寝酒は「効く」。ただし、効いてほしくない方に
寝る前の一杯で、よく眠れている気がする。あれ、嘘じゃない。寝つきは本当に早くなる。やっかいなのは、酒が前に倒しているのが入眠で、こっそり削っているのがREMのほうだ、ということ。
McCullarたちが2024年にSleep誌で、ちょっと意地悪な実験をしている。健康な成人30人。同じ人に二通りの夜を過ごさせた。寝る1時間前まで飲む夜(呼気アルコール0.08を狙う)と、見た目も味もそっくりのノンアルの夜。それぞれ3晩ずつ、脳波で睡眠を測る。
結果はきれいに割れた。飲んだ夜は、前半でREMの溜まりが鈍り、ひと晩のREM総量がはっきり減る。深い眠り(徐波睡眠)は前半でむしろ増えるのに、総量は変わらない。寝つきは良くなるのに、感情の記憶を整理するREMだけが目減りする。主観と脳波が、ここで食い違う。古いレビュー(Ebrahim 2013)も、同じ方向を指していた。前半の深い眠りを一時的に増やし、後半でREMを抑える、と。
やれることは、そんなに多くない。
就寝の1〜3時間前で、酒を切る
飲んだ翌朝は、安静時心拍やHRVを横目に、その日の判断とトレーニングを一段ゆるめる
身体は、前の晩のツケを昼に取りに来る。
断っておくと、これは0.08狙い・3連夜の短い実験だ。長く飲んできた人が、断酒でREMをきれいに取り戻せるかは、人によるとしか言えない。ごく少量や、就寝とたっぷり間を空けた一杯の話は、この研究の外にある。
それでも、ひとつだけ。寝酒で来るのは深い眠りじゃない。入眠だ。そこだけ、覚えておくといい。
