昭和浪漫講談:『親子表現力修行〜大人が変われば子が変わる〜』 今宵のご紹介はこちら!『親子で育てるじぶん表現力』ジャムネットワーク (著)
(釈台の前に座り、おもむろに張り扇を手に取る)
(パン、パン! と小気味よく二度叩く)
一、 導入(マクラ)
「えー、お集まりの皆様、本日はようこそのお運びで。
前回は夏の暑さに浮かれたのか、四年に一度の夏の祭典に当てられたのか、とんでもないエロ講談を披露してしまい、大変失礼致しやした。
こんかいは、アタクシ一丁羅の褌と、紋付袴を新調し身も心も一新して参りました。
突然ですが皆様、お国訛(なま)りや言葉の綾は数あれど、現代の日本人が一番苦手なものは何かと問われればなんだとおもいやすか?
アタクシが思いますに、ズバリ『自分の意見を述べる』でございますな!
『言いたいことが言えない』、これはいけない。
言わぬが花、沈黙は金などと申しますが、これが行き過ぎますと、ただの『言葉足らず』になってしまう。
そんな、ちょっと恥ずかしがりな皆様に今宵はこの本をご披露しようと思いやす。
本日の一冊、書名を『親子で育てるじぶん表現力』!
一見、子ども向けの優しいお話かとお思いのあなた!
中身は高取センセ達の工夫や苦労がこれでもか!というぐらい詰まりに詰まっております。
帯には全国のママ達から、読んで良かった!の声ゾクゾクとありますな。
アタクシも、この埼玉の地で日々奮闘してますゆえよくわかりやす。
(パン、パン!)
と、書いているうちに高取センセが自己の原点の記事を書かれておりやした。
アタクシもコメントさせていただきやしたが…。
この言えなかったという経験とアメリカでのコミュケーション教育を目の当たりにしたことがこの本の原動力であるとアタクシは思いやした。
二、 本論:親の鏡とアメリカ修行
さて、本書の前半に並びまするは、度胸力、論理力、理解力、プレゼン力……!
親子で育てたい力を七つに分類し、それぞれの説明および、トレーニング例が並べられておりやす。
そしてアタクシは最初のいの一番に度胸力が入っているということに高取先生の熱い思いを感じます。
子供の中にたくさんある、思いや感情…これらを外に出すというのは案外度胸がいるものでやんす。
それが高取センセの原点である「やめて」と言えなかったということにある。
この思いがのちにおっしゃられている自尊他尊につながると思うのですが…。
アタクシはここの部分に関してはちといろいろと考えていることがありやす…ここで話ちまうとこれは書評の芯から外れちまうんで、また稿を改めて語りやしょう…。
もちろんこの度胸というものを否定するというわけではないのでやんすょ。
ただ、もっといろいろな観点から考察する必要があると考えているんですな。
なので、この本自体の書評はすぐにできてはいたのですがこの本をタネに考えていたことが山ほどでてきてしまい、タネが芽をだし、葉が生い茂ってしまい…。てんやわんやになってしまい、お披露目が遅くなりやして申し訳ございやせん
おっと脱線してしまいましたな。
これらのトレーニングをやれば、我が子もペラペラと喋るようになる……と、大喜びする親御さん、ちょっとお待ちいただきましょう!
(声を潜め、語りかけるように)
しかし、よく考えてごらんなさい。
『言いたいことが言えない我が子』の前に立っているのは、誰あろう、全く同じように『言いたいことが言えない、お父うにおっ母あ』ではございませんか!
自分の気持ちを言葉にできず、
イライラしては『コラッ!』
子供が関心をもって手を伸ばせば『ダメッ!』
と感情をぶつけてきたのではございませぬかな?
まあ、この埼玉も人の親ですが皆様に偉そうな講釈を垂れるほど立派なことはしてないと思うのでお互い様なんですがな。
よく、親子でも似てほしくないところが似てしまうと言いますがそれはなんででしょう?
親の背中を見て育つからなんですな。
しかし、そんな子どもに、『さあ、おまえさんょ…表現力を磨きなさい』と言うのは、これ、八百屋に刃物を買いに行くようなお門違い(おかどちがい)、酷な話でございませんかな?
高取センセが当時そこまで意図していたかはわかりませぬが子供にだけさせよう!ってことではないことはしっかりと本のタイトルに書かれております。
それが「親子で育てる」というタイトル。
そう親子で育て合う。そこに大人であり経験もある親がまず気づき育てていく。親育て子育ての本だとお見受けいたしました。
本書は子ども用の本と見せかけて、実は『親の心意気』を鍛え直すための『手鏡』なのでございます!」
(パン、パン! と強く叩く)
そして、秀逸なのが表現力を鍛えるということはその人の内面を鍛えること。
言葉というのは伝達や思考の手段と考える方が多いですが、ところがどっこい言葉が人間を育てる側面がある。
難しい言葉で言うと両義性というんですがな。
アタクシ、大学時代に散々叩き込まれてきましたがまさか、こんな歳になってそんな知識が花開くとは思いもよりませんでしたわい。
表現するには、表現を知らないとできない。だからこそ語彙力という力も設定している。
さすが高取センセですわ!
いっとき、子供の言葉で「だるい」「きしょい」「うっせぃ」など短縮した言葉がはやりましたが言葉によってその人の人間性も規定されていく。
面白いもんですな。
豊かな言葉は豊かな人間性を育み、汚い言葉は汚いそのような人を構築していく…。
とはいえ、そこで人は固定されるわけではないのが面白いところ。
人間幾つになっても成長できる。
あたくしなんかも、棺桶に足突っ込んでいるような男ですがまだまだ成長しますぞ!
話は変わって、著者がこの真理に辿り着いたのは、海を渡ったアメリカでの出来事。
あちらは『自分の意見を言わねば、存在しないも同然』という、弱肉強食、ならぬ『発言力強食』の国!
察する文化の日本とは、何もかもが違います。
特に家庭での躾(しつけ)が見事でございますな。
子どもに『自分で選びなさい』と自由を与える一方で、約束(ルール)を破れば、容赦なくその権利を取り上げる!
甘やかすでもなし、頭ごなしに怒るでもなし。
これぞまさに『自由と規律』、自立を促す親の極意(ごくい)でございます!
……なーんて言いますがね、トマス・ゴードンの『親業』なんかを覗いてごらんなさい。
あちらの親御さんだって、言葉が通じなきゃ頭ごなしに『お黙り!』と怒鳴り散らす、似たような親子喧嘩が日常茶飯事でございますがね。
そして、そんな親たちのために親業というメソッドを立ち上げたわけですからな。
(パン、パン!)
三、 佳境(見得):シルクロードの精神
アタクシはいつも思うのですが…隣の芝生はよく見えると言います…
『やっぱりアメリカ様は素晴らしい、日本はダメだ』などと、嘆くばかりじゃ芸がない。
アメリカの良きところを学び、日本の察する心、思いやりの良きところを重ね合わせる。
これぞ、かつて東と西の文化が混ざり合い、新たな美を生み出した『シルクロードの文化醸成』のごとく、新しい日本の表現教育を創り出せるんじゃないでしょうか!
(声を一段と大きく、朗々と)
日本の家庭に、そして冷え切ったコミュニケーションの社会に、一本の熱い筋を通す、まさに本質を突いた『勝負の書』!」
四、 結び
まずは大人が変わること。
いきなり述べるんじゃねえ、まず察する。
察した上で、初めて一言だけ添える――
これがシルクロード仕立ての物言いよ。
言いたいことを、愛を持って、正しく言葉にする。
そんな背中を、子どもに見せてやろうじゃございませんか。
親が変われば、子が変わる。
子育てとは親育てなり!
大人たちの一歩を促す、この一冊――!
(釈台を大きく三度叩く)
パン、パン、パパン!
お後がよろしいようで。
(一礼)
また今度は「ことば力のある子は必ず伸びる」 こちらも読んでいるのですが、こちらも紹介しようか…どうしょうか…
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