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放送作家の仕事は「ジャンル」で全く違う|第2回 クイズ番組編

火曜日は「放送作家の企画論」をお届けします。

このシリーズでは、放送作家30年の僕(松田敬三)が、テレビ業界の中の実際の仕事や、企画の作り方を、出来るだけ生の言葉で書いていきます。

本シリーズ『放送作家の仕事は「ジャンル」で全く違う』は全6回の連載です。先週の第1回は「ドキュメント番組編」でした。

今週は第2回 ── クイズ番組編です。

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クイズ番組には、2種類の放送作家がいる

クイズ番組と一口に言っても、その現場で動いている放送作家は、実は2つのグループに分かれています。

ひとつは、クイズ問題を作る『クイズ作家』
もうひとつは、クイズシステムを考えたり、ルールを詰めたり、キャスティング案を出す『構成作家』

同じ番組の中で、役割が違う2職種が動いている。

クイズ作家は、若手作家がやることが多いポジションです。構成作家よりキャリアが浅い人が担当することが多い。

ただ、これには例外もあって、クイズ問題を作るプロのような方には、ベテランもいます。「問題を作る」だけを20年、30年やってきた職人さん。テレビの世界には、そういう深さで生きている人がいます。

若手作家がクイズから始める、本当の理由

クイズ作家を「若手の修行ポジション」と言うと、軽く聞こえるかもしれない。

でも、僕はこの仕事を、若手作家にとって最高に良い修行だと思っています。

なぜか。

クイズというのは、要するに『一番、気になるところを「答え」にする』作業だからです。

例えば、こんな雑学があったとします。

『新幹線の座席は、新大阪から博多に向かって、富士山が見える方が「E席」』

この雑学を、クイズ問題にしてみる。

新幹線に乗るとき、富士山を絶対に見たい人が、必ず指定しておくべき座席のアルファベットがある。それは何?

といえば知りたくなる。

『どこを隠すか』『どこを答えにするか』で、クイズの面白さは全部、決まる。

クイズを作るというのは、ネタの中の『一番、知りたくなるポイント』を見つけて、そこを答えに据える作業。

これは何かに似ている。

そう、構成です。

番組を構成するということは、ネタの中で『どこを見せれば視聴者が一番反応するか』を見つけて、そこに尺を割く作業。

つまり、クイズを作る訓練=番組の構成を作る訓練、なんです。

若手作家が最初にクイズから始めるのは、これが理由です。テレビ番組づくりの『最も基本的な感覚』を、ここで養う。

1つの情報から、何処を隠せば、一番、知りたくなる答えになるのか??
どんな文章にすれば答えが知りたくなる文章になるのか??

まさに構成ですよね

構成作家側の仕事 ── 目玉システムが、すべてを決める

一方、構成作家のクイズ番組での仕事は、また違います。

新しいクイズシステムを考えたり、盛り上がる仕掛けを考えたり、キャスティング案を出したり。

ここで一番難しいのは、『目玉となるクイズシステム』をどう設計するか。

クイズ番組は、成功すると長寿番組になります。10年、20年と続く番組も多い。

でも、失敗するときは、初回放送で消える。

その明暗を分けるのが、目玉のクイズシステム。
そして、視聴者にこの番組の『何を面白がってほしいか』という設計。

ここをしっかり狙い定めないと、必ず失敗する。

逆に言うと、ここがハマった瞬間に、長寿番組になる。

クイズ番組は、舵取りがとても難しい。
でも、ハマった時のリターンが、ジャンルの中で一番大きい。
これが、クイズ番組の魅力でもあり、怖さでもあります。

システムが1つハマって長寿番組になったのは、
アタック25や、ミラクルナインなど、
オセロやビンゴカードなど既存のゲームシステムを活かしたパターンと、
タイムショックみたいなプレッシャーショーをシステムにしたパターンと色々ありますが、一撃必殺のシステム考えられると良いですよね。

アタック25は大逆転が、
ミラクルナインは正解することにテンションがかかるパターンをいくつか生み出せるというハイパー素晴らしすぎるシステムだと思います。

ああいうの思いついて100万年続く番組を立ち上げたい。

クイズ番組の現場が教えてくれること

ドキュメントが「ナレーションで物語を紡ぐ」仕事だとすれば、

クイズは「問いの立て方を磨く」仕事です。

『何を答えにするか?』
『何を見せれば視聴者は驚くか?』
『どこに尺を割くべきか?』

この3つを徹底的に訓練できる場所が、クイズ番組の現場。

放送作家として30年、いま振り返ると、クイズ番組で覚えたこの感覚が、すべての企画の根っこに残っています。

「気になるところを答えにする」

これは、テレビだけじゃない。
プレスリリースでも、Xの投稿でも、note の見出しでも、全部に使える発想です。

次回予告:来週火曜は「バラエティ番組編」

来週火曜は【第3回 バラエティ番組編】です。

放送作家の本流の仕事と言われる、バラエティのネタ出し。
バラエティーには神様のような猛者が沢山いらっしゃるので、僕が書くのはおこがましいですが実際に出していたネタの話を、できる範囲で書きます。

「アイデア勝負」のジャンルで、放送作家はどう戦うのか。

シリーズ全6回の予定

・第1回 ドキュメント番組(終)
・第2回 クイズ番組(今回)
・第3回 バラエティ番組
・第4回 情報番組
・第5回 生放送番組
・第6回 全ジャンルを通じて、僕にある「唯一無二のルール」

最終回には、どのジャンルの番組をやっていても、僕の中で絶対に譲らないルールがひとつだけある、という話を書きます。

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【週の更新スケジュール】

日曜:奮闘記
月曜・金曜:教科書に載せたいプレスリリース
火曜:放送作家の企画論(本シリーズ)
水曜:ビジネス動画解析
木曜:テレビ、舞台裏全部見せます
土曜:コンテンツで売る時代

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