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「送料無料まで、あと348円」〜生活で生きる算数の力について考える〜

ネットで買い物をしていると、こんな表示が出ます。

「あと348円のお買い上げで、送料が無料になります」

さあ、カートに何を足しましょうか。

私はこういうとき、電卓を出しません。
だいたいで考えます。
「216円のこれと、152円のこれを足せば…
 210円以上と150以上だから、360円以上。よし、足りる」

この一瞬の判断。実はこれ、4年生の算数です。


「だいたい」で考えるとき、私たちは無意識に選んでいる


もう一つ、別の場面を考えてみてください。

たとえば、遠足のおやつ。
「300円まで」というルールがあったとします。

お菓子を選びながら、頭の中で計算します。
「124円と、179円だから……120と180で、300円。セーフ!」

……本当にセーフでしょうか。

124+179=303円。
3円のオーバーです。

もし300円ちょうど持って買い物に行ってたら
レジで戻されるあの気まずさ笑

経験がある方もいるかもしれません。


なぜ、こうなるのか


もうお気づきかもしれません。

このとき、四捨五入で見積もっていました。
124円を120円と見て、179円を180円と見た。

四捨五入は、実際の値に一番近い数を出す、
とても優れた方法です。

でも、上にずれることも、下にずれることもある
だから「300円以内に絶対収めたい」という場面では、
危ないのです。

では、どうすればいいか。

多めに見ておけばいい。

124円を120円ではなく「130円」
179円は「180円」
と、少し多めに見積もる。

合計310円で300円を超える可能性が高いと考えられれば、
買うのをやめられる。

逆に、多めに見て300円以内なら、実際は絶対に300円以内です。

絶対に予算を超えたくないとき、大きめに見て安全を確かめる。

これが切り上げが生きる場面です。


そして、冒頭の「送料無料」の場面


さて、話を戻します。

「あと348円で送料無料」の場面では、
どう考えるべきでしょうか。

さっきと同じように、多めに見積もる?
——いいえ、です。

この場面で私たちが求めているのは、
「348円を確実に超える」ことです。

多めに見積もって「たぶん超えてる」では、
金額が足りずに送料がかかってしまいます。

だから、少なめに見積もる。

216円を「210円」、152円を「150円」と少なく見ておいて、
それでも合計360円。

こうやって少なく見ておいて、
それでも条件を超えているなら、実際は確実に超えている

これが切り捨てが生きる場面です。


同じ「だいたい」なのに、逆になる


面白いのはここです。

  • 300円以内に収めたい → 多めに見る(切り上げ)

  • 348円を確実に超えたい → 少なめに見る(切り捨て)

同じ「だいたいで計算する」なのに、
目的によって、まったく逆の方向に倒す。

私たちは大人になって、これを無意識にやっています。
教科書でも、概数を生活の中で使う場面は扱われます。

ただ、授業をしていると、
「四捨五入できる」「切り上げ・切り捨てができる」ことと、
目的に応じて自分で使い分けられることの間には、
もう一段階あると感じます。

テストでは概数を求められても、生活の場面になると
「どの見積もり方を使えばいいんだろう?」と迷う子もいます。


「いつでも四捨五入」ではない


4年生の「がい数」の単元で、私が一番大切にしたいのは、
この判断する力です。

四捨五入・切り上げ・切り捨て。
3つのやり方を覚えることがゴールではありません。

目的を見て、どれを使うかを自分で決められること。

送料無料まであと348円。
遠足のおやつは300円まで。
大人になってから何気なく使うのは、まさにこの力です。


2学期の授業デザイン、今週土曜に公開します


この「使い分ける力」を、どうやって子どもたちに育てるか。

今週土曜(8/15)に公開するのは、
お菓子の買い物を通して、
切り上げと切り捨てを子ども自身が見つけていく授業
です。

「300円以内で遠足のおやつを選ぼう」
「700円以上でプレゼントをもらおう」

一方では「絶対に超えたくない」。
もう一方では「確実に超えたい」。

条件が逆になる2つの買い物場面を並べることで、
子ども自身が「見積もり方も変えないといけない」と
気づいていく授業です。

概数のやり方を覚えて終わるのではなく、
目的に応じて使い分けるところまで考えます。

2学期に子どもたちが、算数をおもしろい!
と思える授業をぜひ一緒につくりましょう!


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