブレイン(脳)」と組み合わせた。
「ダブルブレイン」── 2つの脳が、ひとつの問題を解く。
タイトルが先に決まって、そこからフォーマットを設計していった、典型的な「ネーミング先行型」の企画です。

通信簿、をつけるなら、これは ── 「狙いはよかった、けど、惜しかった」、です。

「2人で協力して解くクイズ」というフォーマットは、その後、いくつかの番組で似たような構造が見られるようになりました。
僕がもう少し粘って、この番組を継続できていれば、その先駆けになれたかもしれません。
惜しい、というのは、そういう意味です。

② テレビ東京『マジか!その後の人生』

ふたつめは、テレビ東京さんで放送された、『マジか!その後の人生』です。

「クラスで一番勉強できた天才と言われた子って、その後どんな人生を送ってるんだろう?」

僕が、この企画を発案したきっかけは、たぶん、自分が子どもの頃の同級生のことを、ふと思い出したからだったと思います。
あの、勉強がずば抜けてできて、クラスで「天才」と呼ばれていた子。
今、何をしているんだろう。

この素朴な好奇心を、企画に変えました。
「一時、世間を賑わせた人たち」「栄光を掴んだ天才たち」のその後を、追跡する番組。

この企画は、2016年12月に『あの天才のその後…今を追跡してみました』としてテレビ東京さんで初めて放送され、その後、2017年から『マジか!その後の人生』として、特番化されていきました。
MCはヒロミさんと大橋未歩アナウンサーさん(初期)で、その後も特番として何度も放送されています。

通信簿、をつけるなら、これは ── 「狙いはど真ん中、でもタイトルで完敗」、です。

その後、TBSさんで2018年から『消えた天才』という番組が始まりました。
天才のその後を追う、というほぼ同じテーマの番組です。
僕の『マジか!その後の人生』の方が、放送開始は先でした。
でも、『消えた天才』というタイトルの強さに、僕は、完敗だと思いました。

「マジか!」という驚きの感情を入れたタイトルも、わかりやすくて好きでした。
でも、「消えた天才」という、たった5文字に込められた、強さ、ミステリー、人生のはかなさ。
あれには、勝てなかった。

タイトルの強さは、企画の生死を分ける。
この企画は、僕にそれを、教えてくれました。

③ フジテレビ『ドリームピリオド』

みっつめは、かなり昔に、フジテレビさんで放送された『ドリームピリオド』です。

きっかけは、「黄金伝説みたいな番組を作りたい」という、現場からのお題でした。

当時、日テレ系で放送されていた『いきなり!黄金伝説。』が、もう、業界全体の話題でした。
無人島生活や、1ヶ月◯円生活など、長期密着で人間の生き様を見せる手法が、テレビバラエティの新しい型として、注目を集めていた頃です。

その「黄金伝説的なドキュバラ」を、フジテレビさんの色で、どう作るか。

僕が出した答えは、「ゴールの記事を、先に出す」、というアイデアでした。

たとえば、「ある芸人が、1ヶ月でラーメンを◯杯食べ歩いた」という新聞記事を、最初に見せる。
その記事の通りの結果を、これから挑戦者が実現していく、という流れにする。
ゴールが見えているドキュバラ、というのは、見ていて安心感がある。
でも、その途中の苦労や紆余曲折は、見えない。
そのギャップを、楽しんでもらう。

実際に、ある芸人さんが、本当にラーメンを食べまくって、企画を成立させてくれました。
ラーメンに体当たりしてくださった、その芸人さんへの感謝は、今でも消えません。

通信簿、をつけるなら、これは ── 「企画の構造はおもしろい、けど、長続きしなかった」、です。

「ゴールが先に決まっているドキュバラ」というアイデアは、繰り返しやると、視聴者にゴールが読めてしまうので、新鮮さが続きません。
1回目は、ゴールの見せ方で引きつけられる。
2回目以降は、「次は何を実現するんだろう」という期待だけが頼り。
構造として、長寿番組には向いていない、企画だったかもしれません。

3つの企画から見える、僕の企画スタイル

3つを並べて、自分で気づいたことがあります。

① ダブルブレイン:話題のドラマタイトルから、ネーミングを発想
② マジか!その後の人生:子どもの頃の同級生への好奇心を、企画に変換
③ ドリームピリオド:既存の人気フォーマットへの、新しい角度の提案

それぞれ、発想の入り口がぜんぜん違います。
でも、3つに共通している、ひとつの法則があります。

それは、「自分が、まず、おもしろがっている」、ということです。

ダブルブレインは、僕自身が「ダブル」という言葉に何か惹かれていた。
マジか!その後の人生は、僕自身が「あの天才の今を知りたい」と思っていた。
ドリームピリオドは、僕自身が「ゴールから逆算するドキュバラ、見たい」と思っていた。

企画を考えるとき、僕は、まず、自分がワクワクするかどうかを、出発点にしてきました。
自分がワクワクしない企画を、視聴者に「ワクワクしてください」と届けるのは、不可能だと思っています。

このスタイルは、30年経っても、変わっていません。
そして、たぶん、これからも変わらないと思います。

次回以降の予告

次回、第2回では、また別の3つの企画を、振り返ります。
通った企画もあれば、思うようにいかなかった企画もあります。
100本を、3つずつ、ゆっくり、書いていきます。

「30年で通した100本の企画 ── 放送作家・松田敬三の通信簿」、次回もお楽しみに。

企業の方へ

「自社の新企画を、ネーミング先行で立ち上げたい」

「視聴者・お客様の素朴な好奇心から、企画を発想したい」

「既存の人気フォーマットに、新しい角度でアプローチしたい」

そういったご相談、XのDM(@newtownave51st)までお気軽にどうぞ。

A-FLAG(放送作家70名のアライアンス)とUPiNEの代表として、企画・コンテンツ・PR・番組企画開発のご相談を受けています。

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【週の更新スケジュール】

日曜:放送作家のビジネスと人生の奮闘記(UTZ連載中)
月曜・金曜:教科書に載せたいプレスリリース
火曜:放送作家の企画論(本シリーズ:30年で通した100本の企画 放送作家・松田敬三の通信簿)
水曜:放送作家が斬る、企業動画の現場
木曜:テレビ、舞台裏全部見せます
土曜:コンテンツで売る時代

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