私の奇病体験記 番外編③-1 皮膚の乱れは体の乱れ〜不治の手荒れ〜〈手荒れ〉
これは、普通の暮らしをしていた私が、“奇病体質”(*)と呼べるほどになるまでの体験談だ。
*ここでいう奇病とは、あまり一般的ではない病気や、原因不明の病気や不調、難病などを指す。
今回は、体の“警告灯”みたいに現れた、私の手荒れ地獄のお話。
1. ワーカホリック
当時の私は、「仕事大好き!もっと仕事をくれ!!」のワーカホリック人間だった。
時短勤務のはずなのに、残業するのは当たり前。
朝から晩までずーーーっとキーボードと格闘し、家に帰ってからも、休日にも仕事のことを考えていた。
疲れなんて知らないかのように、気力がみなぎっていた。
「今日も120%で頑張るぞー!!」
毎日そんな気持ちだった。
そんなある日。
左手の中指と薬指の付け根に、ふと違和感を覚えた。
「あれ、昨日こんなだったっけ?」
何だか皮膚がカサカサとしている。
冬場の乾燥のせいだろうか?最近妙に左手の一部だけが乾燥している気がする。
(何だろ?気のせいかな。)
そんな風に、私はまた自分の小さな変化を見逃した。
(いい加減覚えろください自分🤣)
2. ムズムズ
(なーんかムズムズするなぁ…)
違和感を覚えた皮膚の感覚は、日に日に存在感を増し、“ムズムズ”と痒みを訴え出した。
流石に気になって、仕事に集中できなくなることを恐れ、仕事終わりに行ける病院を探した。
こんな時にも、考えるのは仕事のことが優先だった。
医師「あー、これは乾燥して炎症を起こしかけてますねぇ。保湿剤を出しておきますね」
私「わかりました。」
保湿ローションが処方され、ハンドクリームのごとく手荒れの部分に毎日塗った。
ハンドクリームを塗るという習慣がなかった私には、非常に面倒くさかった。
でも、ムズムズが治るならと、何とかローションを塗り付けた。
……が。
治らない。
3日経っても1週間経っても、カサカサムズムズが消えることはなかった。
3. か・ゆ・い…!!
やがて、カサカサ&ムズムズは、無視できない痒みに成長した。
我慢できないレベルの痒み。
気づけば、仕事中もずっと気になって集中力が持っていかれる。
(かゆい……気のせい……?いや、かゆい……!!)
気づけば掻いてしまっている。
掻けば掻くほど悪化する。
赤みはいつの間にか凸凹としたブツブツになり、指の付け根を覆った。
あまりの痒さに、また病院に駆け込んだ。
前回行った病院は時間が合わず、別の病院を探した。
医師「炎症が起きてますね。飲み薬と、塗り薬を出しておくので、様子を見てください」
私「わ、わかりました。」
そういって1週間が経過した。
……が。
全然治らない!!!!
治る様子もない。
塗り薬も、手を洗うたびに取れてしまうし、効いている気がせず絶望した。
4. じゅくじゅくパニック
ついに、中指と薬指の付け根はみるも無惨な姿へと変貌した。
痒みと炎症の無限ループに入り、
ぶつぶつとした凹凸ができる
→痒みでかきむしる
→水膨れになる
→さらに痒みが出て掻きむしる潰れる
→じゅくじゅくの水膨れゾーンへ進化。
いよいよ生活にも支障が出始めた。
皮膚がふやけ、赤黒くなり、黄色い滲出液が絶えず出ている状態になってしまったのだ。
どうにかせねばと思うが、また病院は定休日と重なっている。
仕事を優先するあまり、病院にうまく通えていなかった。
毎度行ける病院を探しては、違う病院へと駆け込む。
今になればわかるが、これもまた、良くなかったのだと思う。
5. 原因は何?
医師は私の指を見て、ひと言。
医師「……これは痒いでしょう。水仕事の後とか、石鹸とか洗剤が指輪のところに溜まりやすいから、しばらくは、結婚指輪を外して過ごしてね。」
私「わ…わかりました。。」
医師「あと、こういう湿疹は、ストレスでも起こるから、気をつけて。」
ストレス、恐るべし。
忙しい仕事、
休めない(休まない)環境。
それを私は楽しんでやっているつもりだった。
しかし、いつの間にか、
小さなイライラやモヤモヤを見逃していたようだった。
全部ひっくるめて、
体が “もう限界だぞ” と訴えていたらしい。
医師「一応ステロイド薬を出すけど、治すには、とにかく触らないのが一番。掻かない。保護するなら、100円均一とかで、『メンテ』売ってるでしょ?あれでいいから。」
私「(メンテ…?ってなんだ!?)…はい!」
はい!と勢いよく返事はしたが、メンテがなんだかわからないままである。
思いっきり聞くタイミングを逃してしまった。
知ったかぶりしたまま、診察は終わった。
そのまま私は近くの100円均一にダッシュ。
店の中をあてもなくウロウロとして、メンテなるものを探した。
「メンテ・・・メンテ・・・」
ぶつぶつ呟きながら、とりあえず当たりをつけた衛生用品の当たりを彷徨う。
(引っ掻くのを防止して、保護するようなものってことは…包帯とかそういうやつか??)
(テはテープか??)
とかなんとか考えていると、私の目に手袋が飛び込んできた。
『綿手袋』
「めんてぶくろ…」
呟いて気づいた。
(メンテって、綿手袋のことかーーー!!!)
悟空さながら頭の中で大騒ぎした。
すっかり謎を解決した名探偵気取りの私は、
藁にもすがる思いで綿手袋を購入した。
ここから、私の手袋生活が始まった。
6. 手湿疹とは
手にできる湿疹(皮膚炎)の総称で、
水仕事・刺激物・乾燥・アレルギーなどで手の皮膚バリアが壊れ、
赤み、かゆみ、ひび割れ、水ぶくれなどを起こす状態を指します。
慢性化しやすく、いったん治っても再発しやすいのが特徴です。
⚫︎ 手湿疹のタイプ
① 刺激性接触皮膚炎(もっとも多い)
洗剤、シャンプー、石鹸、アルコール、頻繁な手洗い…。
いわゆる「主婦湿疹」の多くはこれ。
② アレルギー性接触皮膚炎
ゴム、金属(ニッケル)、香料、化粧品など特定の物質で反応。
③ 汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)
指の側面・手のひらに小さな水ぶくれ。
ストレス・汗・金属アレルギーなどが関与。
⚫︎ 主な症状
手指の赤み
強いかゆみ
カサカサ、ひび割れ
小さな水ぶくれ
皮がむける
痛み(亀裂が深いと激痛)
軽症〜重症まで幅が大きい。
⚫︎ 原因
✔ 洗剤・シャンプー・漂白剤・アルコール類
✔ 水仕事(お湯は特に悪化しやすい)
✔ 乾燥(冬・エアコン環境)
✔ アレルギー(金属・ゴム手袋・化粧品)
✔ ストレス・汗・摩擦
※ストレスで悪化する人は特に多い。
⚫︎ 治療方法
① ステロイド外用薬(基本)
炎症・かゆみをしっかり抑える。
症状に応じて強さを調整します。
② 保湿剤(必須)
ワセリン/ヘパリン類似物質/尿素クリームなど。
「手洗い後すぐに塗り直す」が最大のポイント。
③ アレルギー性疑い → パッチテスト
④ 重症時の追加治療
抗ヒスタミン薬、免疫抑制薬(プロトピックなど)。
⚫︎ 生活でできる予防・対策
✔ 水仕事は 綿手袋+ゴム手袋 の二重構造
✔ 手を洗ったら 30秒以内に保湿
✔ お湯ではなく ぬるま湯 を使用
✔ アルコール消毒後は 保湿必須
✔ 食器洗剤は 低刺激タイプ へ
就寝前:ワセリンたっぷり → 綿手袋で密封
⚫︎ 受診すべきタイミング
・ひび割れが痛くて家事が困難
・水ぶくれが広がる
・膿んでいる
・パックリ割れが治らない
・市販薬で改善しない
・何度も繰り返す
(慢性化すると治りにくいので、早めの受診が本当に大事)
◎ 最後に
手湿疹は「治ったと思ってもぶり返す」やっかいな皮膚炎ですが、
症状ゼロになった後のケア が再発予防の一番のポイントです。
7. 24時間体制
ここから私の手袋生活が始まった。
・寝るとき → 手袋
・家事 → 手袋+ゴム手袋
・外出 → 手袋
・仕事 → 手袋
まさに、手袋生活24時。
初めこそ、手袋に付着していた滲出液を不快に思ったが、
しばらくすると痒みもひき、元の手に戻っていった。
しかし、私の戦いはこれで終わりではなかった。
この手荒れ、7年経った今も完治していない。
ストレスが強いときだけピンポイントで
“左手の同じ2本の指” が赤く腫れ、じゅくじゅくし始めるようになったのだ。
これが厄介すぎた。
治る → ストレスでぶり返す → 落ち着く → また出る
をエンドレスで繰り返している。
8. あとがき
ここまで来ると、「体からのお知らせ」
みたいな存在になっている。
(あ、また中指ムズムズしてきた。なんかイライラしてるのかも)
(今日は薬指が赤い…仕事詰め込みすぎたか?)
そんなふうに、私にしか分からない“心身のバロメーター”として機能している。
最初はただの皮膚トラブルだったのに、気づけば“心の状態の翻訳機”になった。
手荒れは間違いなくしつこいし不便だけど、悪いことばかりでもないと思う。
頑張りすぎた時、
無理している時、
気づかないふりしてるストレスがたまっている時、
指先が先に教えてくれる。
指先は、私の小さな“ストレス警報機”だ。
これからも上手く付き合っていこうと思う。
参考
・日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン 2015」
・国立成育医療研究センター「手湿疹(手荒れ)について」
・京都大学医学部附属病院 皮膚科「主婦湿疹について」
・日本医科大学 皮膚科「手湿疹のケア」
・大阪府「手湿疹について」
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