「あまりは3!」と言う子が、きっといる〜夏休みの教材研究は、子どもの声を予想すること〜
5100÷600
この計算、あなたならどう解きますか?
「0を2つずつ消して、51÷6=8あまり3」
そう考えた方。実はこの「あまり3」、正しくありません。
そして2学期、私の教室でも「あまりは3!」と元気に宣言する子が、
きっといます。
私はいま、その瞬間をイメージしながら、夏の教材研究をしています。
今日はその机の上を、少しだけお見せします。
夏休み、できるだけ教材貯金をしておきたい
夏休み、先生たちが何をしているか、ご存じでしょうか。
もちろん研修もあります。
事務仕事もあります。
でも私にとって夏休みの一番の仕事は、
2学期の授業を仕込んでおくことです。
いま構想しているのは、4年生のわり算。4800÷600のような、
後ろに0のある大きな数のわり算です。
正直に言えば、この内容、教えようと思えば5分で教えられます。
「0を同じ数だけ消して計算しましょう。はい、48÷6=8です」——以上。
でも、それでいいのでしょうか。
私は算数の授業づくりに向き合うとき、
教材の楽しさ
子どもが悩み思考する場面
この2つを特に大切にします。
「0を消せば簡単」だけを覚えた子は、
その意味を問われたときに立ち止まってしまいます。
そして何より、「どうして消していいの?」を考えることこそ、
この教材の一番おいしいところなのです。
教材研究とは、子どもの発言を予想すること
私の教材研究には、決まってやることがあります。
教材を前に、子どもの発言を予想することです。
「この問題を出したら、あの子は何と言うだろう」
「どこでつまずくだろう」
「どんな『事件』が起きるだろう」
教室の風景を、できるだけ具体的に思い浮かべます。
実はこれ、若手の頃からできていたわけではありません。
ある方の一言がきっかけで、私の教材研究は変わりました。
(その話は、先日の記事に書きました)
さて、2学期のわり算の授業。
私はゲームから始めようと考えています。
数カードで「□□00÷□00」の式を作り、
あまりが小さいほうが勝ち、というゲームです。
(以前公開した数カードゲーム「あまりを小さくしろ!」の、
パワーアップ版です)
このゲームを想像しながら、子どもの発言を予想していくと——
ある「事件」が起きる予感がするのです。
まだ起きていない、「あまり3」事件
ゲームが進むと、例えばこんな式を作るチームが出てくるはずです。
5100÷600
わり切れるかどうか、確かめなければなりません。
0を消すことを見つけた子どもたちは、こう計算するでしょう。
「51÷6=8あまり3。あまり3!小さいぞ、勝てるかも!」
ここでおそらく、私のクラスの子どもたちなら、誰かがこう言うでしょう。
「え、ちょっと待って。あまり3って、なんかおかしくない?」
この違和感が大切だと思っています。
計算方法は間違っていないけど、何かしっくりこない。
ここで子どもの思考する時間が始まります。
5100円を、600円ずつ分けていく場面です。
600円ずつ8人に配ると4800円。
残るのは——300円です。3円ではありません。
0を消して計算しても、商「8」は変わらない。
でも、あまりの「3」は、本当は「100が3個」という意味だったのです。
だから、あまりには消した0の分を戻して、「8あまり300」。
「あまりは3!」と言った子は、間違えたのではありません。
0を消した式に、正直に従っただけです。
だからこそ、この「間違い」は、クラス全員で
「0を消すって、本当はどういうことだったの?」に立ち返る、
絶好の入口になります。
予想が当たるか、外れるか
……と、ここまでが私の「予想」です。
当たるでしょうか。
それとも、子どもたちは私の予想を超えてくるでしょうか。
正直に言うと、予想が外れるときこそ、一番おもしろい。
7月に公開した棒グラフの授業でも、
子どもたちは私の予想の上を行きました。
教材研究で予想を尽くすのは、当てるためではなく、
子どもの発言を受け止められる幅を広げておくためなのだと思います。
2学期、この授業がどうなったかは、またご報告します。
でも、もし「あまりは3!」と言う子が現れたら——。
私は、その瞬間を失敗ではなく、
授業が動き出す合図として大切にしたいと思っています。

