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私の奇病体験記 #5そんなヒト、いません〈ピル処方〉

これは、普通の暮らしをしていた私が、“奇病体質”(*)と呼べるほどになるまでの体験談だ。
*ここでいう奇病とは、あまり一般的ではない病気や、原因不明の病気や不調、難病などを指す。

今回は、毎月訪れる“地獄イベントの話”から始まる。


1. 毎月の悪夢

毎月、生理が来るたびに思っていた。
……これ、本当に“普通”なの?

まず痛い。痛すぎる。
下腹を鷲掴みにされて、ぶん回されてるみたいで、動きはほぼ不審者の前屈み歩行。

そして、量。
多い日用ナプキン?
1時間で瞬殺。
立ち上がるとドロ…ッと流れ出す感覚。
(あ、終わった…)と悟ってトイレに駆け込んだ回数は数知れない。

さらに、毎月37~37.5度の発熱。
多くの人は体温が下がるらしいのに、私は毎月ひっそり「プチ発熱祭り」。
ネットで調べても同じ症状の人が全然いない。
ずっと
(なんかおかしいよなぁ……)
とは思いつつ、
「生理痛の重さは人それぞれだし…」と諦めていた。

2. そうだ、ピルを飲もう

そんな折、夫は長期海外出張、私は多忙部署へ異動が決定。
毎月の不調を抱えたまま臨むには、些か躊躇われた。
子供もまだ幼く、仕事にも意欲的だった私は、同じく子供を持つ友人に相談してみた。
友人は、
「ピル飲みな!生理痛マジで消える。世界変わるよ!!」
とピルをお勧めしてきた。
確かに、低用量ピルは生理痛を軽減するために用いられることもあると聞く。

……世界が変わる?
そんな魔法みたいなことあるんだろうか!?

この時はまだ半信半疑に思いつつ、私は病院を探し始めた。


3. “そんなヒト、いません”

職場の人におすすめの産婦人科を聞くと「ここがいいよ!」と駅前の病院を勧められた。
口コミ評価も高く、何だか良さそうだ。
何より家からも近い。

私は迷わずその病院を受診することにした。

が、
まずその待ち時間に閉口した。
3時間て…

人気のある病院で、初診の予約ができなかったとはいえ、まさかの待ち時間に驚いた。
そして、問診も長かった。
奇病体質のせいで、持ちネタ(病歴)が多い。(特に#4参照

看護師さんに病気のことや経緯を細かく説明し、
以前から困っていたことについても正直に相談した。
・生理痛が酷い
・量が多い
・毎月発熱する
・幼い頃から繰り返す「できもの」

特に聞きたかったのは「生理で毎回熱が出る件」。
熱のせいかぼーっとするし、不調の原因の一つでもある。
何よりネットや書籍にもそんな情報がないので、対処がわからない。

医師は、開口一番こう言った。
医師「そんなヒト、いません。」

……いやいやいやいや。
今目の前に“そんなヒト”座ってますけども!?
っていうか、同じような人がいなくておかしいから受診までして聞いているのだ。
一刀両断はないと思う…😭

ツッコミたい気持ちを、初診という理由で必死に飲み込んだ。
あの瞬間、私は史上最高の“心の中ビンタ”をかましたと思う。

そして、勇気を出して相談した「できもの」の相談では、
医師「性病ですね」

…は?????????
これまた一刀両断。
小学生の時から悩んでて、子供も産んで、
過去の性病検査で一度も引っかかったこと無いって話、聞いてた!?!?

粉瘤や化膿性汗腺炎等の可能性にも触れず、
謎の薬を膣内にぶち込まれて終了(しかも痛かった)。

終始話は噛み合わなかったが、ピルだけは処方された。
(いや、ピルは普通に出すんかい?!)

何だかモヤモヤしたが、一応ピルは処方されたので一旦諦めた。


4. 快適な暮らし

処方されたのは ヤーズ。
毎日決まった時間に飲み続けることで、生理周期を整えることができるらしい。
初めは半信半疑だった私も、飲み始めてみたら――
人生変わった。
・痛み → 激減
・量 → 激減
・発熱 → ほぼ消失
・メンタル → 安定
世界が違う。
「月経」ってこういうもんだったの!?
衝撃を受けた。

ぶっちゃけ、病院の対応には「?」が浮かんでいたが、そんなことはどうでも良くなるほどに、この時までは、全てが順調だった。


5. レベルアップ!ヤーズフレックスへ

2ヶ月ほど服薬を続けると、こんな提案をされた。

医師「ヤーズフレックスに変えれば、3ヶ月に1回の生理にできますよ。」

何という甘美な誘いだろうか。
面倒な生理が、3ヶ月に一回!!
私は喜び勇んで「ヤーズフレックス」に飛びついた。

あの不自由な暮らし(生理期間)が、数ヶ月に1度になるなんて!
そんな夢みたいな話があるのだろうか!?

この時の私は、“生理を自在にコントロールできる未来”を夢見て、
仕事も生活も全てハッピーな毎日を手にした…気になっていた。


6. 何じゃこりゃあ…!!

飲み始めてすぐのある夜、
身体に“今まで経験したことのない異変”が起こった。
ドパッ……
ドバッ……
巨大レバーのような、拳大の血の塊が大量に出てきた。
どこからそんなものが出てくるのかというサイズの血の塊。
量もおかしい。

「絶対薬が合ってないやつだコレ!!」
すぐにそう悟った。
(※人によってはめちゃくちゃ合うらしいけど、私はダメだった。)

翌日。慌てて病院へ電話で連絡すると、薬の服用をやめるように指示を受けた。

(ってことは、、私の夢のハッピーライフは…??)
(ヤーズの時の健やかな時間は!?)

さらに、ここでまた問題が発生した。
陰部がピリピリと痛むのだ。(奇病体質、ここでも本気を出す)
病院へ行こうにも、鬼のような忙しさと子育てワンオペレーションが重なり、病院に行く時間がどうやっても確保できない。
(※仕事を休みゃいいのに、子育て中で時短している負い目から、休むことができないと思い込んでいた。)

かの病院は待ち時間が長い。すぐには診てもらえないだろうと想像してげんなりした。
(何なんだよも~。。)

半分涙目だったが、元からちょっと違和感を感じていた(「そんなヒト、いません」と言われたのを根に持ってる🤣)こともあり、
「よし、病院を変えよう!セカンドオピニオンだ!」と意気込んで、診療時間が合いそうな病院を懸命に探した。

新しくできた産婦人科のクリニックが、比較的遅い時間まで診察を行なっていることがわかり、すぐさま駆け込んだ。


7. 低用量ピルとは

2種類の女性ホルモン(エストロゲン+プロゲステロン)を少量含んだ飲み薬で、
排卵を抑えて妊娠を防ぐ薬です。
日本で一般的に使用されているのは LEP(Low Dose Estrogen-Progestin) と呼ばれる低用量ピルで、
避妊だけでなく 月経痛・PMS・月経不順・貧血改善 など、治療目的で処方されることも多くあります。

▼ 低用量ピルの主な効果
・正しく飲めば避妊率99%
・月経痛の軽減
・経血量の減少(貧血改善)
・PMS(月経前症候群)の改善
・子宮内膜症や卵巣嚢腫の予防
・ニキビ改善効果(薬の種類による)

▼ 主な副作用
● 初期に起こりやすい(数週間で消えることが多い)
・吐き気
・頭痛
・不正出血
・乳房の張り
・気分の揺れ
● 注意が必要な副作用(まれ)
・血栓症(足の痛み・息苦しさ・強い頭痛など)
※喫煙者、35歳以上、肥満の方はリスクが上がる

◯ヤーズ(Yaz)・ヤーズフレックスの特徴
⚫︎ヤーズは「超低用量ピル」の一種
含まれるエストロゲン量が 1日20µg とさらに少ないため、
副作用が比較的出にくいタイプです。
配合されている ドロスピレノン(プロゲステロンの一種)には以下の特徴があります:
・むくみ改善(利尿作用あり)
・体重増加が起こりにくい
・ニキビ改善が期待できる
・PMS、特に PMDD に有効

◯ヤーズとヤーズフレックスの違い
ヤーズは「毎月生理がくるタイプ」のピルで、
ヤーズフレックスは「生理の回数を減らせるタイプ」のピルです。
ヤーズは 24日間飲んで4日休む というサイクルで、月に1度しっかり出血があります。
一方ヤーズフレックスは、最大120日(約4ヶ月)まで連続で飲み続けられるので、
生理の回数を少なくしたい人や、生理痛が強い人に向いています。
成分はほぼ同じで、効果や目的も似ていますが、
「出血のタイミングを自分で調整できる」という点がヤーズフレックスの大きな特徴です。

◯どんな人に向いている?
ヤーズ
・月経前に気分が落ち込む
・体がむくみやすい
・月経痛がつらい
・PMSやPMDDで生活に支障がある
ヤーズフレックス
・生理の回数を減らしたい
・生理のたびにつらい症状が出る
・イベント・試験・仕事で月経を避けたい
・子宮内膜症の予防・悪化予防をしたい

◯ヤーズ/ヤーズフレックスの副作用
▼ よくある:
・不正出血(特に飲み始め~3ヶ月)
・吐き気
・めまい
・頭痛
・感情の浮き沈み
・胃のムカつき
▼ 注意が必要(まれ)
・血栓症(脚の腫れ・息切れ・激しい頭痛など)
・高カリウム血症(腎疾患や特定の薬併用時)
※ドロスピレノンは利尿作用があるため、むくみには良い一方でカリウムが高くなる人がいます。

私の場合、レバー状の血の塊が大量に出た(=不正出血が異常に強かった) のは、
体に合っていないサインと判断され、医師の指示で服用を中止しています。


8. 受け入れ拒否

私「最近陰部がピリピリと痛むんですけど…」
New医師「あー、これヘルペスですね。薬を出しておきますね。」

ここまでは良かった。
問題はここからだ。

私「あと、あの、、ピルを飲んでいたんですけど、薬を変えたら合わなくて…
元の薬に変えたいんですけど、こちらで処方していただくことはできないでしょうか?」
New医師「他院で処方されているなら、そちらへ行って頂いた方がいいと思いますよ。」
私「いや、その元の病院に行けないから来てるんですが…」
New医師「他院で処方されている場合、うちでピルは処方できませんね。」

何てこった。
完全に詰んだ。
・元の病院 → 時間が合わない
・別の病院 → “うちでは出せません”

結局。
私は病院に行くストレスをなくすため、薬をストップすることにした。


9. あとがき

薬をやめてから、病院に行くストレスが消えて少しホッとした。

私は「治療を諦めた」んじゃなくて、「一旦自分を守る」方を選んだだけだったのだと思う。

生理痛は、我慢できない痛みじゃないけれど、我慢しなくてもいい痛みだ。
ピルは、確かに一時私を救ってくれた。
一方で、医療や薬との相性が悪くて地獄も見た。

病院も薬も、人にはそれぞれ「相性」がある。
私たちの生活リズムや事情がある中で、
最初から「完璧に合うものだけ」を選び取るなんて無理ゲーだ。

私は、「そんなヒト、いません」と言われたあの日から、
病院ガチャに翻弄されながら、自分の体に向き合って選ぶ大切さを学んだ。

病院へ行くのも大事。
でも、
一回立ち止まって、自分の体の声を聞く。
これも1つの、ちゃんとした“選択”だと思う。


◁前回の奇病はこちら→マイノリティつわり・妊娠糖尿病
▷次回の奇病はこちら→手湿疹



参考
バイエル薬品株式会社. ヤーズ配合錠 インタビューフォーム 2024年4月改訂.
バイエル薬品株式会社. ヤーズフレックス配合錠 製品基本情報. 2020年12月版.
厚生労働省. 月経困難症治療剤「ヤーズ配合錠」による血栓症について. 2014年1月17日.

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